「返信用の封筒に84円切手を貼付して同封してください」といったように使う「貼付」、どう読んでいますか? てんぷ? はりつけ? いいえ、正しくは「ちょうふ」です。今回はこの「貼付」について、正しい使い方や言い換え表現などを簡単に解説します。

【目次】

「貼付」と「添付」の違いを正しく理解しましょう!
「貼付」と「添付」の違いを正しく理解しましょう!

【「貼付」の正しい「読み方」や「意味」、基礎知識】

■読み方

改めて…「貼付」は「ちょうふ」と読みます。ところが現在では「てんぷ」と読んでもOKとされています。確かに辞書を引くと「慣用読みで、てんぷとも」といった表記もあり、間違いとはいえないよう。そもそもは「添付」との混同から誤って「てんぷ」と読んだことが慣例化したようです。

■意味

貼り付けることを意味します。「切手を貼る」「メモを壁に貼る」「付箋を手帳に貼る」、これらはすべて「貼付」に置き換えることができます。


【「貼付」と「添付」、「貼付」と「貼布」の違い

では、「貼付」と「添付」の違いはわかりますか? また、同音異語である「貼付」と「貼布(ちょうふ)」の違いにも注目してみましょう。

■「貼付」と「添付」の違い

「貼付」は実際に貼り付けること。切手、メモ、付箋、シールなどを、何か別のものに貼ることをいいます。対して「添付」は書類などにその補足となるものを付け添えること。実際に貼り付けるのではなく、セットにするとか、一緒にするという意味で、メールなどで「資料を添付する」というように使いますね。

■「貼付」と「貼布」の違い

「貼布」も「ちょうふ」と読みますが、こちらは「腫れが引くまで湿布薬を貼布する」「患部に包帯を貼布する」のように、布状のものを貼る場合に使用。「貼布試験」といえばパッチテストのことです。


【「貼付」の「使い方」がわかる「例文」5選

■1:「キャンペーンポスターができ上がりました。店内外の目立つところに貼付するようお願いいたします」

■2:「申請書類の送付時には、宛名を書いて該当金額の切手を貼付した返信用封筒を同封するように」

■3:「履歴書には6か月以内に撮影した顔写真を貼付してください」

■4:「出張経費は、精算用紙に領収書を貼付してください」

■5:「出張経費は、精算用紙に領収書を添付してください」

4は「精算用紙に貼り付けること」、5は「精算用紙と一緒に提出すること」を意味します。


【「貼付」の「言い換え」表現

「ちょうふ」と聞いただけでは「貼付」のことだと理解しづらいかもしれませんね。漢字は意味を表していることが多いため、目で読むほうが正しく捉えやすいのです。「貼付」のように違う読み方が慣例化している語句は、わかりやすいように言い換えることも“大人の語彙力”です。

■貼り付ける

■張り付ける

■糊付けする

■くっつける


【「貼付」の英語は[Paste]でOK!】

最後に「貼付」の英語表現を。

paste a receipt on this sheet]で「この用紙に領収書を貼る」という意味です。「手紙に切手を貼る」は[stick a stamp on a letter]となります。

***

今回の「貼付」は、正しくは「ちょうふ」だけれど「てんぷ」も一般的になっている、さらに「添付」と混同しやすい…と、複雑な日本語らしい単語でした。紛らわしい言葉は、誤解されないよう、わかりやすいように言い換えることも“大人の語彙力”ですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :