開催中の『北斎とジャポニスム』展の入場者は11月17日に10万人を超え、『国宝展』は48日間の開催期間に約62万4500人もの観客を動員。2017年は北斎や国宝など、日本美術の展覧会が多くの注目を集める年となりました。多くの美術館が、世界に影響を与えた日本の絵画や美術品を集めて展示し、たくさんの人がそれを一目観ようと何時間も並ぶ、そんな現象が起きた一年でした。

そんなアートへの熱狂が冷めやらぬ2018年、一体どんなアートが流行るのでしょうか? ラグジュアリーマガジン『Precious』のアート担当編集者が、2018年に開催される展覧会の情報のなかから、大人の女性に特におすすめしたいものを、3つのキーワード、6つの展覧会に絞り込みました。

#印象派

「印象派」とは、19世紀後半にフランスで起きた絵画の流派です。モネ、ピサロ、シスレー、ドガ、ルノワール、セザンヌ…と、世界的に名だたる画家が活躍していました。2018年は、そんな自然の光を忠実に画面に落とし込んだ、印象派の画家たちの作品が一挙に来日します!

■1:国立新美術館で開催『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』

ピエール=オーギュスト・ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)1880年 油彩、カンヴァス 65×54㎝ ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
ピエール=オーギュスト・ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)1880年 油彩、カンヴァス 65×54㎝ ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

ドイツに生まれ、スイスに移住した実業家、エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890〜1956年)が、生涯を通じて収集した珠玉のコレクションから、フランス印象派やポスト印象派など、約60点の名作が出展されます。彼のコレクションは、ドガやルノワール、ファン・ゴッホやマティス、ピカソ…など、どこかで聞いたことのある巨匠の作品ばかり。あまりに豪華すぎる作家たちの競演に、心躍ること間違いなし!

問い合わせ先

  • 『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』 
  • 会期/2018年2月14日 ~ 5月7日
    会場/国立新美術館 企画展示室1E
    住所/〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
    開館時間/10:00〜18:00
    (金・土曜日、4月28日~5月6日は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
    休館日/火曜日(ただし、5月1日は開館)
    入館料/¥1,600(一般)
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    ※九州国立博物館(2018年5月19日~ 7月16日)、名古屋市美術館(2018年7月28日 ~ 9月24日)に巡回あり

■2:横浜美術館で開催『モネ それからの100年』

クロード・モネ《睡蓮》1906年 油彩・キャンヴァス 81.0x92.0㎝ 吉野石膏株式会社(山形美術館に寄託)
クロード・モネ《睡蓮》1906年 油彩・キャンヴァス 81.0x92.0㎝ 吉野石膏株式会社(山形美術館に寄託)

印象派を代表する画家、クロード・モネ(1840〜1926年)の大展覧会が2018年夏に開催です。モネが最晩年の大作《睡蓮》に着手してから約100年。この展覧会では、日本初公開を含む、モネの作品約30点と、ロスコ、フランシスといった1950年以降に活躍した約30人の作品を展示し、時代を超えた印象派の結びつきを浮き彫りにします。

問い合わせ先

  • 『モネ それからの100年』 
    会期/2018年7月14日 ~ 9月24日
    会場/横浜美術館
    住所/〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
    開館時間/10:00〜18:00
    (9月14日、15日は20:30まで、入館は閉館の30分前まで)
    入館料/¥1,600(一般)
    休館日/木曜日(ただし、8月16日は開館)
    TEL:045-221-0300(横浜美術館)
  • ※名古屋市美術館(2018年4月25日〜7月1日)に巡回あり

#仏像

2017年は、東京国立博物館で開催された「運慶」展が反響を呼びましたが、2018年も、まだまだ仏様ブームは続きそうです。年明け早々にはじまる展覧会もあるので、ご利益を得るためにも、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか? 歴史あるお寺で守り抜かれた仏様や秘仏を、じっくりと観られるまたとないチャンスです。

■3:東京国立博物館で開催『仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-』

国宝「阿弥陀如来坐像」平安時代・仁和4年(888) 京都・仁和寺蔵
国宝「阿弥陀如来坐像」平安時代・仁和4年(888) 京都・仁和寺蔵

仁和寺(にんなじ)は、光孝天皇が仁和2年に建立を発願し、次代の宇多天皇が仁和4年に完成させた真言宗の寺院です。ここには、創建時の本尊である国宝『阿弥陀如来坐像』があります。本展では、この『阿弥陀如来坐像』を含む仁和寺に伝わる名品と、全国の御室派(おむろは)寺院から秘仏や本尊など、66体を一堂に紹介。天平彫刻の傑作として知られる、大阪の葛井寺(ふじいでら)の『千手観音菩薩坐像』といった、普段お目にかかることのできない、多くの秘仏が公開されます。

