【HEALTH SPECIAL】私のようにならないで!体験者の失敗から学ぶ「帯状疱疹」

ここ1~2年、コロナ禍以降に急増し大きな注目を集めている「帯状疱疹」。発症すると激しい痛みに襲われ、後遺症が残ることも…。発症率は50代から高くなり、しかも、女性のほうが多いのだとか。

まさにプレシャス世代にとって他人事ではない病気。そんな「帯状疱疹」を実際に経験した編集部S。その後悔と反省の記憶から、病気を防ぐ知恵を共有させていただきます。

体験者のプロフィール:編集部S
『Precious』編集部美容担当
更年期を卒業というお年頃。目下の悩みは骨密度の低下。

失敗から学ぶ「帯状疱疹」反省1:この恐ろしい病気について、あまりに知らなさすぎた

女性がコスメの鏡を見てメイクしている後ろ姿
 

初めは右側の頭部にピリピリとした一瞬の痛み。痛みの頻度は時間と共に増した。髪に手が触れるだけでピリッとする。しかし、片頭痛のせいだろうと我慢してしまった。そのときは「帯状疱疹」など疑いもしない。

「帯状疱疹」については、美智子様や雅子様のニュースで知ってはいた。皮膚にブツブツができる病気くらいの認識しかなかった。まさか、顔に発症した場合、難聴や失明の危険もある、怖い病気だなんて…。この病気との出合いのとき、絶望的な知識不足が最大のしくじりだった。

反省2:仕事で大トラブル発生。ストレスが限界に達した

デスクで仕事に従事する女性の後ろ姿
 

編集の仕事は常に時間に追われているが、その頃は連日の撮影でさらに多忙を極めていた。そんななか、大トラブルが発生。さらに、相手先が盆休に入ったため連絡がとれなくなり、数日は悶々と日々を過ごすことに。

それから約1週間経った頃、頭にピリピリとした痛みが出始めた! 今となってみれば、身体的な疲れのうえに精神的なストレスが重なり、体が悲鳴を上げていたのだ。きっと免疫力も低下していたはず。常に仕事優先で、自らの内なる声を聴いていなかったことも、猛省しきりだ。

反省3:顔のブツブツに気付く。しかし、受診を先延ばしに…

帯状疱疹の症状が出た女性のイラスト
 

不気味な頭痛が始まって4日目。仕事は通常通りに続けていた。ふいにスタッフから「顔のブツブツどうされたんですか?」と声をかけられた。鏡を見ると右こめかみに水疱が広がっている。

「それ『帯状疱疹』じゃないですか?」。

そこで、初めて「帯状疱疹」なのかもしれないという疑念が湧く。その日のうちに病院へ駆け込むこともできたが、「明日の土曜日に行けばいい」と、仕事を優先して先延ばしにしてしまった。遅きに失した医療機関の受診も、今となっては後悔してもしきれない。

反省4:初動のミスが祟った!?目に異変、失明の危機に

翌日、やっと受診。診断はやはり「帯状疱疹」。治療をスタートし、抗ウイルス薬を飲み始める。

しかし、水疱が広がっていた右の目が腫れてきた。翌日になるとさらに腫れて、まるで四谷怪談のお岩さんのよう。そのうち視界が白く濁り始め、ものが見づらくなり、光も眩しく感じる。

翌日に駆け込んだ眼科の診断は「ぶどう膜炎」。「帯状疱疹」のウイルスが眼球の中に入り、炎症を起こしたらしい。ネットで調べると失明の可能性もあると書かれており、恐怖のどん底に突き落とされる…。

反省5:治療は早いほうがいい。痛みは我慢しないのがいい

最初のピリピリとした痛みは、水疱が出現してから、人生で体験したことがない激痛に変わった。10秒に1回トンカチで頭を叩かれるような痛み。もちろん夜も眠れない。痛み止めも1時間も効けばいいほど。もともと薬は飲まないほうがいいという思い込みもあり、一日2回までと勝手に決めて我慢してしまった。

