【目次】

目白台ってどこにあるの?「場所」

目白台周辺を歩いていると、古い建物や、旧居跡を示す文京区の看板に出会うことがよくあります。こちらは、詩人・国文学者だった塩井雨江と義弟の大町佳月の旧居跡です。塩井雨江は、近くにある現在の日本女子大学の教授でした。
目白台周辺を歩いていると、古い建物や、旧居跡を示す文京区の看板に出合うことがよくあります。こちらは、詩人・国文学者の塩井雨江と義弟で詩人・評論家の大町桂月の旧居跡です。塩井雨江は、近くにある現在の日本女子大学の教授でした。

目白台は目白通りを挟んで1丁目から3丁目まであります。高台にあってとても気持ちがいい場所です。長年この街の変化を見てきただろう古い樹木が街中のあちらこちらに残されていて、緑の豊かさと歴史の古さを感じます。特に目白台1丁目付近は、神田川に向かって谷へと落ち込む急な傾斜地で、自然がとりわけ豊か。アップダウンは激しい場所ですが、軍人・政治家の山縣有朋や田中光顕など、明治以降も名士たちの邸宅街となっていた人気のエリアです。

目白台の「最寄り駅」

都電荒川線「鬼子母神駅」すぐ近くにあるのが安産・子育の神様である鬼子母神をお祭りする鬼子母神堂です。参道脇には、大きなケヤキ並木があり、この辺りの歴史を感じることができます。境内にはイチョウの巨木があり、こちらの推定樹齢は700年と言われています。
副都心線の雑司が谷駅と都電荒川線「鬼子母神前駅」のすぐ近くにあるのが安産・子育(こやす)の神様である鬼子母神をお祀りする「鬼子母神堂」です。参道脇には、大きなケヤキ並木があり、この辺りの歴史の深さを感じることができます。境内にはイチョウの巨木があり、こちらの推定樹齢は700年といわれています。

目白台は、東京メトロ副都心線の雑司が谷駅や有楽町線の護国寺駅などが最寄り駅です。雑司が谷駅近辺には、路面電車・都電荒川線(東京さくらトラム)も走っています。JR山手線の目白駅からですと、歩くと20分程度はかかりますが、目白駅から目白台を通って新宿方面へと向かうバスも多くあり、便利です。この辺りには、神社仏閣がたくさんあります。雑司が谷駅に近いのが、「鬼子母神堂」(豊島区雑司が谷)です。

目白台の「地図」

目白台の「歴史」と「由来」

『〔江戸切絵図〕』音羽絵図,尾張屋清七、嘉永2-文久2(1849-1862)刊(国立国会図書館デジタルコレクション )
『江戸切絵図』音羽絵図 尾張屋清七 嘉永2〜文久2年(1849〜1862年)刊(国立国会図書館デジタルコレクション )

古地図の江戸切絵図にも示されている通り、目白台は大名や旗本のお屋敷、寺社の多い地域でした。明治以降、お屋敷だった場所には大学などの教育機関が置かれていたり、政財界の人たちの居住地となります。現在の目白通りは、上の古地図では下部に流れている青い川の中央あたりから左に向かって斜めに伸びている通りです。 目白通りは、江戸期には清戸道(きよとみち)と呼ばれ、江戸川(現在の文京区関口)から西進して清戸宿(現在の清瀬市)に至る道で、物流の主街道ではありませんでしたが、農業生産物を江戸に運ぶ道、脇街道として機能していました。そして、地図上部にあるのが現在の護国寺、その左側の畑に囲まれているのが雑司が谷にある「鬼子母神堂」です。

こちらの護国寺惣門は、護国寺への門と共に住宅の門でもありました。この大きさは五万石以上の江戸時代武家屋敷に相当するクラスの門で、当時の寺社の格式を反映しているそう。江戸時代中期のもので、こういった貴重な文化財が身近にあるのも魅力的です。
こちらの護国寺惣門は、江戸時代中期のもので、護国寺への門であると同時に武家屋敷の門でもありました。この大きさは5万石以上の武家屋敷に相当するクラスの門で、この寺社の格式の高さを反映しています。こういった貴重な文化財が身近にあるのも目白台の魅力的です。

目白台の「由来」とは?

現在、目白不動尊がある金乗院前の「宿坂」を登っていくと、写真の目白通りを挟んで鬼子母神堂参道入り口に出ます。
目白不動尊がある金乗院前の「宿坂」を上っていくと、目白通りを挟んで鬼子母神堂参道入り口に出ます。

目白台という地名は、豊島区目白と同じく「目白不動」に由来するとされています。目白不動明王像は、目黒不動、目赤不動などの「江戸五色不動」のひとつです。これを命名したのは、徳川3代将軍の家光。目白不動尊は、昭和20年ごろに戦災で焼けるまでは、文京区関口台町に存在していました。上の「江戸切絵図」でも、「目白坂」と書かれた文字のちょうど下に確認ができます。現在は、本尊が豊島区高田2丁目にある「金乗院」に移されています。

江戸時代から戦後にかけて所在していた広大な細川家の下屋敷跡の一部には、16台当主の公爵・護立氏が1950年に設立した美術館「永青文庫」があります。
江戸時代から戦後にかけて目白台に所在していた細川家。現在、広大な細川家下屋敷跡だった一部のエリアが、16代当主の侯爵・護立氏が1950年に設立したという美術館「永青文庫」になっています。

