マセラティというイタリアの自動車ブランドのことをご存じない方は、多いかもしれません。日本では輸入車といえばドイツ車が主流である一方、他人と同じでは満足できない高感度な人たちの間で、イタリア車は確固たる地位を築いてきました。なかでもハイエンドなつくりで知られるのが、マセラティ。1914年創業と100年以上の歴史を誇る老舗で、高性能なスポーツカーやGT(旅に行ける実用性を備えたスポーツカーのこと)を得意とします。その個性をわかりやすく表現するなら、「艶のあるデザインと乗り味」。それがどういうものなのか、最新のSUV「グレカーレ トロフェオ」でご説明します。
イタリアのプレミアムSUVが心を引き付ける理由
![スポーティなフロントマスクと共に、ラグジュアリーな世界観が漂う。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/6/f/720mw/img_6fdde23923991e5df2da0583f4754b931311232.jpg)
![数ある自動車ブランドのエンブレムのなかでも、マセラティのそれは高貴な雰囲気漂う美しいデザイン。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/1/6/720mw/img_1673a134dc1a7174f02fbc3b679490a61496985.jpg)
イタリアはご存じのとおり、ファッションから生活必需品に至るまで、芸術性の高い物作りで知られています。マセラティも例外ではありません。たとえばブランドの象徴である三叉の銛“トライデント”は、創業者のマセラティ兄弟のうち、芸術の道に進んだ五男が創業の地ボローニャの名物(広場に設置されたネプチューンの銅像が携えた銛)をモチーフにデザインしたといわれています。スポーツカーブランドにふさわしい勇ましさと名門の神話性が伝わってくる、“絵になる”エンブレムです。
このように、ディテールひとつとっても洒落たうんちくが語れるマセラティ。近年は4ドアのスポーツサルーン「ギブリ」「クワトロポルテ」がビジネスパーソンを中心に人気を博し、ブランド初のSUV「レヴァンテ」ではセレブリティの男女から圧倒的な支持を受けています。「グレカーレ」は昨年日本に導入されたアッパーミドルクラスのSUVで、今回取り上げる「グレカーレ トロフェオ」は高性能エンジンを搭載した最上位モデルです。
![ボディサイドにもトライデントのエンブレムが! ディテールにもこだわったつくりが、所有する悦びを格上げ。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/720mw/img_88ac5b82287654c7632397bce22ef2fb993229.jpg)
どこにでも乗って行けるスポーツカー的要素を備えたSUV
![タイヤを覆うボディパネル周辺が優雅な曲線を描き、とても艶やか。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/f/3/720mw/img_f33c7c43a04f038226fdbc142b97806b1366471.jpg)
![前輪近くのフェンダー部分に3つのエアベントが付くのは、マセラティの伝統。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/720mw/img_2b801f85cac7c64f3179daffb9a0e021837812.jpg)
「グレカーレ トロフェオ」のスタイリングは、写真で見る以上にグラマラス。流線形のスポーツカーに厚みを持たせたといえばわかりやすいでしょうか。かといって威圧感のある印象はなく、むしろ品格が漂うのは、ローマ帝国時代やその復権であるルネサンス期の、人間的な美しさを追求してきたイタリアの伝統美学が根底にあるからではないでしょうか。
![室内のダッシュボード中央にアナログ時計が設置されていたのも、かつてのマセラティでよく見られた光景。最新の「グレカーレ トロフェオ」では、表示を切り替えられる液晶タイプの時計を装備。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/3/2/720mw/img_3279fcd0ae32b0b09ae4ecb943d59357828934.jpg)
![車内からドアを開ける際は、丸いボタンを押して。一般的なレバーを引くタイプよりもエレガント!](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/720mw/img_845f33fa4ed0ad3bfa196fbd2414043d1238521.jpg)
「美は細部に宿る」の言葉どおり、美しさはディテールにも。前述のエンブレムをあしらったホイール(タイヤを組み込む金属部分)やボディサイドに象られた3連のエアベント(空気取り入れ口)、その上に付くモデルエンブレム、大きく口を開けたフロントグリルなどがそうです。
室内空間もスポーティな雰囲気満点。「グレカーレ トロフェオ」は高性能エンジン搭載モデルゆえ、ブラック内装に施された赤いステッチ(レッド内装×イエローステッチの組み合わせも選択可)やカーボンファイバーの装飾パネルがアクティブな世界観をより強いものにしています。
純粋なスポーツカーと違うのは、居住性。スカートをはいていても乗り降りがしやすく、十分な広さの後席と荷室を備えた「グレカーレ トロフェオ」は、スポーツカーのマインドを秘めた、極めて実用性なSUVなのです。
普通の自動車とは別世界の走行体験!