医師によれば、痛みを長引かせる原因になるので、痛み止めは飲んだほうがいいとのこと。我慢したせいか、頭痛は1カ月以上続いた。今回の最大のしくじりはまさに “我慢”。病気において辛抱強さは百害あって一利なしだった。


コロナ禍以降急増中! 早期発見! 早期治療! がなにより大切「帯状疱疹」はこんな病気です

アンチエイジング_1
 
お話をうかがったのは … 植村 功先生
三軒茶屋皮膚科クリニック院長
 

「帯状疱疹」はどんな症状?

はじめにピリピリやヒリヒリとした痛みを感じ、その後に発疹や水疱が痛みの部分に出ると、痛みが激しくなるのが典型的な症状。その痛みは想像以上の激しさです。なかには、発疹が目立たない、痒みから始まるケースも。全身のどこにでも発症し、左右どちらか一方に現れるのがほとんど。胸・腹・背中が最も多く、顔や頭部にも多く発現します。

「帯状疱疹」は何が原因?

子供の頃にかかった水痘(水ぼうそう)のウイルスが原因。日本人の9割は水ぼうそうウイルスを持っているので、ほとんどの人がかかる可能性があります。ウイルスは普段は神経に潜伏していますが、体の免疫機能が低下すると、活性化し神経に炎症を起こします。免疫力の低下は、加齢、病気の影響、疲労やストレスがきっかけとなって起こります。

「帯状疱疹」はどんな人がなる?

70代を中心に50代以上に多く見られ、80歳までに約3人に1人は発症するといわれます。女性のほうが男性と比べ1・4倍も発症率が高いというデータも。当クリニックでは40~50代の働き盛りの患者さんが多いです。そもそも仕事にプライベートに忙しいなかで、さらにコロナ禍による生活の変化とストレスが大きな影響を与えている印象です。

「帯状疱疹」はどんな治療を?

「水疱ができたら3日以内に皮膚科へ」。症状を重くしないためにも、合併症や後遺症を防ぐためにも、治療は早ければ早いほどいい。治療は水痘(水ぼうそう)ウイルスの増殖を抑える “抗ウイルス薬” と、痛みに対する内服が基本です。水疱でも痛みでも痒みでも、気になる症状があれば、すぐに皮膚科を受診してください。

「帯状疱疹」の合併症・後遺症は?

一般的に、皮膚の症状が治まると痛みも消えますが、痛みが長く続くことがあります。なかには、何カ月あるいは何年も痛みが続く後遺症が残ることも。また、顔や頭に症状が出た場合、角膜炎などによる視力低下や失明、難聴や耳鳴りやめまい、脳にウイルスが入ると脳炎、陰部の場合は排尿障害など、さまざまな合併症を発症することがあります。

「帯状疱疹」を予防するには?

免疫力の低下が発症のきっかけとなるため、疲れやストレスをため込まないようにし、体と心に休養を与えることが大切です。また、50歳以上であれば予防接種という選択肢もあります。年齢と共に低下する免疫力を、予防接種で強化するのです。現在、予防接種には2種類あり、効果や費用を考慮し、医師と相談しながら自分で選択することが可能です。

【ワクチンは現在2種類】

◇生水痘ワクチン(ビケン)
種類…弱毒生ワクチン
部位・回数…皮下注射・1回
効果・期間…発症予防約50~60%・5年程度持続
費用…¥7,000~9,000 前後(医療機関によって異なる)

◇帯状疱疹ワクチン(シングリックス)
種類…不活化ワクチン
部位・回数…筋肉注射・2回
効果・期間…発症予防90%以上・9年以上
費用…¥40,000~50,000 前後(医療機関によって異なる)

 

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PHOTO :
Getty Images
ILLUSTRATION :
黒猫まな子
EDIT&WRITING :
木更容子、佐藤友貴絵(Precious)