「ドバイ」と聞くと、皆さんは何を想像されるでしょうか? エミレーツ航空? 砂漠? 大きなモスクや巨大なショッピングモール? 世界一大きい高層ビル、ブルジュ・ハリファ(バージュ・カリファ)? ラグジュアリーなホテル?
さまざまだと思いますが、とにかく規模の大きいもの、大型の建造物などを想像される方は多いのではないでしょうか。
![海から望む世界一高いビル、ドバイのブルジュ・ハリファ](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/5/2/720mw/img_5294c1e5a6cfe23babd8daa0b484b26e79476.jpg)
今回は、ドバイのあるUAE(アラブ首長国連邦※)にある素晴らしい「自然」=砂漠の魅力をご紹介したいと思います。ドバイは、四方を砂漠と海に囲まれた土地に忽然と存在する街。砂漠は日常そのものと言える自然ですが、今回ご紹介する砂漠は、それら都市部周辺の砂漠とは、ちょっと趣が異なります。「わざわざ足を運んで観に行く価値のある砂漠」なのです。
ドバイに住むObaid Albudoor(Instagram/@beedii)さんのご協力を得て、彼の作品からUAEの砂漠の魅力をお伝えします。
■UAEの砂漠の楽しみ1:見渡す四方、すべてが赤い砂丘! 砂の歌まで聞こえてくる「砂漠という絶景」
いちばんのお勧めは、なんといってもEmpty Quarter(リワ砂漠)です。UAE、サウジアラビア、オマーン、そしてイエメンにまたがる、650,000平方キロメートルに及ぶ広大な砂漠です。フランス全土より大きいと言えば、その巨大さをイメージしていただけますでしょうか?
ドバイからおよそ380キロメートル(車でおよそ3時間半)、アブダビから220キロメートル(車でおよそ2時間)の場所に位置します。
そこには赤い砂丘群が無数に存在し、最も高い砂丘は250メートルにも及びます。砂の中のミネラルが太陽の光を受けて砂丘が、赤、オレンジ、黄色に色を変えます。
![リワ砂漠|Liwa](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/7/d/720mw/img_7d487b8197c43083e30074198e3b4c2186220.jpg)
リワ砂漠の思い出
私が初めてリワ砂漠を訪れたのは6年前のこと。当時、12歳と11歳の娘達のフランスの祖母がUAEに来てくれた記念ということで、夫が運転する四輪駆動の自家用車で行きました。
泊まったのは「アナンタラ カスル アル サラブ デザート リゾート」。アラビアンナイトさながらの建築が素敵です。まるで自分がオアシスにいて、そこから終わりのない砂漠を眺めているようです。
![オリックス。ウシ科オリックス属に分類される偶蹄類。Photo by David Clode on Unsplash](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/2/9/720mw/img_2955d4e2b197797d24240c58d40d136f222924.jpg)
ホテルのプライベートプールに入ろうとしたとき、先客のヘビが泳いでいたり、砂漠でオリックス(上写真)を追いかけて車で道無き道を進み、止まってかわいいオリックス2頭を眺めていたら、エンストしていると思ったUAEの双子の男性(そっくりでした)が「大丈夫?」と、救助に来てくれたことも良い思い出です。
![リワ砂漠|Liwa](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/1/5/720mw/img_15fb4c0fb94afa0d33bfd4418be6165f90068.jpg)
リワ砂漠で、人っ子ひとり居ない砂の海に立っていると、どこからともなく神秘的な歌が聴こえてきます。砂の歌です。風にふかれて砂が砂の上に落ちる振動の音です。でも私には旅行者を危険へとたぐりよせる、悪意のある何者かの囁きに聴こえてなりません。360度、どの方向を観ても広がる、果てしない砂丘。今まで生きてきて、ここまでの非日常の空間に身を置いたことがあったでしょうか?
いつまでもいつまでも見ていたい。どのくらいの間立ち尽くしていたでしょうか、ふと恐怖を覚えて砂のベルベットの上を来た方向に向かって走ったのでした。
そして夜。宿から見下ろした砂漠は月夜に照らされて、昼にも増して神秘的。アラビアンナイトそのものです。夢みるようにぼーっとたたずむ我が娘達。千夜一夜がふけていきました。
このリワ砂漠以外にも、アル・マダム砂漠(シャルジャ首長国)や、スウェイハン砂漠(アブダビ首長国)、アル・クドラ砂漠(ドバイ首長国)など、無数のオススメしたい砂漠がUAEにはあります。なんと言っても、UAEの国土の80%が砂漠なのですから!
