寒い季節に熱い湯というイメージの強い温泉ですが、夏には夏ならではの楽しみ方があります。とりわけ40度未満のぬる湯は、副交感神経を優位にする作用があるといわれており、猛暑の疲れを癒すのにぴったり。この夏のバケーションは、極上の湯で心身をリフレッシュしてみませんか?
そこで、全国2,500以上のスポットを巡った経験のある、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんから、夏こそ行きたい温泉宿をピックアップしてもらいました。本記事でお届けするのは、岐阜県高山市にある「山里のいおり 草円」です。
公式サイト
昔話の世界にタイムスリップ!自然に溶け込みながら極上の湯浴み三昧
「山里のいおり 草円」は、岐阜県・奥飛騨温泉郷の福地温泉にあるレトロな湯宿。国の有形登録文化財に登録されている母屋は、築160年以上の古民家を再生したもので、そこに一歩足を踏み入れた瞬間、昔話の世界にタイムスリップしたかのような気分を味わえます。そんな非日常感たっぷりの草円は、湯の質もハイレベルだと植竹さん。
「なんといっても自家源泉なので湯がフレッシュ。無色透明でほのかに硫黄が香り、実際に浸かってみると湯のよさをダイレクトに感じることができます。しかも、温泉の種類が豊富で、湯巡り気分を満喫できるのも推しポイントです。なかでも、私のイチ推しは貸切風呂。3つある貸切風呂のなかに、35度のぬる湯と42度のあつ湯の浴槽が並んでいるところがあり、そこでの温冷交互浴が実に心地よく、エンドレスで浸かっていたくなるほど。ちなみに、温冷交互浴は自律神経の乱れを整えたり、疲労回復効果を高めたりするといわれており、夏バテを解消したい人におすすめの入浴方法です」(植竹さん)
「もう一か所、お気に入りのスポットは、大浴場の『福の湯』。開放感のある半露天式のお風呂と足湯があり、この足湯が個人的に刺さりました。ムンムンと立ち込める湯煙をお肌にたっぷり浴びたり、吸い込んだりしてミストサウナのような快感がやみつきになります」(植竹さん)
草円ではこのほか、2つの露天風呂「釜湯」と「岩湯」も好評。
「釜湯はまん丸の湯舟で中心にテーブルのようなものがあるユニークな形状。そのテーブルに手をついて深緑と川の景色をのんびり眺めながら湯浴みするのは至福のひとときです。もうひとつの岩湯は巨石造りの露天風呂。目の前に平湯川が流れ、そのせせらぎをBGMに自然との一体感を堪能することが叶います」(植竹さん)
囲炉裏でいただく飛騨グルメは格別の味わい
「夕食を囲炉裏でいただくのも草円ならではのおもてなし。昔ながらのほっこりした雰囲気ながら、しっかりと区切りはあるのが令和式で、時世柄安心できました。そら豆の茶巾、菜の花の胡麻和え、奥飛騨サーモンや山菜、五平餅、岩魚など土地の食材を生かした旬菜はどれも素朴でしみじみした味わいです。もちろん飛騨牛のステーキも絶品。素材がいいのでシンプルに塩、ワサビのみでおいしくいただけました」(植竹さん)
以上、「山里のいおり 草円」をご紹介しました。昔話のような非日常空間で心身を整えたい人は、ぜひこの夏の旅先候補に加えてみてはいかがでしょうか?
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- 山里のいおり 草円
- 住所/岐阜県高山市奥飛騨温泉郷福地温泉831
- 客室数/全15室
- 料金/1名 ¥19,580~(税込)
- TEL:0578-89-1116
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生