マックスマーラやドルチェ&ガッバーナなど、Precious.jpでも人気の海外トップブランドのプレスを歴任してきたロイ・明美さんによる連載企画。
結婚を機に英国へ渡りロンドンで暮らし、2014年からはスコットランドの小さな町と村に2つの住まいをもつ彼女の素敵なカントリーライフを、自然、食、インテリアなどさまざまな側面からお伝えします。
今回は、英国でますます意識が高まっているという、環境に優しくサステイナブルでリサイクルできる暮らし方について。ロイさんが日常的に行っていることや、愛用している市販のアイテム、天然素材の洗剤を使ったハンドメイドのクリーニングスプレーの作り方などをご紹介します。
またもうひとつ、18世紀のスコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズの作品や詩を記念して、毎年1月25日のバーンズの誕生日を祝うスコットランドの伝統行事のひとつである「バーンズ・ナイト(Burns Night)」についても教えていただきました。
ゴミを出さない、繰り返し使う。それが日常の基本に
買い物すると驚くほどゴミが出ます。それを少しでも減らすために、英国ではどこでも誰でもマイボトルやエコバッグバックを持つことや、リサイクルできるものを使うことが習慣となっています。
意識しながら日常できること少しでも実行すると、ゴミも減らせてスッキリと気持ちよく暮らせます。
例えば私が行っていることは…
(1)プラスチックより瓶・木・紙の素材を選ぶ。
(2)サステイナブルで詰め替え可能な商品を選ぶ。
(3)ヘアーコンディショナーとクリーニングスプレーは自然のものでハンドメイド。
(4)リユース・リサイクルを心がける。DIYでデザインを変えたり染めたり金継ぎしたりすることも。
(5)ハーブはプランターで買う。
などなど。そのために活用できる日用品も身近にたくさんあります。そのなかの一部をご紹介します。
■1:食材を新鮮に保つ「ビーワックス・ラップ」
食材を保存する際には、食品包装用のラップフィルムを使うよりもビーワックス(蜜蝋)をコットンやリネンにコーティングした「ビーワックス・ラップ」を重宝しています。チーズ、サンドイッチ、食パン、カットしたアボガドやフルーツを包むほか、ジャーやボウルの蓋にもできます。
通気性があるのも大きな特徴で、食品の鮮度を長く保てるため、食品ロスを減らすこともできます。さらに再利用・持続可能で、洗って乾かして1年くらい繰り返し使えます。しっかり使い込んでビーワックスの粘着力がなくなったら、堆肥化して生分解できるし、暖炉の火起こしにも活用できてゴミが出ません。
サイズは幅広く、またロールタイプもあるので、用途に応じて必要な大きさにカットして使います。カラフルなプリントなどデザインの種類も多いので、冷蔵庫の中が楽しくなるのも嬉しいですね。
■2:ガラス瓶に入った錠剤の歯磨き粉
オーガニックショップで見つけた、ガラス瓶に入った錠剤の歯磨き粉。1錠を口の中で噛んで、濡れた歯ブラシでブラッシング。旅行のときも必要なぶんだけ持っていけるので、スペースも取らずお役立ちです。
■3:「フレンドリー・ソープ」の固形シャンプー
シャンプーもプラスティックボトルではない固形シャンプーが増えています。
友人がすすめてくれたエシカルブランド「フレンドリー・ソープ」は、100%リサイクル可能な素材を使った地球と野生生物に優しい商品。香りもよくて洗い上がりの感触も心地いいので、気に入っています。
■4:リサイクルもできる!多用途に使えるナチュラル・ソープ
自然環境にも優しく、シンプルで多用途に使える万能ソープも人気です。
「ドクターブロナー」の液体石鹸は合成物質不使用で、USDAオーガニック認証(※)を取得しているもの。濃縮タイプなので、少量で1本あればいろいろ使えます。ボトルはリサイクルでき、香りも無香料からティーツリー、ラベンダー、シトラス系など種類豊富です。