![操作系や各種表示をミニマルにまとめたとした運転席周り。ハンドルから手を放さずに変速できるパドルシフト付きなので、エンジンのフィーリングを感じながら楽しく運転できるのが魅力。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/f/720mw/img_8fa1eef2dd9bce2fdcb537111aa5c2ba1022306.jpg)
![中央の前面パネルにシフトセレクトボタンが付く、個性的な設計。モニターには様々な情報を表示でき、ドライブモードの状態もここに表示。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/f/7/720mw/img_f7fe7fce3df2e8dcb855ddffb8c9c0cc1083220.jpg)
デザインについて細かく書きましたが、このSUVの個性は、やはり運転したときに最も強く感じられます。パワフルなエンジンは街を流しているだけでも爽快感にあふれますが、走行フィールを設定できるドライブモードを「スポーツ」に変更すると、乾いた排気音と共にパワーがみなぎり、ぐいぐいと加速していくのです。もっとも、そこに粗暴な味わいはありません。
スポーツカーには特有の走行フィーリングがあり、エンジンだけでなく、ハンドルを少し切るだけで鋭く曲がる操縦性やカーブで車体が振られないために強化された足回りなど、様々な要素が組み合わさって俊敏な走行を可能にしています。「グレカーレ トロフェオ」はそうしたスポーツカー的素を踏まえながら、胸が高鳴るエンジンサウンドとパワー、そしてほど引き締まった乗り心地を味わえるようにつくられています。
しかも、それを乗車定員5名の広々とした快適空間で体験できるのです。日常からちょっと離れた世界を垣間見たときの感動は、芸術的感性を盛り込んだマセラティなればこそ。
![座面と背もたれの中央にパンチングレザーを用いたスポーツシート。フィット感は抜群で、それでいて上半身や太ももを左右から支えるサポート部分の出っ張りが、乗り降りの支障となることもなし。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/1/720mw/img_81378050ab5389bf5e4085759dd4b6621010120.jpg)
![後席は頭上、足元共に十分な広さ。ドラマティックな時間を最大5人で共有できるなんて、実にラグジュアリー!](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/1/5/720mw/img_15a87bd1fd281f452f60af571cd4d9041076102.jpg)
なお、秘めた高性能の大部分はサーキットを走って初めて体感できるほど高いものです。その一端を旅行く途中の高速道路などで味わったら、日々のストレスなど一瞬で吹き飛んでしまうことでしょう。
「グレカーレ」シリーズにはエントリークラスのエンジンを搭載したモデルもあり、そちらもなかなか刺激的ですが、マセラティの真髄を堪能するなら、無類の艶やかさを内包した「グレカーレ トロフェオ」が断然おすすめです。
![後席が3分割でたためて、トロリーからゴルフバッグまで自在に積める荷室を装備。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/b/0/720mw/img_b06485b209bca1629f7878e26cb01ff61144586.jpg)
![天井には、前半分が開閉するパノラマガラスルーフが。太陽を感じてドライブできる、重要な装備。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/5/d/720mw/img_5d55f701e93dfeb72571aad3fd3b6c471245159.jpg)
Maserati Grecale Trofeo
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,860×1,980×1,660mm
車両重量:2,030kg
車両本体価格:¥16,040,000(税込み)
問い合わせ先
- TEXT :
- 櫻井 香さん ライフスタイルエディター