生まれ変わったら職人になりたいと、つねづね思っています。本当は今すぐにでもと思うのですが、さすがにこの年齢から弟子入りさせて頂けるわけもなく、来世の楽しみに残しているしだい。そんな私の憧れは、かつてのNHKの10分間番組「手仕事にっぽん」で培われたのではないかと思います。筆、硯、漆器といった日本の工芸品とその職人さんの手仕事を、ただひたすらに追う、シンプルで美しい番組でしたが、端整なものの佇まいと熟練の手業とに、子供心にほれぼれとしていました。日本人って、なんて繊細で豊かなんだろう──。その思いは、年齢を重ねるほどに増すばかりなのです。

資生堂インターナショナル クレ・ド・ポー ボーテ マスカラシルエトフェ 1 ¥5,000(税抜)
資生堂インターナショナル クレ・ド・ポー ボーテ マスカラシルエトフェ 1 ¥5,000(税抜)

実は化粧品にも、同じように感じたことが一度だけあります。それがクレ・ド・ポー ボーテの「マスカラシルエトフェ」。まつげ一本一本をセパレートしながら、根元は太く濃く、毛先に向かってすーっと細くなる仕上がり。ダマになることもなければ、重ねてもひじきになりません。まつげを上げて、広げる効果も確かだけれど、クジャクの羽のような派手な華やかさではなく、あくまでも繊細で、奥ゆかしい女らしさ。ばっちり感が恥ずかしい大人の女性にとって、理想の上品さなのです。しかも濃紺のケースは蒔絵を思わせるような細やかな輝きを帯び、塗っている間には、ふんわりと薔薇の香りが漂います。まるで香をたきしめているみたい。マスカラひとつにしても、日本人の心に沿うMade in Japanの技があるものだと気づかされました。弘法筆を選ばず──つまり、名人は道具を選ばないといいますが、メークの名人でない私には、優れた道具が欠かせません。「手仕事にっぽん」のような卓越した職人技がなくたって、日本人好みの美まつげをつくってくれるマスカラがあるのですから。

■みずみずしいテクスチャーながら、水や汗に強いウォータープルーフ効果と、擦れに強いスマッジプルーフ効果を完備。断面が四角形になった独特のブラシが、まつげの生え際に入り込み、根元から美しく立ち上げる。

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※この情報は2015年6月1日時点のものになります。詳細はお問い合わせください。

この記事の執筆者
1967年生まれ。出版社から転職し、1996年小学館入社。Domani創刊編集部、CanCam編集部、和樂編集部、Precious創刊編集部を経て、’10年にPrecious編集長に。’13年1月よりDomani編集長、’15年10月よりLIVErary.tokyo編集長。'16年11月より現職。好きなもの:タートルネック、デヴィッド・ボウイ、くまのぬいぐるみ、シャンパンorカヴァorフランチャコルタ、池波正太郎、大滝詠一、坂田靖子、相撲とテニス観戦、便箋と封筒、時短コスメ、『ディーバ』、シャーロック・ホームズ(グラナダTV版)、磨崖仏、U2、ダイアナ・ヴリーランド、納豆ごはん、ピアノ協奏曲第20番(モーツァルト)、育ちのいい不良
クレジット :
撮影/中田裕史 文/吉川 純