家具や食品、化粧品に使われるなど、用途が広い「金箔」。その豪華な見た目からおめでたいときの雰囲気をつくるものとして、お正月に見かける機会が増えます。とはいえ、金箔がどんなものなのか改めて問われると、意外に説明が難しいものです。そこで今回は、実は知らない金箔の面白い事実を、金箔で有名な石川県金沢市の「箔座」に教えていただきました。
箔座は、長い歴史と伝統をもつ「金箔」という素材を、さまざまな分野において今の価値として、発信することに取り組んでいる会社であり、ブランドです。その名前は、金箔の歴史において江戸時代に実際に存在した、金銀箔類の統制機関「箔座」に由来しているのだとか。石川県金沢市と東京 日本橋に、金箔を使った商品を買うことのできるテーマショップを展開しています。
そんな金箔のエキスパートに伺った、意外に知らない「金箔」の実態をみていきましょう。
■金箔の多くは純金ではなく、種類もさまざま
ひと言で金箔といっても、実にいろいろな種類があるのをご存じでしょうか。金箔は金100%でつくられていると思いきや、金のみを使用してつくられているのは、24Kの「純金箔」と呼ばれるもののみ。
一般的に流通しているもののほとんどは微量の銀と銅を合金してつくられており、その合金配合率の違いによってそれぞれ色味や風合いが異なります。
例えば銀の合金配合率が高くなるほどに、青っぽいような白っぽいような色味の金箔に。一方、銅の割合が増えるほどに、赤みが強くなります。ちなみに、銀・銅が合金された金箔も、食用として使うことができるそう。
箔座では、昔ながらの伝統的な金箔の製法「縁付」でつくられた金箔9種類と、現代的な製法「立切」でつくられた金箔10種類の計19種類取り扱いがあります。
■箔座で取り扱う最高額の金箔は?
箔座オリジナルの「純金プラチナ箔 久遠色」は、プラチナを合金した箔座で最も高価な金箔。プラチナと金は融点が異なることや、通常の金箔に比べて箔打ちに使用する紙が傷みやすいことなどから、技術が必要とされています。
色合いもシャンパンゴールドを思わせる、これまでにない雰囲気。変色の原因となりえる物質を一切含まず、屋外での使用においても大きな可能性を生み出した素材なのだとか。残念ながらこちらは、箔単体での販売は行っていないため、価格は非公開。
■世界では日本のみ。金箔の伝統製法「縁付」
手漉きの和紙を箔打ち紙に用いる「縁付(えんつけ)」という金箔の製法は、手打ちから機械打ちになったとはいえ、400年以上続く金沢箔の歴史において変わらない伝統の製法。
打ち紙は、手漉きの「雁皮紙(がんぴし)」を水や藁の灰汁・柿渋・卵などを用い、半年以上もの時間と手間暇をかけて仕込み、ようやく金箔を打ち延ばせる紙に育て上げます。この職人技は、2014年に文化庁より国の選定保存技術として認定されました。
この「縁付」製法は、日本独自の伝統製法。日本においても最近では、製法の主流は効率的に量産できる「立切」へと移行しています。海外における金箔もほぼこの手法でつくられています。
箔座では、「縁付」と「立切」それぞれの特性をふまえ、器やアクセサリーなどの工芸品のカテゴリーには、製品の価格も考慮し「立切」金箔を。国宝修復のほか、食器や美容関連の商品には、自然素材の箔打ち紙でつくる「縁付」金箔を使用しています。
■なぜ化粧品に使われるの?金箔が肌にいいヒミツ
化粧品に金箔が使われる理由は、そのゴージャスな見た目だけではありません。肌細胞を元気にし、新陳代謝を助けるといわれています。箔座ではさまざまなスキンケア商品のラインナップがあり、なかでも人気なのは「美容金箔」です。
こちらは、自然の鉱物であるプラチナと金を活かした美容法で、フェイスケアのためにつくられた美容用の金箔を直接肌になじませる贅沢な一品です。頬やおでこなど部分的に貼る四角いシートタイプのほか、大胆に顔全体を覆うマスクタイプのものもあります。
■パーティーシーンに使いたい!料理用金箔
食品にも多く使われている金箔。香りや味がないので、料理やスイーツ本来の味を邪魔することなく使うことができ、その見た目で食卓が一気に華やぎます。これからのパーティーシーズンやお祝い事にもぴったりで、さらにはインスタ映えもバッチリ。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
箔座の「料理用金箔『縁』」は、使用目的に合わせて選べるように、金箔の粗さや仕様が異なるラインナップで展開されているのだとか。お好みの料理にトッピングするだけなので、自由度が高いのもいい点です。
■可能性が広がる「金箔」
国宝級のものから私たちの身近にある化粧品や食品まで、いろいろな用途で使われている金箔。ガラス工芸や手芸など、趣味に金箔を活用しているという女性も最近では増えているのだそう。これを機に、金箔にもっと親しんでみるのもいいですね。
問い合わせ先
- 箔座
- お問い合わせフォーム
- TEL:0120-893-505
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 箔座株式会社
- WRITING :
- 松崎愛香
- EDIT :
- 高橋優海(東京通信社)