現在の目白台1丁目付近は、明治初期ごろまでは「高田老松町」と呼ばれていました。旧土井能登守(のとのかみ)(越前大野藩・6万石)と小笠原信濃守(播磨安志藩・1万石)、細川越中守(肥後熊本藩・54万石)など、そうそうたる下屋敷と武家地などを合併してできた町です。この「高田老松町」という名前は細川邸の門前に、老松があったことが由来だそう。老松は鶴亀松と呼ばれていて、上の「江戸切絵図」でも細川越中守屋敷の前に鶴亀と書かれた松の絵を確認することができます。

目白台の3つの「魅力」

■1: 歴史を感じながら散策できる

台地にある目白台は坂が多い。こちらは文京区関口2丁目と目白台1丁目を神田川から北北東へのぼる坂。上には椿山荘と和敬塾がある。坂途中には、美術館「永青文庫」や、政治家だった田中光顕伯爵が明治30年に建てたという「蕉雨園」がある。こちらは胸突坂と呼ばれる坂で、息が切れるほど急な坂。
高台にある目白台はとても坂が多いです。こちらは文京区関口2丁目と目白台1丁目を神田川から北北東へと上がる坂。上には「椿山荘」と「和敬塾」があります。坂の途中には、美術館「永青文庫」や、政治家だった田中光顕伯爵が明治30年に建てたという「蕉雨園」という旧邸も。こちらは「胸突坂(むなつきざか)」と呼ばれる坂で、息が切れるほど急な坂です。

目白台は高級住宅街とはいえ無料で入れる文化施設が数多く点在し、歴史を感じながら散策を楽しむことができます。

関口芭蕉庵

上の写真の「胸突坂(むなつきざか」右手にあるのが「関口芭蕉庵」です。松尾芭蕉は1677年から3年間この場所にあった工事現場か水番屋に住んでいたそう。そして、神田上水の改修工事に携わったといわれています。

肥後細川庭園

肥後細川庭園にある松聲閣は、細川家の学問所であり、住まいとしても使われていた大正時代の建物です。
肥後細川庭園にある松聲閣は、細川家の学問所。松聲閣は、住まいとしても使われていた大正時代の建物です。

ここは、幕末には、熊本藩細川家の下屋敷が、明治初期には細川家の本邸となっていた場所です。 池泉回遊式庭園があり、とても気持ちの良い庭園でお散歩にぴったりです。

 ホテル椿山荘東京

目白台は傾斜地です。この傾斜を生かした森のような庭園には魅了されます。桜や紅葉が綺麗で、お食事とセットで様々なイベントも。蛍も見ることができます。この蛍が、小説「ノルウェーの森」でも登場しているんです。
目白台は南向きの傾斜地です。この傾斜を生かした森のような庭園に魅了される人はたくさんいます。桜や紅葉が綺麗で、食事とセットでさまざまなイベントもあります。春には蛍を見ることも。そして、この蛍が、村上春樹の小説『ノルウェイの森』でも登場しているんです。

椿山荘がある場所は、南北朝時代から椿が自生する景勝地(つばき山)だったといいます。江戸時代は上総久留里藩主黒田豊前守の下屋敷でした。 軍人・政治家の山縣有朋がこの地に惚れ込み、明治11(1878)年に私財を投じてこの土地を購入。庭と邸宅を作りました。それが現在の椿山荘です。

■2:文京区立目白台運動公園がある

目白台公園では、ヨガ教室なども行っています。崖線の上にあって日当たりが抜群に良い。
目白台運動公園では、ヨガ教室などイベントも行っています。台地の上にあって日当たりが抜群に良い場所です。

目白通りをバスに乗っていると、芝の美しい、気持ちがよさそうな場所が目に止まります。それが目白台運動公園の芝生エリア。この公園には大きな多目的広場やテニスコート、ドッグランなどもあります。とても大きな木もあり、歴史を感じる場所です。

■3:有名校が多数!ファミリー層に人気

日本女子大学の他に、付属豊明小学校や豊明幼稚園も目白台にあって人気です。
日本女子大学のほかに、近くには人気の高い日本女子大学付属豊明小学校や豊明幼稚園もあります。

文京区目白台には、日本女子大学があります。日本女子大学は、教育者・成瀬仁蔵が明治34(1901)年に開校した日本で初めての女子高等教育機関です。設立に協力したのは実業家・広岡浅子。NHKの連続テレビ小説『あさが来た』のヒロインのモデルになった人物です。

和敬塾
「和敬塾」は実業家・前川喜作によって創設された学生寮です。村上春樹も塾生でした。

目白台にある「和敬塾」は、村上春樹の小説『ノルウェイの森』の主人公が住む大学寮のモデルになったといわれる場所です。約7千坪を誇る旧細川侯爵邸の敷地内に、地方から上京した男子のために作られた学生寮で、昭和30年(1955年)に設立されました。  そのほかにも、目白台には目白台インターナショナル・ビレッジという東京大学の学生や研究者が暮らす国際宿舎もあります。ここは、東京大学の最先端の研究拠点が併設された施設なのだとか。目白台は、東京大学本郷キャンパス、早稲田大学、学習院大学、立教大学池袋キャンパスなどさまざまな有名大学にアクセスしやすい場所にあります。

目白台インターナショナル・ビレッジ
目白台インターナショナル・ビレッジは、東京大学に在籍する人の居宅です。とても閑静な住宅街の中にあります。

歴史的な場所があちらこちらに点在していて、散策をしてみたらついつい長居をしてしまいました。南向きの急な傾斜地にあり、日当たりは抜群。緑豊かな公園もあり、大学などの教育機関もたくさんあります。先人たちに思いを馳せながら、この場所に住んでみたいと思いました。

参考:文京区ホームページ
     椿山荘ホームページ
       和敬塾ホームページ
     永青文庫ホームページ
     『ぶんきょう道中史跡探訪』(文京区)
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PHOTO :
AC,柳堀栄子
WRITING :
柳堀栄子