モバイルメッセンジャーアプリのLINEは、友人や家族、仲間同士の相互連絡だけでなく仕事でも活用されていて、もはやなくてはならないという人も多いでしょう。そんなヘビーユーザーでも対応に悩んだり、イライラさせられるのが、一般的に言われている「既読スルー」です。今回は、「既読スルー」する人の心理や、その対処法などを解説していきます。

【目次】

「既読スルー」してしまう人の心理とは?
「既読スルー」してしまう人の心理とは?

【「既読スルー」とは一体?】

■読み方

「既読スルー」は「きどくスルー」と読みます。

■意味

「既読」という言葉自体は、「すでに読んでいること。もう読んであること」を意味します。今回取り上げる「既読スルー」の「既読」は、スマホやタブレット、パソコンなどで使えるモバイルメッセンジャーアプリのひとつ、LINEが始めた機能です。これは、送信したメッセージが相手の端末で表示されると送信元の端末に「既読」と表示される機能で、2011年の東日本大震災をきっかけに、安否確認のために開発されました。たとえ返事がなくても「既読」がつけば、少なくともスマホなどの機器が正常に機能していることがわかります。

そして今回取り上げている「既読スルー」とは、「既読がついている(=メッセージを閲覧したと想定)のに返事がない」ことを意味します。「既読スルー=既読無視」ということですね。「なぜ返事をしてくれないんだろう」と心配になったり、「メッセージを読んだのに無視している」というネガティブな心理がはたらくくわけです。


【ビジネスでの「既読スルー」の対処法】

リモートワークも多くなっている昨今、業務の“ほう・れん・そう”を行ったり、急ぎの連絡のやりとりをしたりと、「仕事にもLINEを活用している」という人も多いのでは? 仲間内や家族などプライベートでの「既読スルー」はともかく、ビジネスシーンでの「既読スルー」は対応に悩みます。 今回はその対処法について解説しましょう。

■社内LINEでの「既読スルー」

事例1:明朝の取引先ミーティングの時間変更についての「既読スルー」

ビジネスでの「既読スルー」の何が困るのかというと、「本当に相手に伝わっているかどうかわからない」という点ではないでしょうか。新規メッセージがあるトークルームを開くと、そのメッセージを読んだり理解したかどうかにかかわらず「既読」がつきます。そうです、ただ開いただけで「既読」がつくので、メッセージを送った当人には「内容を理解していながら返信がない」のか、「うっかり開いただけでメッセージには目を通していない」のか判断できないのです。事例1のように緊急の場合や返信が欲しい場合、あるいは心配性な人は、返事が来るまでメッセージを送り続けるなんていうことにもなりかねません。連絡事項には既読スルーせずに、読んだら「承知しました」と返信をするのがビジネスマナーというものですね。

事例2:就業時間外の上司からのメッセージについての「既読スルー」

相手の端末に既読が表示されたと予想はつくものの「できれば見たくなかった」「見たと思われたくない」というケースもありそうですね。たとえば、事例2のように、上司から届いた就業時間外のLINEが一方的な業務命令などなら「返信したくない」と思ってしまうかもしれません。LINEに限らず、業務業務時間外の連絡は、本来ならしても受けてもビジネスマナー違反なのです。「既読スルー」にしておいて、業務時間になったら「気が付きませんでした」と返信するのも手。いずれにしても、「就業時間外のLINEメッセージや業務メールには反応しない」という姿勢をアピール、確立しておかないと、心休まるプライベート時間は訪れませんよね。

 ■社外LINEでの「既読スルー」

ビジネス上の関わりのある社外の方とLINEでやりとりをすること自体、リスクが高くデリケートな問題ですが、LINEグループやトークルームは便利なため、社外メンバーが参加しているプロジェクトの進行中などに、限定して利用している人を含めたら、かなりの人がビジネス利用しているかもしれません。

こういうシーンで相手が「既読スルー」になるもっとも多い理由は「まだ返事ができない」から。しかし、既読スルーは社内の事例1と同様で、ビジネスマナー違反です。個人の判断では返事ができないとか、予定が立てられない場合などには、「まだお答えできません」「もう少々お返事お待ちください」など、とりあえず「あなたのメッセージを受け取って理解しました」という意思表示をすべきでしょう。


【「既読スルー」する人の心理とは?】

上記でも触れましたが、「既読スルー」をする人の心理としては、メッセージ内容を受け入れられなかったり、まだ返事ができなかったりということが考えられます。また、返信を強要されること自体に違和感を覚える人もいるでしょう。もちろん「うっかり既読スルー」という場合もあります。

■「既読スルー」と「未読スルー」、どっちがまし?

「既読スルー」には、なんらかの理由や事情がありそうですが、「未読スルー」の場合はどうでしょう。「未読スルー」とは、「既読」さえつかないまま放置されること。ビジネスのシーンでは業務に差し支えるので、メールなり通話なり、メッセージ以外の方法で連絡をとる必要がありますね。既読スルーされると「既読がついたことを了解したと受け取っていいのか、追いLINEをすべきか」ともやもや悩んでしまうというのがネックですが、「未読スルー」の場合、こちらとしては「読んでいない」と確定できるので対応ができます。その点で言うと、ビジネスでは未読スルーのほうがまし、といえるのかもしれません。

プライベートのシーンでは、どうでしょう。一般的に、連絡を逃したくない相手のLINEは通知をオンにしているものです。未読スルーなら、通知をオフにしているか、オンになっていてポップアップ表示などで受信は確認できたけれどタイムラインを開くには至らない、ということ。あなた自身(あるいはメッセージの内容)に興味がない、興味があると思われたくないということかもしれません。ただし、それは既読スルーも同様といえますから、この場合はどっちもどっち、といえそうです。いずれにしてもSNSでのコミュニケーションは、便利な反面、さまざまなネガティブ感情を生じさせる可能性があるということを十分理解したうえで、うまく活用したいものですね。


【ビジネスでの「既読スルー」はアリ?注意点まとめ】

・可能な限り読んだら短くても返信を。

・相手を心配させない。

・業務時間外のメッセージには返信を強要しない。

・緊急時は別の方法で連絡を。

***

スマホやタブレット、パソコンなどが一般的になったのはここ20年程度のこと。その前の世代の方々はどのように仕事をしていたのか――と考えてしまうこともしばしばです。LINEやメッセンジャーなどのメッセージアプリは場所や時間を選ばすやり取りができるという便利な通信ツールである反面、オンとオフが曖昧になるという事態も引き起こす場合も。できるだけストレスなく活用したいものですね。

この記事の執筆者
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