用途は、洗濯、食器洗い、手・顔・ボディ・髪の洗浄、歯磨き、ペットのシャンプーにも使えるという幅広さ。旅行の際には小さなボトルに入れて持っていけば、これ1本でOKです。
ムクロジの木の実を乾燥させた天然洗剤の「ソープナッツ」も、「ドクターブロナー」と同様にいろいろな使い方ができます。抗菌作用もあり、乾燥肌やデリケートなお肌、アレルギー皮膚炎にも効能があるので、タオルやシーツ、デリケート素材の洗濯に役立てています。
付属されたモスリンの小さなバッグに実を4〜5個入れて、洗濯機の中へ。洗濯後に乾燥させれば、4〜5回は再利用が可能です。洗剤として使い切った後も、植物なので有機的な天然肥料にもなります。
また、「ソープナッツ」は帯電防止性があるので、湿らせた布にハンドメイドのクリーニングスプレーを噴射して、テレビ、コンピュータ画面、プリンターなどの電気機器の掃除に使うことができます。
クリーニングスプレーの作り方は実に簡単! 鍋にカップ1杯の水とソープナッツ2つを入れて10分ほど沸騰させ、冷めてからスプレーボトルに入れるだけです。
それぞれ、使い慣れていくとたくさんの種類のクリーニング用品を常備するより、場所も取らないし、環境にも健康にもいいので安心です。
国民的詩人の生誕を祝う伝統行事「バーンズ・ナイト」
スコットランドで1月に行われる伝統行事といえば、「バーンズ・ナイト(Burns Night)」。スコットランドを代表する国民的詩人、ロバート・バーンズ(1759~1796年)の誕生日である1月25日に、彼の生誕や作品を祝うのです。
バーンズは、世界各地で親しまれている「蛍の光」の原曲である「オールド・ラング・サイン(Auld Lang Syne) 」の作詞者としても有名な人物。そのため「バーンズ・ナイト」の最後には、この曲をみんなで歌うのが恒例となっています。
そして、この日の夕食は「バーンズ・サパー」と呼ばれ、伝統料理のハギス&ニープス(スウィードカブのマッシュ)&タティス(マッシュポテト)を、スコッチウイスキーを飲みながら食べるのが習慣です。
正式な伝統行事では、バグパイパーの音にのって、キルトを着た男性に運ばれたハギスの前でバーンズの「ハギスに捧げる詩(Address to a Haggis)」を朗読してから、ハギスにナイフを入れる儀式を行います。
ハギスは、羊の内臓(心臓、肝臓、肺)をタマネギ、オートミール、脂身、スパイス、塩と一緒にミンチにしてストックと混ぜて、羊の胃袋煮詰めて約3時間茹でる伝統的なスコットランド料理です。食べるときにウイスキーをちょっと振りかけたりします。最近では、肉を使わないベジタリアン・バージョンも。
オートミールのプチプチとした食感と香ばしい風味が特徴で、胡椒のスパイスが効いた温かみのある味わいです。マッシュポテトやニープスと一緒に食べると、お互いの味を引き立ててより美味しさが増します。
1月の半ばを過ぎると、レストランでロバート・バーンズメニューが登場したり、肉屋さんやスーパーではハギスが店頭の目立つ位置に並べられるのもスコットランドならでは。
我が家でも毎年「バーンズ・ナイト」に、ハギス&ニープス&タティスを作って乾杯します。どの国にもある古くから受け継がれた伝統行事は大切ですね。
今日のおすすめ「なごみワンコ」は…寒くても元気一杯のジョン・ボイとジェイゴ
真冬にまたまたロンドンからスコットランドに遊びに来たジョン・ボイとジェイゴ。3か月前に来た時はまだ小さかったジェイゴは、すっかりジョン・ボイと同じくらいになっていました。どんなに寒くても外が大好き。フェッチで遊び始めたらもう止まらない!
犬といると自然をいっそう近くに感じることができるのはもちろん、何より笑顔にしてくれるワンパワーに感謝です。
以上、スコットランド在住のロイ明美さんの連載第17回をお届けしました。
豊かな自然と共に生きる、「リアル・ラグジュアリー」なライフスタイル。次回はどんなエピソードが届くのか、ぜひお楽しみに!
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