ライブや芝居、スポーツなど、「体を使った表現」に対して幅広く使われる「パフォーマンス」という言葉。「コスパ」の「パ」も、「パフォーマンス」が略されたものですが、こちらは全然、意味合いが違いそうですね! 今回のお題は「パフォーマンス」。使われるシーンや前後の文脈によって、違うニュアンスをもつ言葉ですが、この記事を最後まで読めば、「パフォーマンス」という言葉の軸、エッセンスが理解できるはず。一緒にレッスンしましょう!

【目次】

「パフォーマンス」????????
「パフォーマンス」とは、幅広い意味で使われる言葉。

【簡単にいうと「パフォーマンス」って、どういう「意味」?】 

■私たちが日常使う「パフォーマンス」の意味

「パフォーマンス」は英語の[performance]を由来とした言葉で、主に3つの意味があります。 

■1:演劇・音楽・舞踊などを上演すること。またはその演技。体を使った表現。
■2:人目を引くためにする行為。
■3:性能。機能。効率。

「パフォーマンス」は[performance]とほぼ同様の使われ方をしていますが、『ランダムハウス英和大辞典』には上記のほかに、「卓越した行為、偉業、功績」や 「(軽蔑(けいべつ)に値するような)異常な行為、愚行、目立つ行動、とんだ見世物」といった記載もあります。

日常会話では、「BTSのダンスパフォーマンス、めちゃ派手でかっこいい!」といった使い方や、反対にやや侮蔑的な意味合いで、「(一生懸命なフリをしているけれど)どうせパフォーマンス」でしょ」といったネガティブ表現まで、「パフォーマンス」は幅広い意味で使われています。「体を使った表現」にはスポーツも含まれ、「プレーそのもの」や「成績」、「表現」などを表します。

つまり、「パフォーマンス」とは、総じて「よくも悪くも人目につく行為」だといっていいでしょう。頭から絵の具をかぶって、白いキャンバスに激突するなど、アーティストが体を張って作品の一部となることは「パフォーマンスアート」と呼ばれています。

■ビジネスシーンで使われるときの意味

ビジネスシーンでの「パフォーマンス」は、「性能」「効率」「成果」といった意味で使われます。パソコンやスマートフォンなどのIT関連、製品については、「性能」や「処理能力」「商品価値」という意味合いが濃く、上司が部下を評価する「パフォーマンス」といえば、「実績」「効率」「成果」だと思ってよいでしょう。あるいはずばり、「売上」を指しているとも考えられます。

また、「経済・金融」の世界では、証券などの過去の「運用実績」を指します。


【知っておきたい「パフォーマンス」の「関連用語」】

■「コストパフォーマンス」とは

「ある物の費用(コスト)とその成果(パフォーマンス)を比較したレベル」のこと。
英語の[cost performance]とほぼ同様の意味で、「費用対効果」やコンピュータの「費用対性能比率」と訳されます。少ない費用で得られるものが大きければ、「コストパフォーマンスがよい(高い)」と表現し、その逆は「コストパフォーマンスが悪い(低い)」と表現します。
「コストパフォーマンス」は「コスパ」と略されます。「コスパ最高」とは、「超お得!」を意味する褒め言葉ですね。

■「スポーツパフォーマンス」とは

「スポーツパフォーマンス」とは、「運動の数値化」のこと。勝敗だけにとどまらず、目標スコアを出すこと、体がもつ能力を最大限に引き出すことなども含め、より高いレベルを目指すことが「スポーツパフォーマンス」という概念です。計測器機の発達により、身体能力を数値化し、分析することで、選手はより高いパフォーマンスを発揮するヒントを得ることができます。

■「パフォーマンスキャプチャー」

三次元空間における人間の動作に加え、表情の変化までデジタルデータとしてコンピュータに取り込む手法のひとつ。映画やコンピュータゲームの分野で利用されています。従来のモーションキャプチャーよりも、動作を記録するための印やセンサーの数を大幅に増やし、専用の小型カメラで表情をとらえることで、情感豊かな演技をCG(コンピュータグラフィックス)で再現することが可能となりました。


【ビジネスでの「使い方」がわかる「例文」5選】

■1:「○○さんは異動になってから、彼本来のパフォーマンスを発揮しはじめた」

■2:「上質な睡眠は確実に仕事のパフォーマンスを向上させる」

■3:「彼の残業は激務をアピールするためのパフォーマンスだ」

■4:「スマートフォンに新しく入れたアプリのおかげで仕事のパフォーマンスが上がった」

■5:「このパソコンは値段のわりにパフォーマンスが悪い」


【[パフォーマンス」の「言い換え」「類語」表現】

「パフォーマンス」は使われる場面に応じて、別の言葉で言い換えが可能です。

■アウトプット

「アウトプット」の由来は英語の[output]。もともとは「出力」という意味ですが、ビジネスでは「事業活動の実態」や「成果」という意味でも使われます。各種活動の実施回数や参加者数など、事業の実施量(アウトプット)をもとに、事業が計画通りに実施されているかを評価することを「アウトプット評価」といいます。

■プロダクティビティ

「プロダクティビティ」は、英語の[productivity]由来の言葉です。「生産性」「生産力」を表します。

■プレイ

「プレイ」=[play]は、「遊ぶこと」「演奏すること」を意味します。スポーツ界においては「プレー」と「パフォーマンス」は、ほぼ同義語といっていいでしょう。

■ショー

英語[show]由来の「ショー」は、音楽や舞踊を中心とした視覚的要素の強い芸能を指し、「アイスショー」や「トークショー」のように使われます。「パフォーマンス」も「演じること」という意味をもっていますが、比較すると「ショーの場で行われること」を「パフォーマンス」と表現するのが一般的です。

■大言壮語

「大言壮語」は「たいげんそうご」と読みます。【実力不相応な大きなことを言うこと。また、その言葉】という意味で、「実力もないのに大きなことを言うこと」をこう表現します。「どうせパフォーマンスでしょ」のように、ネガティブに使われた際の「パフォーマンス」と近い意味になっています。

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「パフォーマンス」は「偉業」から「愚行」まで、幅広い「行い」を示す言葉です。そしてその場には評価を下す人が必要です。こう考えると、「業績」や「(スポーツの)プレー」などの意味を含むことが理解しやすいのではないでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/ランダムハウス英和大辞典(小学館)/『イミダス』(集英社)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP) :