日本美術史家として日本全国の美術館に足を運び、その楽しみ方を広く深く紹介している山下裕二さん。そんな山下さんが「日本最高レベルの鑑賞空間で、国宝とじっくり対峙できる贅沢な美術館」と絶賛するのが、熱海のMOA美術館です。

所蔵品も空間も景観も! 贅を尽くした美術館

昭和57(1982)年開館。JR熱海駅の背後にある海抜250mの丘の上、7万坪を超える広大な庭園の中に建つ。四季折々の自然も美しい。2017年2月にリニューアルオープン

「現代美術作家の杉本博司さんが主宰する『新素材研究所』が手がけた展示室は、日本の美術館で考えうる限りの、最高の展示空間に仕上がっています。

国宝『色絵藤花文茶壺』の部屋

国宝『色絵藤花文茶壺』のための部屋があるのですが、黒漆喰の壁で囲まれた部屋の中に、写り込みがまったくと言っていいほどないガラスを使ったケースがポツンとあり、そこに壺が展示されている。作品と直に向き合っている感覚は格別です。ただひとつ、困ったことは、ガラスに頭をぶつける人が続出していることくらい(笑)。

所蔵品も素晴らしく、なかでも毎年梅の時期に公開される国宝『紅白梅図屛風』はぜひとも観ていただきたい作品。贅沢なロケーションとともに、旅気分で訪れてほしい美の館です」(山下さん)

国宝3点が一挙公開中!「所蔵 名品展 尾形光琳 国宝『紅白梅図屏風』」は3月13日まで

国宝3点、重要文化財66点を含む約3300点を所蔵するMOA美術館。現在開催中の「所蔵 名品展 尾形光琳 国宝『紅白梅図屏風』」では、3点の国宝がすべて展示されています。

■国宝1:尾形光琳『紅白梅図屏風』

国宝 尾形光琳 『紅白梅図屏風』 江戸時代・18世紀 紙本金地着色 二曲一双 各156.0×172.2cm MOA美術館蔵

なかでも尾形光琳の『紅白梅図屏風』は、名品中の名品。きらびやかな金地を背景に、中央を割くように流れる水流を挟んで白梅と赤梅が対峙します。図案化された装飾的な画面はグラフィックデザインのような大胆さで、晩年の作とは思えないほどのエネルギーにあふれています。琳派の特徴である、にじみを利用した「たらし込み」技法で描かれた梅の樹の、妖しいばかりの写実性も圧巻。

■国宝2:野々村仁清『色絵藤花文茶壺』

国宝 野々村仁清 『色絵藤花文茶壺』 江戸時代・17世紀 一口 高28.8㎝ 口径10.1㎝ 胴径27.3㎝ 底径10.5㎝ MOA美術館蔵

江戸時代の焼きもので国宝になっているのは、野々村仁清の作品だけ。この『色絵藤花文茶壺』は仁清の茶壺のなかでも最高傑作と名高く、京焼の象徴ともいえる作品です。やわらかな白釉地の上に藤花が咲き誇り、花穂と蔓は赤や紫・金・銀などで彩られて、緑の葉には一枚一枚葉脈まで施されているという隙のなさ! 黒漆喰の背景に、ドラマティックに浮かび上がります。

■国宝3:手鑑『翰墨城』

『翰墨城(かんぼくじょう)』とは、翰(筆)と墨によって描かれた城という意味。奈良時代から南北朝・室町時代まで、各時代の古筆が合計311葉、収められています。『藻塩草』(京都国立博物館蔵)、『見ぬ世の友』(出光美術館蔵)とともに、古筆三大手鑑とされています。

手鑑『翰墨城』 奈良~室町時代(8~15世紀)  一帖 38.2×31.9㎝  MOA美術館蔵

ほかにも、MOA美術館のコレクションを代表する名品がズラリと並ぶ、必見の展覧会「所蔵 名品展 尾形光琳 国宝『紅白梅図屏風』」。日本美術と、梅と、海を愛でに、熱海へお出かけして観てください。また館内はレストラン、カフェ、甘味処、そばと、グルメも充実しています!

問い合わせ先

  • MOA美術館
    展覧会名/「所蔵 名品展 尾形光琳 国宝『紅白梅図屏風』」
    会期/2018年開催中〜3月13日
    住所/〒413-0006 静岡県熱海市桃山町26-2
    開室時間/9:30〜16:30(最終入館は16:00まで)
    休室日/木曜日(祝休日の場合は開館)
    観覧料/¥1,600(一般)ほか
    TEL:0557-84-2511
この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
剣持亜弥