雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「パレスホテル」ブランド戦略室室長 柳原 芙美さんの活動をご紹介します。

柳原 芙美さん
「パレスホテル」ブランド戦略室室長
(やなぎはら ふみ)1999年「パレスホテル」入社。フロントレセプション、海外営業、マーケティングを経て現職。’20年2月にラスベガスで行われたホテル業界のカンファレンスに出席、SDGsへの企業ビジョンの必要性を強く意識した。

「もてなす」心で現場が動きだす、ラグジュアリーホテルのSDGs

皇居外苑のお濠のそばに立つ「パレスホテル東京」は、独自の循環型リサイクルシステム(※)をもつ。ホテル内で生ゴミを発酵処理して有機肥料「エコパレス」にし、それを契約農家などに販売するというものだが、この取り組みがスタートしたのは、前身である「パレスホテル」時代の1997年。業界初の画期的な試みだった。

「私が入社したのは’90年代の終わりですが、東京駅から徒歩で職場に向かうなかで、夏は蝉の声、秋口にはトンボの姿、真冬にはお堀にうっすら氷が…と、都心とは思えない豊かな自然を感じていたものです。ところが、ふと気がつけば、そんな光景も見られなくなってしまいました。建て替えによる2012年のリオープンから10周年を迎えるのを機に、改めて、私たちがホテルとしてできることは何かを考えなければ、と」

そのためには、全スタッフの軸となるものが必要だ。こうして掲げられたのが、サステナビリティコンセプト「未来を、もてなす。」であり、「人にやさしいおもてなし」「社会とつながるおもてなし」「自然と生きるおもてなし」の、3つの行動の指針である。柳原さんは、ブランド戦略室室長としてこのコンセプトづくりを担った。

「コンセプトの制定と共に、バックヤードにSDGs関連のポスターを貼るなど社内浸透を図ったところ、社員の認知度もぐっと上がり、さらにはロスフードの利用や、客室のアメニティの脱プラスチックなど、現場からの自発的な提案も増えたんです。はっきりと言葉にし、発信していくことの大切さを実感しました。社員一人ひとりのアクションが会社に、地域に、社会に還元されて、未来へとつながっていけば、と思っています」

【SDGsの現場から】

●オリジナルのエコバッグは大人気アイテム

インタビュー_1
コラボデザインのオリジナルエコバッグは発売同時に完売。その後期間限定で受注生産へ。

●現場の長による「サステナビリティ委員会」を定期開催

サステナブル_1,インタビュー_2
各現場の部門長が集まる「サステイナビリティ委員会」は月1回開催。課題を社内で共有する。

※循環型リサイクルシステムとは…一般的な大規模ホテルでは飲食店や宴会などで一日に出る生ゴミは数千㎏にも。生ゴミを堆肥化するコンポストをもつ施設も増化。

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PHOTO :
望月みちか
EDIT&WRITING :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材・文 :
剣持亜弥(HATSU)