京都を舞台にした国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」が、今年も2023年4月15日(土)よりスタートします。京都文化博物館 別館や二条城など、京都市内の歴史的建造物などを会場とし、国内外のアーティストたちの作品を紹介する貴重な機会。今年で11回目を迎える今回は「BORDER=境界線」をテーマに、重要作品や貴重な写真コレクションが展示されます。
15のプログラムのなかから注目したのは、ラグジュアリーファッション業界がサポートする5つの展覧会。Precious読者におなじみのブランドや企業がサポートしたのは、どんなアーティストたちなのでしょうか?
■1:マベル・ポブレット「WHERE OCEANS MEET」Presented by CHANEL NEXUS HALL
会場:京都文化博物館 別館
2023年3月に東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて開催されたマベル・ポブレット国内初の個展「WHERE OCEANS MEET」。今回は「京都文化博物館 別館」へと舞台を移し開催されます。
マベル・ポブレットは、1986年キューバ・シエンフエゴス生まれ。キューバの現代アートシーンで活躍する若手アーティストの一人です。キューバ芸術大学を首席で卒業後、写真、ミクストメディア、ビデオアート、 キネティックアート、パフォーマンスアートといったさまざまな手法で多彩な制作活動を行っています。
彼女の作品のベースとなっているのは、フィデル・カストロ政権下のキューバで育った若い世代のアイデンティティや、世界とのつながりといった彼女自身の経験。作品を通しキューバ社会と今日の世界を語ることで、観る者へ疑問を投げかけています。
今回の「WHERE OCEANS MEETS」展では、島国キューバに生まれたマベルにとって重要な要素である「海、水」がテーマに。さまざまな手法を用いて表現された作品が並びます。
■2:石内 都&頭山ゆう紀「透視する窓辺」With the support of KERING’S WOMEN IN MOTION
会場:誉田屋源兵衛 竹院の間
アートとカルチャーの分野で活躍する女性に光を当てることを目的とし、2015年に発足したケリングの「ウーマン・イン・モーション」。本プログラムの支援により開催されるのが、世代の異なる2人の女性写真家にフォーカスした写真展「透視する窓辺」です。
巨匠としての地位を確立し力強い作品を作り続ける石内 都と、これからの未来を担う若手写真家・頭山ゆう紀、2人の作品が見事にクロスオーバーした本展には、写真祭のテーマでもある互いの「ボーダー=境界線」を越えた世界が広がります。
群馬県桐生市に生まれ、神奈川県横須賀市で育った石内 都。1979年に『Apartment』で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞したのを皮切りに、その後も数々の国際的な賞を獲得し、世界的にも高い評価を集めています。
一方、頭山ゆう紀は1983年千葉県生まれの若手写真家。東京ビジュアルアーツ写真学科を卒業後、生と死、時間や気配など、目に見えないものを写真に捉えようと制作を続けています。プリント作業は自室の暗室で行い、時間をかけて写真と向き合うことで、時間の束や空気の粒子を立体的に表現しています。
■3:高木由利子「PARALLEL WORLD」Presented by DIOR
会場:二条城 二の丸御殿 台所・御清所
ディオールの協賛により開催されるのは、写真家・高木由利子による写真展「PARALLEL WORLD」。独自の視点で、衣服や人体を通して「人の存在」を撮り続ける彼女は、武蔵野美術大学にてグラフィックデザイン、イギリスのTrent Polytechnic にてファッションデザインを学んだ後、写真家としての活動を続けています。
近年では自然現象の不可思議にも深い興味を持ち、「chaoscosmos」というプロジェクトにて映像を含め新たなアプローチにも挑戦。本展では、世界各国の民族衣装を日常的に着ている人々を記録するプロジェクトと、ディオールのために撮り下ろした最新作を含む、現代のファッションを撮影したシリーズがパラレルに展示される予定です。
■4:ココ・カピタン「Ookini」With the support of LOEWE FOUNDATION and HEARST Fujingaho
会場:ASPHODEL、大西清右衛門美術館、東福寺塔頭 光明院
1992年スペイン・セビリア生まれのアーティスト、ココ・カピタンによる写真展は、「ロエベ」財団とハースト婦人画報のサポートにより開催されます。ロンドンとマヨルカ島を行き来しながら制作活動を行う彼女は、2016年にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートの写真分野の修士課程を修了後、写真、絵画、インスタレーション、散文など、多岐にわたる手法で表現を行い、ファインアートとコマーシャルアートの分野を横断。
「Ookini」と題した本展では、2022年10月〜12月まで、KYOTOGRAPHIEのアーティスト・イン・レジデンスとして京都で滞在制作を行った作品が展示予定です。ティーンエイジャーにフォーカスし、フィルムカメラで撮影した、伝統的な家庭で育つ少年少女、学生、ストリートで活動している若者らのポートレート作品が紹介されます。
■5:デニス・モリス「Colored Black」With the support of agnès b.
