長い歴史を誇る日本の温泉文化において、近年はただ伝統を受け継ぐだけでなく、そこにコンテンポラリーな要素を融合した個性的な湯宿が続々とオープンしています。老舗旅館の鄙びた風情も味わい深い一方、建築家が手掛けたスタイリッシュな空間も気分が上がるものです。

そこで、温泉で日頃の疲れを癒すと共に趣に満ちた建築美に触れて感性まで磨かれそうな湯宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんにピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、群馬県谷川温泉にある「別邸仙寿庵」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

ルレ・エ・シャトー加盟のラグジュアリーなお宿は建築美も圧巻

ルレ・エ・シャトー加盟の宿泊施設は日本国内に11軒のみ
ルレ・エ・シャトー加盟の宿泊施設は日本国内に11軒のみ

東京から関越道自動車道で90分ほど。日本百名山のひとつ谷川岳のふもと、谷川渓谷に佇む「別邸仙寿庵」は、世界的権威を誇る会員組織「ルレ・エ・シャトー」に加盟するハイクラスなお宿。フランスで発足した「ルレ・エ・シャトー」に加盟できるのは、厳格な審査をクリアした宿泊施設、レストランのみ。別邸仙寿庵はその一員にふさわしく、非日常感たっぷりの優雅なステイを叶えてくれます。

エントランスから雰囲気たっぷり
エントランスから雰囲気たっぷり

「和モダンをテーマに建築家の羽深隆雄氏がデザインした湯宿は、伝統技術と現代文化の融合がとても素敵です。特にお宿のシンボルとなっている美しい廊下は圧巻。高さが8mもあるガラス張りの曲面廊下で、チェックイン手続き後、客室に向かって廊下を通るだけでも優雅な気分に浸れます」(植竹さん)

夜間はライトアップされる曲面廊下
夜間はライトアップされる曲面廊下

「曲面廊下は、建築系の雑誌でもたびたび紹介されるほど有名ですが、それ以外にも仙寿庵では館内の随所に匠の技が。例えば、食事処では入口に組子障子が用いられており、その精緻な美しさに思わず足を止めて見入ってしまったほどです。その他、漆喰や京土壁、カリグラフィーアートなど数々の伝統工芸が、非日常感を盛り上げてくれます」(植竹さん)

館内の至るところで匠の技が光る
館内の至るところで匠の技が光る

自然の美と温泉を堪能できる客室で極上のリゾート体験

「客室は庭園との一体感を演出するために低層造り。大きめに設計された窓から谷川岳や庭園の四季折々に色づく表情を望むことができます。ちょうど私が訪れた時期は紅葉が見事でしたが、きっとほかの季節でも桜や深緑、雪景色など、四季折々の自然美を堪能できるのではないでしょうか。さらに、全室露天風呂付き。プライベートな空間で温泉を心ゆくまで楽しめるという、まさしく大人のために和のリゾートです」(植竹さん)

客室からの眺めがまるで絵画のよう
客室からの眺めがまるで絵画のよう
ベッドルームも完備
ベッドルームも完備
客室の露天風呂でゆったり寛ぐ
客室の露天風呂でゆったりくつろぐ時間も優雅

開放感あふれる大浴場で温泉三昧

露天風呂「ほたるの湯」
露天風呂「ほたるの湯」

「客室の露天風呂以外に、大浴場も露天風呂と内湯が2つずつあります。露天風呂は“すずむしの湯”と“ほたるの湯”。露天風呂は川の近くにあり、せせらぎをBGMにしての湯浴みは実に爽快です。湯舟の底に敷いていある川石の感触もあいまって、まるで川の中にいるかのような気分に! そして、内湯は“一の蔵”と“仙の蔵”の2つで、こちらもガラス張りになっており、景観をたっぷり楽しむことができます」(植竹さん)

内湯「仙の蔵」
内湯「仙の蔵」

「泉質は弱アルカリ性単純温泉。やわらかく肌なじみがよく、万人受けするタイプの湯ですが、何よりも谷川渓谷の自然を感じられる温泉の雰囲気が格別で、ただのんびり浸かっているだけで心身が洗い清められるような感がありました」(植竹さん)

露天風呂「すずむしの湯」
露天風呂「すずむしの湯」
内湯「一の蔵」
内湯「一の蔵」

以上、「別邸 仙寿庵」をご紹介しました。和モダンな建築美のお宿にて、部屋でも大浴場でも湯浴み三昧。たっぷり優雅な癒しの時間を過ごしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

  • 別邸 仙寿庵
  • 住所/群馬県利根郡みなかみ町谷川西平614
  • 客室数/全18室
  • 料金/1名 ¥45,580~(税込)
  • 0278-20-4141
  • TEL:0278-20-4141

WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生