“正月太り”という言葉があるように、年末年始は体重が増えやすい傾向にありますが、なぜなのでしょう?

実は、単に食べ過ぎ&飲みすぎだけが原因ではないのです。正月太りの原因と対策法を事前に知っておき、スマートな年明けを迎えたいものですね。そこで今回は、東京農業大学の生命科学部分子微生物学科・野本康二教授、応用生物科学部 食品安全健康学科高橋信之准教授、応用生物科学部栄養科学科・多田由紀助教に、正月太りの原因と予防対策法を教えていただきました。

腸内フローラの機能低下のせい? 正月太りの原因とは

腸内フローラの機能が低下すると、腸管運動などの機能が減退するため、太りやすくなります。

お正月の3が日はほとんど外出をせずに家でゆっくり過ごして、おせち料理に代表される栄養価の高い食事を食べながら、お酒またはジュースなどの清涼飲料水を飲む、という人も多いのではないでしょうか。

このように、日常生活に比べて運動量が減少し、食べる量や回数が多くなり、摂取する栄養価が過多になることが「正月太り」の大きな要因と考えられます。

また、おせち料理をはじめ、保存の効く食べ物に偏り、新鮮な野菜など食物繊維の摂取量は減少する傾向があります。食物繊維や、難消化でんぷんやオリゴ糖など難消化性の多糖類を含む、果物や野菜、豆類、未精製の全粒穀物などは、腸内フローラの機能性維持にも重要と言われています。これらが不足して腸内フローラの機能が低下すると、腸管運動などの機能が減退するため、太りやすくなります。

野菜や果物を積極的に摂って、正月太りの原因をつくらない!

野菜や果物などを食べて、難消化性でんぷんや食物繊維の摂取比率を高めるように意識すると、正月太りの予防に

正月太りを防ぐには、まず決まった時間に適正な量を食べるという、規則正しい食事をすることが基本です。その上で、でんぷん質の多い食品や、炭酸飲料などに入っているブドウ糖や果糖などの、単純炭水化物の過剰摂取から脱却し、フレッシュな野菜や果物などを食べ、難消化性でんぷんや食物繊維の摂取比率を高めるよう意識するとよいでしょう。

また、冬は、特に基礎代謝が低下する時期です。そんな中にあって、“寝正月”という言葉があるように、お正月休みはいつもにも増して体を動かさない状態になりがちです。運動不足も太る大きな原因と言えるでしょう。

だからこそ、意識して適宜な運動のための時間を確保して、可能な範囲で基礎代謝量を増やすことが肝心なのではないでしょうか。

月経周期が乱れやすい年末年始、正月太りのリセット法

月経前に食べ過ぎてしまったら、月経後は油や砂糖の多い食品は控え、エネルギーバランスをリセットしましょう

年末年始は、仕事の年末進行で溜まった疲れや、長期休暇で普段の生活と変化するためホルモンのバランスが崩れやすい時期でもあります。ホルモンのバランスが崩れると、太る原因にも…。

特に睡眠が不規則になったり、睡眠時間が足りなかったりすると、いつもより食欲が増す原因になります。さらに、月経周期も乱れやすくなります。

女性は、月経周期に伴って女性ホルモンの分泌量が変化し、身体的あるいは精神的な症状がさまざま生じます。女性ホルモンは食欲や自律神経活動にも影響すると言われており、月経後に比べて、月経前には食欲が増すという女性が多く、交感神経活動が高くなることも報告されています。

食事量の増加は体重増加につながるだけでなく、交感神経活動をさらに高くしてしまいます。特に、寝る前の食事の量が多いと、交感神経活動が活発になってしまい、睡眠の質にも影響します。睡眠の質が悪くなればストレスも増え、ホルモンバランスも崩れて…、という悪循環に陥る可能性も。そのため、月経前に食欲が増加しても、食べる量や時間帯には注意しましょう。

個人差はありますが、月経後は月経前に比べて、イライラしたり食欲が増したりすることが少ない人が多いようです。したがって、食事量を抑えやすい時期でもありますので、もし月経前に食べ過ぎてしまったら、月経後は油や砂糖の多い食品は控え、エネルギーバランスをリセットしましょう。

生活習慣を整えておくことが正月太りの予防。お正月に増えた体重は、自然と元に戻る

生活習慣が適切であれば、例えば正月三が日に食べ過ぎて少々体重が増えたとしても、自然に元に戻ります

食生活が変わるため、年末年始は太りやすいと感じているかも知れませんが、もっとも大切なのは日々の生活習慣です。生活習慣が適切であれば、例えば正月三が日に食べ過ぎて少々体重が増えたとしても、自然に元に戻ります。体重は生活習慣の状態を写す鏡なのです。規則正しく、バランスよく、そして適度な量を、毎日食べるという適切な食生活と、少しでも運動し身体を動かすということを心がけましょう。

なお、生活習慣を整えることで、食品に含まれるさまざまな機能性成分が効果を発揮してきます。巷には「あれを食べると痩せる」「これを食べると健康にいい」などといった情報が氾濫しています。確かに、生活習慣病改善につながる食品成分は存在しますが、効果を発揮するには、適切な食生活を行っていることが前提です。食品成分は薬ではないため、それだけを摂れば効くというものではありません。

まずは、食生活を含めた生活習慣を少しずつ改善し、その上で身体に良いとされる食品を摂取する、という順番を忘れないようにしましょう。

この年末年始は、自分の体のサイクルを知ったうえで、規則正しい食生活を心掛けてフレッシュな野菜や果物を意識的に摂りましょう。また、新年は気持ちを新たに、体重が増えても自然に戻るようなカラダを手に入れたいですね。

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PROFILE
東京農業大学 野本康二(のもと・こうじ)教授
生命科学部 分子微生物学科 生物間相互作用分野 動物共生微生物学研究室にて、「動物共生微生物の宿主の健康と疾病に及ぼす影響」を研究。
東京農業大学 研究者詳細
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東京農業大学 高橋信之(たかはし・のぶゆき)准教授
応用生物科学部 食品安全健康学科 健康機能科学分野 生理機能学研究室にて、「組織・臓器間代謝情報ネットワークの分子生理学的研究」に携わる。
東京農業大学 研究者詳細
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東京農業大学 多田由紀(ただ・ゆき)助教
応用生物科学部 栄養科学科にて、「自律神経活動からみた女性の健康管理、栄養疫学」を研究。
東京農業大学 研究者詳細

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