問い合わせ先

  • 特別展『仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-』 
  • 会期/2018年1月16日~3月11日 ※会期中展示替えあり
  • 会場/東京国立博物館 平成館
  • 住所/〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
  • 開館時間/9:30〜17:00
  • (金・土曜日は21:00まで、入館は閉館の30分前まで)
  • 休館日/月曜日(ただし、2月12日は開館)、2月13日
  • 入館料/¥1,600(一般)
  • TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)

■4:東北歴史博物館で開催『東大寺と東北-復興を支えた人々の祈り』

国宝    誕生釈迦仏立像及び灌仏盤    東大寺蔵        画像提供:奈良国立博物館 撮影:佐々木香輔
国宝    誕生釈迦仏立像及び灌仏盤    東大寺蔵        画像提供:奈良国立博物館 撮影:佐々木香輔

2011年に発生した東日本大震災。その復興を祈念するこの展覧会では、東大寺や、東北地方に残された数々の寺宝が公開されます。国宝17点、重要文化財25点を含む、約150点もの貴重な作品が勢ぞろい。奈良時代、聖武天皇により創建された東大寺は、二度にわたる災禍で、大仏の焼失と復興を繰り返してきました。その東大時の歴史と復興の道のりが、東北の方々にとって「未来への道標」となるよう、強い願いの込められた展覧会となっています。

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#15~17世紀の西洋絵画

16世紀・17世紀の西洋絵画も、多く観ることができそうです。ベルギーでは、2018年~2020年をフランドル絵画年として、15〜16世紀にかけてフランドルで活動した芸術家たちの作品を、強く押し出すのだそう。また、日本とスペインの外交関係樹立150周年を迎えるということで、スペイン絵画も話題となること間違いなしです。日本にもその影響がある、王道な西洋絵画が充実する予感!

■5:国立西洋美術館で開催『日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』

ディエゴ・ベラスケス《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》1635年頃 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado
ディエゴ・ベラスケス《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》1635年頃 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

世界屈指の美の殿堂として知られるプラド美術館は、スペイン、イタリア、フランドル絵画のコレクションを誇ります。この展覧会は、そのなかから、スペインと日本の外交関係樹立150周年を記念し、プラド美術館の核であるベラスケスと17世紀絵画を網羅的に紹介。ベラスケスは西洋美術史上最も傑出した画家のひとりであり、マネやピカソなど、後世の芸術家たちにも大きな影響を与えました。今回は、なんと彼の重要作7点が出品! 日本で開催される展覧会としては、過去最多の作品数です。この機会にお見逃しなく!

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■6:東京都美術館で開催『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』

ピーテル・ブリューゲル2世 《野外での婚礼の踊り》 1610年頃   Private Collection
ピーテル・ブリューゲル2世 《野外での婚礼の踊り》 1610年頃   Private Collection

16、17世紀のヨーロッパにおいてもっとも影響力を持った画家の一族のひとつであった、ブリューゲル一族。ピーテル・ブリューゲル1世に始まり、150年にわたって画家の家系が連なりました。この展覧会は、その系譜を辿りながら、風景画、風俗画、花の静物画など、一族やその追随者たちが手がけた作品を通して、フランドル絵画の魅力に迫ります。日本初公開のプライベート・コレクションを中心に、約100点が出展。なんとそのほとんどが日本初公開です!

問い合わせ先

  • 『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』 
  • 会期/2018年1月23日〜4月1日
    会場/東京都美術館
    住所/〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
    開室時間/9:30〜17:30
    (金曜日は20:00まで、入室は閉室の30分前まで)
    休室日/月曜日(ただし、2月12日は開室)、2月13日
    観覧料/¥1,600(一般)
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    ※豊田市美術館(2018年4月24日~ 7月16日)、札幌芸術の森美術館
    (2018年7月28日~ 9月24日)ほか、広島県、福島県に巡回予定。

以上、2018年に話題を呼ぶこと間違いなしな展覧会を6つ、ご紹介しました。どれも見応え十分の展覧会なので、チケット売り場で並ばずに済むよう、事前にチケットを手に入れたうえで、友人やパートナーと一緒に、ぜひ訪れてみてくださいね。

※価格はすべて税込です。敬称略

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
谷 侑希美