「明日以降にお願いします」「本日は正午以降でしたら対応できます」など、仕事の現場で頻繁に使われる「以降」という単語。時間や時期について示す言葉ですが、「明日や正午は含まれる?」と、迷った経験はありませんか? 今回は、そんな疑問をスッキリ解決します。
【目次】
【「〇日以降」はその日を含む?「以降」の基礎知識】
■読み方
「以降」と書いて「いこう」と読みます。
■意味
「以」という漢字は「ある時・所を起点としてそれより」という意味をもち、「降」には「その時からあと」という意味が。合わせて「以降」で「(示された)ある時点からあと」という意味になります。「10日以降」といえば、10日を含むそのあとを示します。同じ「以」を使用する「以上」や「以下」も、「100以上」「100以下」のどちらも100を含みますね。それと同じだと覚えておけば悩まないでしょう。
■使い方
「いつから」と明確にすることで意味をなすのが「以降」という言葉です。
■いつまでのこと?
「以降」を使用する際にいつまでと示さなければ、「〇以降無期限」ということに。ビジネスで使うなら注意が必要ですね。「12月10日以降12月20日まで」や、「来週水曜日以降、再来週の月曜日中までに」など、具体的に期限を示すべき。「10日以降ならいつでもいいと思ってた」というような行き違いが防げます。
【「以後」とはどう違う?「類語」や「言い換え」「対義語」も】
類語に「以後」や「今後」がありますが、これらとの違いは「以降」は単独では使わないということ。例えば、「以後お見知りおきください」や「今後もよろしくお願いいたします」など、「以後」や「今後」には「現在から」という意味が含まれています。「以降」という単語自体に時間的な意味はないので、「いつから」と明確に示すのがお約束です。また、「以来」は「以降」とは逆に、「ある時点から現在までのこと」を示す言葉。「先月会って以来見かけない」とは言いますが、「先月会って以来、来月まで会わない」とは言いませんね。
では、次に「類語」と「同じ意味の言い換え」を整理しておきます。
■類語
・以後 ・今後
■言い換え
・~からあと ・それから ・あれから ・これから ・これより ・この先・ このあと
■対義語
「以降」の対義語は「以前」です。「10時以前にお電話ください」と言われたら、ビジネスアワーとして常識的な9時から10時までの間に電話をしましょう。
【時間調整メールにも使える「例文」7選】
■1:「火曜日以降、金曜日までで、日時をいくつかご提示いただけますでしょうか」
■2:「明日は午後1時以降でしたら調整できますので、ご都合のよろしい時間をご指定ください」
■3:「17時以降、翌営業開始時間までは入室できません」
■4:「15日以降お引き取りいただけますが、保存期間は30日までです」
類語を使った例文も見ておきましょう。
■5:「以後このようなことが起きないよう、十分注意いたします」
■6:「今後のスケジュールに関しては、改めてご連絡申し上げます」
■7:「今後は新たな環境のもと、ますますのご活躍をお祈りいたします」
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仕事における時間や日程のトラブルは、「勘違い」や「思い違い」が原因のことがよくあります。そんな残念なことを起こさないために、「14時ではなく午後2時」や「明日以降で来週水曜日まで」など、わかりやすい表現を心がけて。ちょっとした丁寧さが、ビジネススキルの評価につながります。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『敬語マニュアル』南雲社/『新選漢和辞典 Web版』小学館 :