【目次】
- 「していただく」とは?「意味」と「正しい使い方」
- ありがちな誤用に注意!メールや会話でのNG例
- すぐ使える!そのままコピペOKのビジネス例文7選
- 「~していただく」と同じ意味で使える「類似・言い換え」表現
【「していただく」とは?「意味」と「正しい使い方」】
「していただく」というフレーズは単体で使われることはありません。どのように使われるのか、まずは意味など、基礎をおさらいしましょう。
■「意味」
「して」は動詞「する」の連用形である「し」に、接続助詞「て」が付いた語。そして、「いただく」は、「王冠をいただく」や「雪をいただいた富士山」のように「頭にのせる」や「被(かぶ)せる」を表したり、「食べる・飲む」の謙譲語として使われたりと、複数の意味をもつ言葉です。
「していただく」の場合の「いただく」は、補助動詞「もらう」の謙譲語。謙譲語とは、へりくだることで相手を高める敬語表現のひとつでしたね。ですから、「~していただく」の「~」部分に動詞を入れ「~してほしい」という願いや希望、依頼を丁寧に表したフレーズとなります。
【意味のポイント:まとめ】
「していただく」は、「〜してもらう」の謙譲語表現。自分をへりくだり、相手の行動に敬意を表すフレーズです。
[例]
・書類を確認していただく
・ご参加いただく
ここでの「いただく」は、補助動詞「もらう」の謙譲語で、動詞「する」と組み合わせて使われます。
■表記
「いただく」という語は漢字で「頂く」あるいは「戴く」と書きますが、「していただく」はどうでしょう。第この連載の136回で取り上げた「させて頂きたく存じます」でも紹介していますが、「いただく」にはさまざまな意味があり、漢字の「頂く」は「食べる・飲む」あるいは「(物を)もらう」の謙譲表現です。これは、「食事を頂く」「お酒を頂く」「お土産を頂く」のように使います。ちなみに「雪をいただく」の場合の漢字は「戴く」です。では、「していただく」の場合はどうでしょう。「別の動詞を補う役割の補助動詞は仮名表記が基本」なので、平仮名が正解! このように、同じ発音の言葉でも意味によって漢字を書き分けたり、仮名表記にするのが日本語の特徴ですね。
【表記のポイント:まとめ】
書き言葉では、ひらがな表記「していただく」が原則(補助動詞は仮名で)です。
【ありがちな誤用に注意!メールや会話でのNG例】
「~していただく」は謙譲表現ですが、これだけでは敬語になりません。敬語表現の例を紹介します。
・「~していただきました」
・「~していただけますでしょうか」
・「~していただけますと幸いです」
・「~していただきたく存じます」
近年誤用を指摘されるのは、「食べる・飲む」の意味での「いただく」の表現です。例えば、「どうぞ冷めないうちに頂いてください」という言いまわし。「いただく(頂く)」は「食べる・飲む」の謙譲語ですので、この場合は「頂いてください」ではなく、尊敬語の「お召し上がりください」にすべきです。誤用の多い「させていただく」同様、「していただく」も「いただく」も、使用には注意が必要です。
【敬語として正しく使うポイント】
「〜していただきます」「〜していただけますでしょうか」など、文全体を丁寧に。
NG:「部長にご指導していただく」
→「していただく」は不要!正しくは「ご指導いただく」
NG:「頂いてください(食べる)」
→「いただく」は謙譲語。相手の行動には尊敬語の「お召し上がりください」を!
【すぐ使える!そのままコピペOKのビジネス例文7選】
■1:「金曜日のミーティングですが、開始を13時に変更いただくことは可能でしょうか」
■2:「講演後のパネルディスカッションにもご参加いただけますと幸いです」
■3:「下記の日程のなかでご調整いただけますようお願いいたします」
■4:「先日お送りしました資料、ご確認いただけましたでしょうか」
■5:「現場の状況をご報告いただける時期をご教示ください」
■6:「公演後は規制退場していただくことになりますのでご了承ください」
■7:「こちらへのご記入は扶養でございます」
いずれの例も、「変更いただくことは」や「参加いただけますと」というように、「して」を省くことも可能です。その際には「ご変更いただくことは」「ご参加いただけますと」と、「ご」や「お」という接頭語を付けるとより丁寧な言い回しになります。ただし、ぜひ心得てほしいのは「~していただく」という謙譲表現は自分側を下位に置き、へりくだることによって相手を立てる敬語だということ。より丁寧に…というつもりで「部長にご指導していただく」と言うのは、「部長が自分をご指導する」という意味になるので間違い! この場合は「部長にご指導いただく」が適切です。
【「~していただく」と同じ意味で使える「類似・言い換え」表現】
最後に、「していただく」ではない言い回し例をご紹介します。「していただく」は便利ですが、連続使用すると単調な印象に。以下のような言い換え表現を活用して、語彙力のある印象を。
| 元の表現 | 言い換え表現 |
|---|---|
| ご挨拶していただく | ご挨拶を賜る |
| ご指導していただく | ご指導にあずかる |
| ご対応いただく | ご対応をお願い申し上げます |
| ご協力いただく | ご協力のほどよろしくお願いいたします |
***
「していただく」は、丁寧な印象を与える便利な敬語表現です。しかし、使い方を誤ると、かえって失礼になったり、不自然な印象を与えることも…。
自分を高め、相手とより良い関係を築くために、言葉遣いを磨く。それが、信頼されるビジネスパーソンとしての土台になります。形式にとらわれず、意味や背景を理解したうえで、自分の言葉として丁寧な表現を選ぶ。それが、現代をしなやかに生きる私たちの「令和流・敬語の美学」です。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『敬語ネイティブになろう!!』(くろしお出版)/『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』(角川新書) :

















