新作や期間限定のチョコレートが店頭に並ぶ、バレンタインシーズン。自分へのご褒美として買う女性も増えています。そんな自分チョコをただ単に買って食べておしまい、ではもったいない! もしかしたら、これまでのやり方ではおいしさが引き出せていないかもしれません。せっかくの機会です、今年は最高のチョコレートを味わってみませんか?

今回はショコラコーディネーターの市川歩美さんから教えていただいた、最もおいしくチョコレートを食べる条件と保存方法をご紹介します。

■最高においしいチョコレートを食べるための「3つ」の条件

選び方と食べ方にこだわって

(1)カカオ豆が多く含まれたチョコレートバーを選ぶ

チョコレートを購入する際、ただ「有名ブランドだから」などイメージだけで選んだり、便利だからとネット通販で済ませたりしていませんか? 最高においしく食べるためには、選び方にこだわる必要があります。

まず、カカオの風味を存分に味わうには、チョコレートのなかでもシンプルな、チョコレートバー(板チョコ)がおすすめ。成分表示では、含有量の多い順に成分が記載されているので、1番先頭にカカオ豆もしくはカカオマス(カカオ豆をつぶしたもの)があるものを選びましょう

カカオ本来が持つ複雑な風味を本格的に味わいたい方は、70%以上のハイカカオに挑戦してみるといいかも……!?

また、豆の産地による違いについても、市川さんから教えていただきました。

「べトナム産はフルーティー、ハイチ産はナッティー(ナッツの味わい)、中南米のトリニダード・トバゴ産はスパイシーなど、大まかな傾向はあります。ただ、チョコレートはとてもデリケートな食品で、同じ豆からつくられたものでも、発酵の仕方や焙煎の温度や時間をはじめ、いくつもの製造のプロセスによって、驚くほど違いが生まれます。何をおいしいと感じるかは人それぞれですので、2枚以上気になるものを買って自分好みの味を探すのも、チョコレートの醍醐味かもしれません」

そして、「チョコレートバーもいいけど、一口サイズのボンボンショコラも好き!」という人に向けては、以下のようなアドバイスをいただきました。

「ボンボンショコラはつくり手の創意工夫が詰まっていますので、残念ながらパッケージの成分だけでおいしいかどうかを見極めることは難しいです。こだわりの逸品ということであれば、機械による大量生産のものではなく、ぜひアルチザン・ショコラティエの、手づくりならではのものを味わってほしいと思います。

また、購入は通販でもよいのですが、やはり実店舗に足を運んでいただきたいです。チョコレートは、味だけじゃなく、パッケージや店のデザインにもショコラティエの世界観が表現されています。お店に足を踏み入れた瞬間ピンとくるものがあれば、味も自分の好みにマッチすることが少なくありません。

それに、実店舗に足を運べば、ショコラティエとお話ができるチャンスも。もちろん、公式サイト等、ネット上でも多くの情報を得ることもできますが、ただそれだけでわかった気持ちになってしまうのはもったいないと思います」

ボンボンチョコラは手づくりを、そして実店舗でぜひ。

(2)空腹のときor満腹のときに食べない

お腹が空いているときは避けて

おいしいチョコレートの条件は、食べるタイミングも影響します。

「よくありがちな失敗なのですが、空腹時には食欲を満たすことが第一となって、チョコレート本来の繊細な風味を楽しむことができません。逆に満腹時は味を感じ取る余裕がなくなっていることが多いです。とくに、ショコラティエが手づくりした、繊細なチョコレートであれば、味に集中できる体調で召し上がるのをおすすめします」

お腹が空いたから食べる、お腹いっぱいだけど食べる、というのはやめましょう。

(3)常温のミネラルウォーターと一緒に食べる

チョコレートのお供にする飲み物としては、何がベストなのでしょうか?

