「正月太り」はしたくないけれど、新年会や忘年会、家族の集まりなどでは、やっぱりおいしいものが食べたい! あるいは付き合いで、どうしてもお酒や食事の席に出なければならない…。そんなとき、どんなことに気をつければよいのでしょうか。
3名の専門家(東京農業大学の生命科学部分子微生物学科・野本康二教授、応用生物科学部 食品安全健康学科高橋信之准教授、応用生物科学部栄養科学科・多田由紀助教)に、正月太りを予防する食べ方や、食事のコツを教えていただきました。
【正月太り予防法 その1】食後の血糖値を抑える食品を上手に組み合わせましょう
最近は、低糖質ダイエットが流行していますが、糖質の量が同じでも、食品や調理方法、組み合わせの違いによって、食後の血糖値を「上げやすい食品」と「上げにくい食品」があります。これを示す指標がGI(グリセミックインデックス)です。数値が高い食品ほど、食後の血糖を上げやすいことになります。
食事のGIに最も影響するのは主食のため、低GI食を実践するには主食とおかずの組み合わせや、主食の工夫をすることが効果的です。
例えば、白米や食パンなど高GIの主食を食べる際は、食物繊維、酢、乳製品など食後の血糖上昇を抑える食品を組み合わせます。あるいは、玄米、ライ麦パンなど低GIの主食を選ぶことも重要です。
高GI値のお餅には、なます、根菜類の煮物などを組み合わせて
お正月料理でいえば、お餅はGIが高い主食ですので、酢の物や、食物繊維含有量の高い食品を一緒に摂ることが大切です。おせち料理なら、なます、根菜類(ゴボウやレンコン、ニンジンなど)や昆布などを使った煮しめがあります。お雑煮に野菜をたっぷり入れるのもいいでしょう。ただし、おせち料理をはじめ、お正月料理は保存性のために、塩濃度や糖濃度が高い傾向にありますので、やはり食べ過ぎはよくありません。
また、糖の吸収を穏やかにするために、食べる前に、生野菜や果物などに含まれる難消化性の食物繊維やオリゴ糖を摂取すると良いでしょう。おせち料理には、フレッシュな野菜や果物は入っていないので、意識的に摂るようにしたいところです。
【正月太り予防法 その2】食事のリズムを整えるよう意識しましょう
お正月休みの間は、普段の生活に比べて食事リズムが崩壊しがちです。お腹が減らないのにだらだら食べ続けたりしていませんか。お腹が減ったら食事するという極めて自然な方法をとるよう意識することが肝心です。
だらだらと食べ続けると、血糖値は下がらず、それを下げようとするインスリンが膵臓から分泌され続けますので、組織に糖を取り込ませるように働くものの、多量になれば、脂肪に変換される方向となり、膵臓にも負担がかかります。
お正月の食事の回数は家族と話し合って決めよう
また、動かない時間も普段より長く、そのため消化時間も余分にかかるため、食事間隔をそれなりに延長したほうがいいかもしれません。基本的に、高脂肪、高たんぱく質、高糖質の料理や飲料を大量に摂取し、1日の運動量が顕著に低下する正月には、1日2回の食事でも多すぎる状況があり得ます。
ただし、お正月は家族で過ごすことが多いため、食事時間や回数について生活を共にする家族などとの調整が大事になります。家族の健康のためにも、お正月の食生活について話し合っておくのも良いでしょう。
【正月太り予防法 その3】トクホを上手に活用しましょう
消費者庁が許可している特定保健用食品、通称“トクホ”。からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品ですが、その中には内臓脂肪や血中中性脂肪濃度の低減を目指したものがあります。
腸管での脂質の吸収を阻害するトクホとして、ウーロン茶、コーヒー、コーラなどがあります。食事の時に一緒に飲むと良いでしょう。また、肝臓での脂肪分解を促進する緑茶やソーセージ、血中のコレステロールを低下させるマーガリンやマヨネーズタイプのドレッシングもあります。ソーセージやドレッシングはお料理に取り入れてはいかがでしょうか。
また、腸肝での糖質の吸収を緩やかにするお茶やレトルトのごはんなど血糖値をコントロールするトクホや、いくつかの飲料の中には糖質と脂質の吸収を両方とも抑えるタイプのWトクホと呼ばれるものもあります。
なお、トクホを採り入れる際は、必ず商品に付いているトクホマークを確認し注意喚起事項をよく読んでから使用してください。
そして、何より忘れてならないのは、あくまでもダイエットの基本は運動と食事(栄養素摂取)のコントロールだということです。“トクホ”は、あくまでもその補助的なものとして上手に活用しましょう。
脱“正月太り”のためには、適正な食事の時間、回数、量を守るのがベストです。でも、どうしてもそうはいかないという時には、食事の組み合わせを工夫したり、トクホを採り入れたりして、脂質や血糖のコントロールを意識してみてはいかがでしょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部