マックスマーラやドルチェ&ガッバーナなど、Precious.jpでも人気の海外トップブランドのプレスを歴任してきたロイ・明美さんによる連載企画。

結婚を機に英国へ渡りロンドンで暮らし、2014年からはスコットランドの小さな町と村に2つの住まいをもつ彼女の素敵なカントリーライフを、自然、食、インテリアなどさまざまな側面からお伝えします。

今回は、味も見た目も劇的に進化を遂げている、英国のヘルシーフードについてお届け。スーパーで手軽に購入できるものから、人気急上昇の発酵食品ブランドまで、多彩なラインナップです。

西洋でメジャーな野菜の発酵食品、クラウトと相性抜群な、ロイさん自家製チャツネのレシピも公開します!

ヘルシーでサステナブルな食材が豊富な英国

ヴィーガンの発祥地である英国は、ヴィーガンのライフスタイルを選ぶ人はもちろん、ヘルシーでサステナブルな食材やレストランも急増しています。英国ヴィーガン協会によると、英国はヴィーガン商品の購入率と消費率がヨーロッパで一番高い国で、ヴィーガン・レストランが最多のトップにランクインしているそうです。

増えている一番の理由は健康のため。同時に、動物愛護、生物の生息地の保護、人にも地球にも優しい環境保護。持続可能な方法で食物を育て、パッケージや廃棄処分も考慮し、食品の業界でもサステナブルな取り組みが実行されているからです。

味も品ぞろえも進化したウエル・ビーイングな食品たち

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英国を代表する総合デパート「マークス&スペンサー」のスナック。

各デパートやスーパーでは、ベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリー、デイリー(乳製品)フリーの食材のコーナーを設け、独自のブランドを開発。種類が豊富で、スナックからピザ、おかず、パン、調味料まであらゆるレパートリーがあります。

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チョコレート好きの英国民らしく、ヴィーガン対応やオーガニックのチョコレートだけでもかなりの種類。
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ベジタブルスナックも野菜の取り合わせが興味をそそられます。

グルテンフリーは、セリアック病や小麦アレルギーの人の食事療法ではありますが、食べたら体調がよくなった人も多く、グルテンフリー食材も美味しいものが増えています。

グルテンフリーの粉でキャロットケーキを焼いたら、中はしっとり外はサクサク。食べた後も胃がもたれる感じがなかったので、グルテンフリーの粉もオススメです。

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スープキューブまでグルテンフリー。なかでも「Kallo」のスープキューブは美味でオススメです。
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犬のおやつもグルテンフリー。「Lily’s」は英国王室御用達の称号を授与したオーガニック食材を使用したヘルシーなペットフードブランドです。

商品には、グルテンフリー・ヴィーガン・デイリーフリーなどとわかりやすく表示されているので、アレルギーのある人にはより安全で選びやすくなっています。

伝統的な製法でモダンにアレンジされた発酵食品が人気!

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「ロンドン・ファーメンタリー」の乳酸発酵食品は、生のまま殺菌せず旨味たっぷりに作った、こだわりの伝統的な製法。それぞれが多様な食材と合うので食の楽しみが広がります。Photo by London Fermentary

パンデミックによって免疫力を高める発酵食品も注目されたこともあり、日本では昔からの日常食である緑茶、味噌といった発酵食品も人気です。発酵ドリンクのケフィアやコンブチャなど、今ではものすごい種類の商品が出ています。

なかでも我が家のお気に入りは、「London Fermentary(ロンドン・ファーメンタリー)」のウォーターケフィアドリンクと乳酸発酵食品です。

このブランドが誕生したのは2017年。ロンドン・バーモンジーにある最高峰の旬の果物や野菜を販売する「Puntarelle & Co.(パンタレル& Co.)」のオーナーであり、野菜のスペシャリストとしてリスペクトされているエレナさんが、無駄になってしまう残り物の野菜を廃棄処分するのではなく、有効に使うために立ち上げました。研究を重ねて作り上げた発酵飲料と食品は、瞬く間に大人気に!

