小学校でクラスメイトと机を並べて食べていた学校の給食。その日の献立が好きなものだと学校に行くのが楽しみになったという人も多いのではないでしょうか? 

そこで、今回は「Precious.jp」の読者にアンケートを実施。68名の回答をもとに当時の給食の姿を探ると共に、現在の給食の姿に迫りました。

■ 毎日の学校給食、読者の半数が「好き」。人気メニューは……?

毎日の給食。実際、どのくらいの人が好きだったのでしょうか?

Precious.jpで実施した読者アンケートでは、半数以上が学校給食は「好きだった」と回答しました。

Q. 学校給食は好きでしたか?

大好きだった22%、まあまあ好きだった35%、普通だった13%、あまり好きではなかった24%、大嫌いだった6%の円グラフ
過半数が「好きだった]と回答

それでは、どんなメニューが人気だったのでしょうか?

Q. 特に好きだった給食メニューを教えてください。

揚げパン32%、ミルメーク16%、フルーツポンチ12%、くじら料理10%、冷凍みかん10%、ソフト麺8%、カレー7%、コッペパン5%の円グラフ
懐かしい給食メニュー、揚げパンが断トツの人気第1位に

断トツの人気第1位に輝いたのは、コッペパンを揚げて砂糖をまぶした「揚げパン」。甘くてサクッとしたお菓子のようなメニューとして人気を集めました。

ココアパウダーのまぶされた細長い揚げパンが2つ白いお皿に並ぶ
人気堂々1位の揚げパン。ココア味、砂糖、きな粉などいくつかのバリエーションがあります

・家では甘いもの、油のお菓子はなかなか食べさせてもらえなかったのでうれしかった (41歳 女性)
・当時、揚げパンはパン屋さんにも売ってない給食だけのメニューだったので、特別な日のとっておきメニューでした。 (44歳 女性)


最近では、揚げパン専門店ができるほど根強い人気があります。給食では食べられなかった揚げたてのアツアツを、定番の懐かしい味はもちろん、クリームを挟むなどの進化した味でも楽しめますよ。

さらに、現在では食卓で見ることが減った懐かしのメニューとして人気があったのが「くじら料理」です。給食で初めてくじらを食べたという声が複数寄せられました。


・くじらって食べられるんだと目からうろこだったし、⻯田揚げが美味しかった (47歳 女性)


飴色に揚げられたくじらの竜田揚げが白いお皿に盛り付けられている
給食の懐かしいメニュー、くじら料理の代表格「くじらの竜田揚げ」

当時の人気メニューではありますが、1987年のIWC(国際捕鯨委員会)の決議で商業目的の捕鯨が一時停止となり、くじら料理が給食に姿を現す機会は減りました。しかし、食べること自体が禁止されたわけではなく、地域によっては今でも給食にくじら料理が登場することがあります。珍しいメニューとして、児童生徒からリクエストが上がることもあるようです。

「揚げパン」「くじら料理」のほかにも、牛乳に甘い味をつけられる「ミルメーク」や、「冷凍みかん」が人気を集めました。

今回、人気上位に上がったのは、どれも給食ならではのメニュー。給食は、家庭では口にできない食や食文化と出合う機会でもあったようですね。

■ 実は、うちの地域だけだった……?ご当地給食メニューも登場

「当たり前だと思っていたメニューが、ほかの地域ではなかった」という方もいるのではないでしょうか?

そこで、「実は、うちの地域だけだったの?」と驚いたメニューについて、読者アンケートの自由回答から今回はふたつのメニューをご紹介します。

・太平燕(タイピーエン)——熊本県

複数人から届いた「太平燕」。熊本県のご当地メニューなのだそうです。


・タイピーエン。熊本だけの給食メニューだと大人になって知りました。 (40歳 女性)


今回、熊本県上益郡益城町学校給食センター栄養教諭の中山葉子先生に「太平燕」についてうかがいました。

透明な麺と白濁色のスープの上にキャベツや筍、エビやイカ、半分に切られた揚げ卵が盛られている
「太平燕」は熊本では定番の麺料理 (出典:haru / PIXTA )

太平燕はたっぷりの野菜にエビやイカといった海鮮物が入っている麺料理です。スープは鶏ガラベースに醤油で味をつけたさっぱりした味わいが多く、お店や地域によって少しずつ異なります。熊本の中華料理店に入ればたいてい置いてある、定番メニュー。熊本県では、全国的な料理だと思っている人が多いのだそう。

特徴は、麺が春雨であることと、揚げた卵が乗せてあること。給食では揚げた卵の代わりにウズラの卵を使っています。

40年以上前から変わらず親しまれているメニューですが、近年では子どもの食物アレルギーに配慮した変化もあります。

味つけなど大部分は昔から変わりませんが、エビやイカは食物アレルギーの兼ね合いで使わないことが増えました」(中山先生)

また、熊本県では、農林水産省の「食育推進基本計画」で定められた毎月19日「食育の日」を「ふるさとくまさんデー」として、太平燕のほかにも熊本の郷土料理や地元の食材を使った料理を給食に出す取り組みを行っているそうです。

・くわいの素揚げ ーー埼玉県

お正月のおせち料理で食べる高級食材、くわい。大きな芽が出ている形から「芽が出る」と言われ、さらに出世や成功を連想する縁起物とされています。そのくわいを給食に出している地域があるとのこと。


・くわいの素揚げ。他の地域の人に聞いたらそんなもの出なかったと言われました。 (31歳 女性)


そこで、くわいの名産地である埼玉県越谷市の教育委員会に「くわいの素揚げ」について詳しくうかがいました。果たして現在でも給食メニューとして提供されているのでしょうか?