アル・マダム砂漠(シャルジャ首長国)
![アルマダム砂漠|Al Madam](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/e/1/720mw/img_e1a03bcae2a547ba18e182afa3c5f36b117505.jpg)
スウェイハン砂漠(アブダビ首長国)
![夜のスウェイハン砂漠(アブダビ)で見られるミルキーウェイ(天の川)|Suweihan Desert Abu Dhabi](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/720mw/img_cdd1a27400a57150c3a0262c032fc372126621.jpg)
アル・クドラ砂漠(ドバイ首長国)
![アル・クドラ湖と砂漠|Al Qudra lake and desert](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/e/3/720mw/img_e34d258aa4c631ee7773dce1f06012e791822.jpg)
■UAEの砂漠の楽しみ2:ラクダなど「独自の生態系の生き物たち」を、間近で見られること
UAEの砂漠で出会うことができる、動物や昆虫たちも魅力的です。ファルコン、ラクダ、ヘビ、さそり、サンドフォックス、オリックス、ガーゼル、フクロウがいて、私達を驚かせてくれます。厳しい環境の中にも、生き物は必ずいるのです。
![砂漠とラクダたち](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/720mw/img_f08c178a89c1ae50f1ca16204888ce1c64111.jpg)
ラクダは昔は移動の手段として使われていましたが、そのミルクと肉も食されています。ラクダは暑い時でも10日近く水を飲まなくても平気で、飲む時には3分間で200リットルも飲むことができます。
![ラクダのUP](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/7/4/720mw/img_742c6dadd8abb6f5d128a5017680c5b680900.jpg)
ラクダの長い長い睫毛は砂が入らないようにするためです。いつどこで会っても優しい眼差しのラクダ。遭遇するたびに癒されます。こんなに忍耐強く優しい生き物が他にいるでしょうか? UAEに住んで以来、私が最も愛する動物になりました。
![砂漠にたたずむラクダ](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/f/7/720mw/img_f71dfbe82c5987cd9ed829e160d090de70010.jpg)
立っているとコブの位置までおよそ2.15mもあるので、乗ると結構な高さです。キャメルの脚が長いのは70度近くまで熱くなる地面から体を離すためなのです。 皆さんも是非ラクダに会いに行ってみてくださいね。
■UAEの砂漠の楽しみ3:オアシスと水の流れる谷|ハッタ
そして砂漠と切っても切り離せないのが、オアシスとワディです。ワディとは「河谷」を意味するアラビア語で、普段は流れがなく涸谷となっていますが、雨が降ると急に出水します。
このワディがあることで有名なのが、「ハッタ」という街です。ハッタはドバイから134キロの地点にあり、UAEと隣国オマーンとの国境にあります。ハジャール山脈にあるその素晴らしい渓谷では、サイクリング(マウンテンバイクトレイルがあります)、ハイキング、カヤック、オフロードドライブなどを楽しむ事ができます。
![ハッタのダム。わずかに降った雨が集められている。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/2/4/720mw/img_24d6862872cdf8b1655fd51408d5e2e7168261.jpg)
1、2月は気温が12度と過ごしやすいですが、7、8月は51度にもなる砂漠の中の街から、命の洗濯に訪れる人々の、まさに“砂漠のオアシス”的存在がハッタなのです。渓谷の道なき道を進み、ワディを見つけたときの喜びと言ったら! その青さと緑は、感動的ですらあります。
以上、わざわざ足を運んで観に行く価値のある砂漠の光景をお届けしました。
ちなみにドバイを観光で訪れた際、これらの砂漠にまで足を運ぶ時間がないという人は、午後や夕方からドバイ近郊の砂漠に出かけ、美しい景色を眺めたり、ラクダと触れ合ったり、近場の砂漠ですべて体験できてしまうツアーがあるので、それを利用されてもいいと思います。私のおすすめは「アラビアンアドベンチャーズ」です。
あなたの人生を充実させるためにも、もしドバイやUAEにいらっしゃる機会があれば、ぜひ砂漠やそこに住まう生き物などに触れる、自然訪問の旅にしてみてはいかがでしょうか?
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![](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/5/b/-/img_5b4617bff2de1a5d615357aaa68b374739429.jpg)
- TEXT :
- de Suyrot辛島慶子さん ドバイ在住マダム
- PHOTO :
- Obaid Albudoor