今では高級デパートの「セルフリッジズ」や自然派コスメブランド「ニールズヤード レメディーズ」、人気のデリカフェ「オットレンギ」でも扱われ、さらにはセレブリティーシェフも御用達。英国全土のトップクラスのお店で販売されています。

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発酵飲料のウォーターケフィアドリンクは、果物と野菜のコンビネーションが絶妙なフレーバーを生み出し、炭酸のバランスが飲みやすくて後味もいいのが特徴。ジンで割ったら美味しいカクテルができます。
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乳酸発酵食品のクラウトは種類も食べ方も色々あって、お料理の味を引き立ててくれます。発酵食品は日本人の伝統的な食文化なので、このような西洋発酵クラウトやソースは和食にも合う味わいです。
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ソースのセレクション(手前3本)と人参クラウト(奥)。赤い色のスモーキーチリソースはケッチャプの代わりにもなるし、マリネやディップ、ラムにも相性がいい万能ソースです。

プロバイオティクスの恵みをたっぷりと含んだ、伝統的な製法に独自のコンビネーションとモダンな風味をプラス。サステナブルが基本のコンセンプトからスタートした、カラフルで美味しく、新しくてエキサイティングな発酵食品が、食卓を楽しくしてくれます。

私たちひとりひとりが本当の気づきを持って環境保護に取り組んでいくことが大切な今。日々できることからはじめる、その一つとして、食卓に意識を向けてみては? 美味しく自然と共に暮らすことは、人も地球も健康にしてくれます。

簡単・時短・美味!自家製チャツネのレシピを公開

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軽くて美味しいヘルシーなスナックボード:グルテンフリーのトルティーヤ・チップスとゴート・チーズ。トリュフハニー(左上)とロンドン・ファーメンタリーのリーク・クラウト(左下)に自家製ビーツのチャツネ(右下)の組み合わせが最高です。

スナックボードにも最適な発酵食品。サワーテイストの発酵ベジ(クラウト)には、ちょっと甘辛のチャツネも合います。今回ご紹介する自家製チャツネは、好きな野菜や果物で「簡単・時短・美味」にできる万能レシピです。

【材料】
ビーツ(小さく角切り):300g(梨、バナナ、人参、りんごなどでもOK)
赤玉ねぎ(みじん切り):1個
アップルサイダービネガー:160ml(バルサミコ酢でもOK)
カルダモンパウダー:小さじ1(ナツメグでもOK)
おろし生姜:小さじ1
ナイジェラシード:小さじ1
ソフトブラウンシュガーまたはアガベシロップ:30~60g(甘味料はハチミツやメープルシロップ、ココナッツシュガーなどお好みのものでもOK。量は味を見ながら入れてください)
※メインの果物や野菜によって、レーズン、サフラン、唐辛子少々を入れても美味しくなります

【作り方】
材料をすべて鍋に入れ、フタをしないで中火で時々混ぜながら水分がなくなるまで20分程度煮る。

【保存方法】
煮沸消毒した熱い瓶に、熱いままのチャツネを詰めてフタをして、逆さまにして空気を抜く。 
※このように殺菌・脱気すると常温で2か月は保存が可能です

今日のおすすめ「なごみワンコ」は… ジャック・ラッセルのミディ

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顔はジャック・ラッセル。
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ジャック・ラッセルとしては珍しい色。

カフェで出会ったジャック・ラッセルのミディ。ワンコのオーナーはジャック・ラッセルと言っていたけど、あまり見たことがない色だったので、他の犬種とクロスしているのかな? 

小さい体が元気に飛び回っている姿が、エネルギッシュなワンコでした。


以上、スコットランド在住のロイ明美さんの連載第16回をお届けしました。

豊かな自然と共に生きる、「リアル・ラグジュアリー」なライフスタイル。次回はどんなエピソードが届くのか、ぜひお楽しみに!

この記事の執筆者
東京生まれ。父の仕事の関係で小学生時代をペルーのリマで、高校から大学までを米国シカゴで過ごす。帰国後、ジョルジオ・アルマーニ、マックスマーラ、ロメオ・ジリ、シンシア・ローリー、モスキーノ、ドルチェ&ガッバーナと海外有名ブランドのプレスを歴任。東京で知り合ったスコットランド出身のカメラマンのご主人と8年の遠距離恋愛の末、2005年に結婚して英国へ。 撮影コーディネートや、伝統工芸の取材執筆などを手がけながら、温かくセンスのいいカントリーライフを楽しんでいる。掲載写真の多くは夫のコリン・ロイ氏によるもの。インスタグラムアカウント:akemi_okumura_roy