会場:世界倉庫
「agnès b.」の後援により開催されるのは、1960年生まれ、イギリス出身の写真家、デニス・モリスの写真展です。9歳で写真をはじめ、11歳のときには英国の主要日刊大衆紙『デイリー・ミラー』 にて作品が掲載されるなど、若くからその才能を遺憾なく発揮したデニス・モリス。
1974年には、ボブ・マーリーの初の全英ツアーに同行したのをはじめ、音楽シーンとも密接に関わり、セックス・ピストルズ、マリアンヌ・フェイスフルのアルバムのカバーなど、人々の印象に深く残るアイコニックな写真作品を多数発表してきました。
本展では、1960〜70年代のアフリカ系イギリス人の年代記ともいえる『Growing Up Black』シリーズの作品に加え、代表的なポートレート作品が展示されます。
今年から開催の音楽フェス「KYOTOPHONIE」にはボッテガ・ヴェネタが特別協賛!
京都国際写真祭の共同創設者/共同代表であるルシール・レイボーズと仲西祐介が、「KYOTOGRAPHIE」の精神に基づき新たに立ち上げたミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE Borderless Music Festival」も、今年からスタートします。「調和」「多様性」「交流」「探求」…これらのキーワードを核とし、深いエネルギーに満ちた催しを通じて「繋がり」「対話」「体験」を届けるという取り組みは、春と秋の2回開催予定です。
春会期は「KYOTOGRAPHIE」と同じく2023年4月15日(土)から開幕し、京都市内各所の歴史ある寺院や現代的なホール、庭園などが舞台に。ジャンルや表現手法の域を超えた演出とコラボレーションで、多様なスタイルとプログラムを提供。参加アーティストは実績のあるベテランから新進気鋭な新人まで、多様性を共に享受するメンバーが揃います。
そして、この記念すべき第1回のメインスポンサーとして参画しているのが「ボッテガ・ヴェネタ」! ファッションと音楽との結びつきも、また目が離せないムーブメントのひとつです。
以上、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」と「KYOTOPHONIE Borderless Music Festival」についてご紹介しました。春本番の心地よい季節に開催される本フェスティバル。京都の街並み散策と共に、新しいアートや音楽と出合いに会場を巡回してみてはいかがでしょうか。
【開催概要】
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023(KYOTOGRAPHIE International Photography Festival 2023)』
会期:2023年4月15日(土)〜5月14日(日)
※各プログラムの詳細、チケットについては、KYOTOGRAPHIEオフィシャルウェブサイトよりご覧ください。
『KYOTOPHONIE Borderless Music Festival 2023』春開催
会期:2023年4月15日(土)~5月14日(日)の各週末及びゴールデンウィーク
※各プログラムの詳細、チケットについては、KYOTOPHONIEオフィシャルウェブサイトよりご覧ください。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 池尾園子