「酉偏」ってなんと読む?「さけへん」「にしへん」ではありませんよ!
明日・5月15日は『ヨーグルトの日』です。
1908(明治22)年に食菌の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞したロシアの微生物学者イリア・メチニコフ博士の誕生日にちなんでいます。
メチニコフ博士はヨーグルトに含まれるブルガリア菌が不老防止に役立つということを研究し世界に発表。 1908年に食菌の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞したイリア・メチニコフ博士の誕生日(1845年5月15日)から。イリア・メチニコフ博士の研究により、ヨーグルトに含まれるブルガリア菌が、健康に良い作用をもたらすことが、世界に広く認識されました。
ブルガリア菌は、ヨーグルトの発酵にかかわる菌です。
現代では、ヨーグルトのみならず、発酵食品全般の健康作用に注目されていますよね。
…というところでまず、本日1問目のクイズです。
【問題1】「酉偏」ってなんと読む?
「酉偏」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「漢字の偏のひとつで、『酵』『醸』などにつく『酉』の部分。」を意味する言葉です。
<使用例>
「発酵やお酒に関連する漢字には、だいたい酉偏がつくのね。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 酉偏(とりへん)です。
「酉」の部首が、お酒や発酵に関連している…というイメージは想起できても、読み方や偏の呼び名はとっさに出てこなかった、という方も多いのでは?
「酉偏(とりへん)」です。
「酉偏(とりへん)」は、同じ読み方をする漢字の部首「鳥偏(とりへん)」と区別するため、「日読み(ひよみ)のとり」「酒(さけ)のとり」とも呼ばれます。
前者の呼び名は、「酉(とり)」は十二支に出てきますので、「カレンダー(日読み)にかかわるほうの酉(とり)」という意味です。
なぜ「酉(とり)」の字が、お酒や発酵に関連する部首かといえば、「酉」がもともと「酒壺をかたどった象形文字」だからです。
さて、2問目に参りましょう。
【問題2】「醒ます」ってなんと読む?
「醒ます」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「酔った状態から正気に戻す、また、戻る。」ことを指す言葉です。
<使用例>
「ゆうべお酒を飲み過たから、帰り道は酔いを醒ますために歩いて戻ったの。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 醒ます(さます)です。
「覚ます(さます)」「醒ます(さます)」はおおむね同じ意味合いですが、
「覚ます(さます)」は「眠り」などから「さます」、「醒ます」は「酔った状態」から「さます」、というニュアンスの違いがあります。
「醒」の字は常用漢字ですが、読めましたか?
実は「醒」の字は、2010年から「醒(セイ)」という音読みで『常用漢字表』に新しく入った字で、
「醒ます(さます)」は、その表外読みになります。
常用漢字は義務教育で学ぶ字ですので、最近の子どもたちに遅れぬよう、「醒」の字、覚えておきましょう。
この字が使用される熟語では「覚醒(かくせい)」がポピュラーですが、この熟語にまつわるトリビアもご紹介しておきますね。
以前常用漢字表に「醒」が入っていなかったため、法律上、違法薬物を「覚せい剤」と表記していたものが、
2010年に「醒(セイ)」が常用漢字に入ったことを受け、
2020年4月以降は法律上「覚醒剤(かくせいざい)」という表記に統一されることに変更されました。
「覚せい剤」という特殊な表記は、現在ではフォーマルな表記でなくなったわけです。
常用漢字に入るか、入らないかの変更で、いろいろと周辺事情も変わるものですね。
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本日は、5月15日『ヨーグルトの日』にちなんで、「酉」の部首に関連する日本語から、
・酉偏(とりへん)
・醒ます(さます)
などの読み方、背景についておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)/『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/『Yahoo!ニュース』(2020年4月1日版)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