お盆の上に、ご飯、汁物、おかずのお皿と牛乳が並び、おかずのお皿には小ぶりな素揚げしたくわいが3つ並んでいる
埼玉県越谷市2017年2月の給食。くわいの素揚げが出た日の献立(写真提供:埼玉県越谷市教育委員会給食課)

越谷市では「くわいの唐揚げ」という名前で、毎年2月の給食に出ているそう。直径2cm程度の小さめのくわいを、芽がついたまま素揚げしてさっと塩をまぶすだけのシンプルな料理です。

「くわいの唐揚げ」が越谷市の給食に初めて出たのは、平成17年。それまでも、大きなくわいをスライスしてご飯と一緒に炊く「くわいご飯」が出ていましたが、「スライスすると元の形がわからない」と当時の栄養士は考えていました。そんな折に生産者から教えてもらった調理法が「くわいの唐揚げ」だったのだそう。

以来、毎年1月に「くわいご飯」、2月に「くわいの唐揚げ」が献立に登場しています。

子どもたちの評判は「スナック感覚でおいしい」という声と、「独特のえぐみが苦手」という声に分かれるといいます。それでも毎年恒例で出しているのには、給食を通して地元の特産品を伝えていきたいという想いがありました。

越谷の児童生徒には特産である『くわい』を知ってもらいたいと栄養士一同考えております。今後も毎年、取り入れていきたいと思います。」(越谷市教育委員会給食課)

■ 近年の給食事情、和食の給食で日本を支える活動も

地元の食材や文化を子どもに伝える役割も担ってきた給食。その給食を通して和食文化を広め、日本の一次産業も支えようとする活動があります。合同会社五穀豊穣(以下、五穀豊穣)が運営する「和食給食応援団」です。同代表の西居 豊氏にお話を伺いました。

学校机の上に乗せたお盆に並ぶ和食の給食
冬至に合わせ和食料理店 銀座 奥田の五十嵐大輔氏が考案した献立。鰤の幽庵焼き かぶのあんかけ、五目ひじき煮、豚肉と白菜と三つ葉の味噌汁、ご飯、牛乳、なんきんプリン小豆のせ(画像提供:和食給食応援団)

「和食給食応援団」は学校給食を通じて、未来を担う子どもたちに「和食」の素晴らしさを伝え、20年後の家庭の「和食」を育てるをコンセプトに、2014年に結成。現在では、全国58名もの和食料理人が参加し、調理実演や献立考案など学校給食を担う栄養士・調理師へのサポートや、学校を訪問して行う児童生徒へ向けた食育授業などの活動を行なっているそうです。 

家庭科室にて、和食料理人の実践を白衣を着た栄養士・調理師10名以上が笑顔で見ている
学校給食を担う栄養士・調理師を集めて行った調理実演の様子(画像提供:和食給食応援団)

これまでの給食はパンと牛乳が中心でした。近年はご飯の日も増えているものの、その多くがカレーやピラフのような味つきご飯。「白ご飯に汁物」という和食が提供される機会は少ないのが現状です。

西居氏は、給食に和食が少ないこと、また献立が洋食中心のため輸入食材が多いことに疑問を抱き学校給食の献立は、日本の食文化の基本である和食にしていくべきだと考えたといいます。

しかし、栄養士・調理師の方々も洋食中心の給食で育ってきたため、和食献立をどうしたらつくれるのか分からないという課題があったのだそう。そこで、和食給食応援団では、和食料理人が栄養士の方々と一緒に献立を考えたり、給食という環境にあった調理法を伝えたりします。

西居氏曰く、最も鍵となるのは出汁の引き方。調理してから児童生徒が口にするまでに時間がある給食では、香りの立つ一番出汁だと味が薄くなってしまいます。そこで、水から昆布と鰹節をフツフツと煮出す方法でしっかり味のある出汁にするだけで、おいしさが大きく異なるとのこと。

今では年間300件もの講演・調理実演依頼が自治体から殺到しているそうです。

お椀の汁物を飲んだ子どもが両目を閉じて大きく口を開いた笑顔を見せている
和食料理人による学校訪問授業の様子。出汁からつくった汁物をいただいた子どもは「おいしい!」と満面の笑みを広げます(画像提供:和食給食応援団)

西居氏は、幼少期にみんなで同じものを食べる「給食」という機会に、大きな可能性を見出しています。

「給食が変われば子どもが農業について知り、成長してからも自分でご飯を炊いたりお出汁をひいたり、国産のものを使うことにつながります。給食は、日本の食の最後の砦と言っても過言ではないと思っています」(西居氏)

東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に向けて日本の子どもたちが海外からいらした方に日本の食文化をご紹介できるような体制をぜひつくりたいと西居氏は語ります。

大人になってからも共通の思い出として語り合うことができる学校の給食。友人と集まって、懐かしい給食の地域や世代による違いも語ってみると、意外な違いや変化が見えてくるかもしれません。その給食が、今後どのように変化し、どのように日本を変えていくのか、楽しみですね。

【調査概要】調査期間:2017年12月13日~208年1月10日 対象:Precious.jp 読者68名 調査方法:小学館IDアンケートフォーム

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
廣瀬 翼(東京通信社)
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