今や女性のライフスタイルに不可欠な腕時計。日々を彩る装飾具以外の面でも注目が集まる昨今、好奇心は高まる一方。そこで、雑誌『Precious』9月号では、特集「今さら聞けない『ラグジュアリーウォッチの美学』」を展開。静的な芸術として独自の時計観をもつ、ウォッチジャーナリストで大学教授の並木浩一先生にその魅力をうかがいました!
なぜ人々は美しい時計に魅了されるのか? 専門家の視点から、わかりやすくひもときます!
今回は、「機械式時計や複雑機構のおすすめ」についてお届けします。
Q:機械式時計や複雑機構でまずおすすめなのは?
初級編として1本目に推奨するのは、ノンデイトです。装いに合わせてつけ変える女性にとって、たびたび針が止まる機械式は日付調整が面倒ですから、日付なしが便利。ダイヤルが優雅に見えるのも美点です。
中級編としてはムーンフェイズ機構がいいでしょう。月の満ち欠けを表示するロマンチシズムが魅力で、ブランドによって異なる月の美的表現を見比べてもおもしろい。私個人は、レトログラード機構が好みです。リニアに動く針が、起点から終点に達すると瞬時に帰零する独特な機構で、無限軌道を描く円運動とは異なる不思議さに心惹かれます。
機械式の沼にハマるといよいよ気になるのが、複雑機構(笑)。上級編です。いちばんの醍醐味は、やはりトゥールビヨン。キャリッジと呼ばれるカゴに収まる時を刻むテンプが、1秒ごとに1目盛、60秒をかけて1周します。誕生時は、懐中時計の精度向上を求めた機構でしたが、現在は、むしろステイタス性を表現する記号的な役割を担っています。当然、製造自体も難しく、その価値はダイヤモンドと同等と見ています。
いずれにしても、クオーツと違って厚みの出る機械式は店頭での試着を推奨します。実際に触れてみると、その素晴らしさに胸躍るはずです。
※文中の表記は、WG=ホワイトゴールド、DIA=ダイヤモンドを表します。
※掲載商品の価格は、税込みです。
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- WRITING :
- 高村将司
- EDIT&WRITING :
- 安部 毅、岡村佳代、安村 徹(Precious)