「チョコレートの種類にもよりますので、コーヒーでも紅茶でもお好みのドリンクで楽しむのがよいでしょう。ただ、私が仕事でテイスティングする際には、常温のミネラルウォーターをお供にします。相性が合う合わないということではなく、水はチョコレートの風味を最もじゃましないからです。

たとえば、複数のチョコを食べ比べるには、ひとつ味わったあと、一旦ミネラルウォーターで口のなかをリセットして、別の種類を口にすると、味の違いがより明確に感じられます。お供がミネラルウォーターというと、優雅なティータイムというイメージからはやや離れてしまいますが、チョコレートの味に本格的に向き合いたいかたにはおすすめです」

とくに高級にチョコレートを食べるときは、常温のミネラルウォーターで味を楽しみましょう。

■最高においしいチョコレートを楽しむための「4つの保存方法」

保存方法にもこだわって

ここまでは買ったチョコレートをすぐ食べる場合でした。ここからは、買っておいたチョコレートの場合をお伝えします。例えば、楽しみにとっておいたのに数日経ったらイマイチだった、ということもありますよね。それは保存のしかたに問題があるのです。おいしく味わうための適切な保存方法は、以下の4つ。

(1)冬場は冷蔵庫に入れない

食品はなんでも冷蔵庫にINという習慣のある人もいるかと思いますが、チョコレートに適した温度はおよそ18度~20度。冷蔵庫で保存すると固く冷たくなって、冷蔵庫から出してすぐの状態は口解けが悪く、味もキャッチしにくいです。暖房や直射日光が当たるような環境でなければ、特に冬場は冷蔵庫に入れないほうがいいでしょう。

(2)冷蔵庫で保存する場合は密封する

夏場に冷蔵庫に保存する場合は、ラップにくるんでさらにジップロックに入れるなど、できるだけ密封するようにしましょう。チョコレートは、香りを吸収しやすいため、密封しないで保存すると、冷蔵庫の他の食品や冷蔵庫自体のにおいのせいで、風味を損なってしまうおそれがあるからです。

キムチやカレーなどと一緒に保存すれば、それはそれは残念なことに……。冷蔵庫以外で保管する場合も、においの強いもののそばには置かないようにしましょう。

(3)冷蔵庫から出したら常温に戻す

冷蔵庫から出した直後は、例えばボンボンショコラの場合、中心部は冷たいまま、外側から徐々に温まっていくという状態です。チョコレートは全体の温度が均一なほうがおいしく味わえるので、10分程度(時間の長さはそのときの室温や季節による)使って、常温にゆっくりと戻しましょう。板チョコレートは厚みが均一なぶん、適温に戻しやすいようです。

(4)大きな温度の変化を加えない

一度、冷蔵庫から出して常温で食べ、そのまま暖かい部屋に放置して、また冷蔵庫に戻して……と温度を上げ下げする環境にチョコレートを置くのはNG。チョコレートは温度変化に弱く、1度温まってから冷やすと成分が分離して表面に白く浮き出るブルーミング現象が起こり、見た目も風味も台なしになるおそれがあります。

冷蔵庫から出したものはその場で食べきること。1度で食べきれないサイズや量のチョコは、食べるぶんだけを冷蔵庫から出すようにしましょう。

おいしいチョコレートを食べるための3つの条件は、それほどハードルが高くなく、すぐにできそうなことばかり。空腹でも満腹でもないとき、お水と一緒に、カカオの風味を味わってみませんか? それだけで、「買ってよかった!」「チョコレートの味の違いがわかった!」など、喜びと幸福感が格段にアップしますよ。

また、チョコレート本来の味わいを損ねないためには、適切に保存すること。これらの豆知識を、友達やパートナーとの会話に織り交ぜながら、印象に残る素敵なバレンタインをお過ごしくださいね!

市川歩美さん
ショコラコーディネーター
(いちかわ あゆみ)日本で唯一のチョコレート専門のジャーナリスト&コーディネーター「ショコラコーディネーター(R)」として、最新のチョコレート情報に精通。チョコレート情報をWeb、テレビ、雑誌など各種メディアに提供、チョコレート関連イベント、トークショー、メディアへの出演のほか、テレビ番組、記事、企画の監修、コラボレーション、コーディネート、商品企画開発に関わる。1990年代前半にフランスの上質なショコラに出会って以来、チョコレート愛好家歴約25年。年間試食数約2,000。メディア、消費者、チョコレートブランドコーディネート、日本の「ショコラのある生活」をより豊かにするべく日々活動を展開している。
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この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美