会議などで議論が行き詰まったとき、「今日はここまで。仕切り直しましょう!」などと使われる「仕切り直し」という言葉。「物事をはじめからやり直すこと」を意味する言葉ですが、その由来をご存じですか? ビジネスシーンでの使われ方を例文と共に解説します。

【目次】

相撲を由来とする言葉です。
相撲を由来とする言葉です。

 

【「仕切り直しを」を正しく知るための「基礎知識」】

■「仕切り直し」の「由来」と「意味」は?  

「仕切り直し」は、相撲を由来とする言葉です。力士が土俵に上がって相対し、仕切り線を挟んで立ち合いの身構えをすることを「仕切り」といいます。
両力士の呼吸が合わないため仕切りをやり直すことを「仕切り直し」といい、ここから転じて「物事をはじめからやり直すこと」を意味する言葉となりました。

■「使い方」は?

相撲を由来とする言葉らしく、「仕切り直し」はスポーツや囲碁、将棋などの世界で「勝負事をやり直すこと」という意味でよく使われています。

ビジネスシーンでの「仕切り直し」は、「交渉などを最初からやり直すこと」を指す言葉として使われています。
具体的な使い方を以下の例文でご紹介しましょう。


【「仕切り直し」の「使い方」がわかる「例文」3選】

「仕切り直し」は、本来は「物事をはじめからやり直すこと」を意味する言葉ですが、「現状を打破するため、あえて時間を置くことで形勢を立て直す」という意味合いもあります。広義には「スケジュールを調整する」「計画を組み直す」などの意味で使われることもあります。

■1:「試合は延長15回引き分けで、明日仕切り直しとなった」

野球などスポーツの世界では、再試合の意味合いで使われます。

■2:「議論も尽きたようです。今日はここまでとして仕切り直しましょうか」

「いったん時間をおき、スケジュールを調整する」という意味合いで「仕切り直し」が使われています。

■3:「予算の大幅削減が決まった。残念だがプロジェクトは仕切り直しだ」

「仕切り直し」が「計画を組み直す」「内容を白紙に戻す」という意味で使われている例です。


【「仕切り直し」の別の言い方は?「言い換え」「類語」表現】

■再出発

「もう一度、新規に開始すること」という意味の「再出発」。「リスタート」とも言い換えられますね! 「仕切り直し」よりも前向きなイメージが加わります。

■心機一転

「心機一転」は「何かをきっかけにして、気持ちがすっかり変わること」。この変化はプラスの変化であり、どんよりとした暗い気持ちから、前向きで晴れやか、やる気がみなぎっている状態をさします。

■白紙に戻す

「白紙(はくし)に返す」ともいい、「それまでの経緯をなかったものとして、もとの状態に返す」ことをいいます。「仕切り直し」と異なるのは、白紙に戻したあとに「やり直す」か否かは決まっておらず、そのまま終了する可能性も残していることです。


【「仕切り直し」を使う際の注意点】

■社外宛のビジネスメールでは使わない

「仕切り直し」は「スケジュールを再調整すること」の意味でも使われますが、使用の範囲は社内に留めましょう。取引先に送るメールなどでは、「日程の再調整」など、丁寧な言い方で。

NG:「スケジュールを仕切り直していただきたいのですが、ご検討お願いできますでしょうか」
OK:「スケジュールの再調整をお願いしたいのですが、ご検討いただけますでしょうか」

NG:「スケジュールにつきましては、仕切り直してご連絡いたします」
OK:「スケージュールにつきましては、日を改めましてご連絡いたします」

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会議で議論が行き詰まったとき、いったん休憩を挟んでリフレッシュしたほうが、よい結果を得られることもありますよね。上司からの無茶振りも、「コーヒーブレイクで仕切り直し!」がいちばんの解決策かもしれませんよ。上手に気分転換できるといいですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) :