雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「島津製作所」常務執行役員、人事・ダイバーシティ経営・健康経営担当の梶谷良野さんの活動をご紹介します。

梶谷良野さん
「島津製作所」常務執行役員 人事・ダイバーシティ経営・健康経営担当
(かじたに よしの)1984年島津製作所入社。1995年、シンガポールで社内初の女性駐在員に。帰国後、島津インターナショナルに出向、’14年グループ初の女性社長に就任。’17年に島津製作所執行役員・広報室長となる。’21年より現職。

世界的企業だからこその多様性とは?次世代ダイバーシティのキーパーソン

医療をはじめ幅広い分野で精密機器を手がける島津製作所。グループ会社を含めて世界中に拠点をおくこの大企業で、常務執行役員として「人事・ダイバーシティ経営・健康経営担当」を担うのが梶谷さんだ。自社の最新医療機器を社員が利用できるようにするなど数々の取り組みを行っているが、なかでもダイバーシティ、特に女性活躍は重要課題だ。

「もともと、1948年から女性向け産休制度を採用するなど、女性が働きやすい仕組みづくりには早くから取り組んでいた会社でしたが、最近、不妊治療休暇や、生理休暇も時間単位で細かく取得できるようにするなど、さらなるレベルアップを図りました。女性管理職を増やし(※)、彼女らが力を発揮できるように、研修やメンタリング制度も充実させています」

女性や外国人といった“属性”で語るだけではなく、個人の多様性を尊重する。それは、ダイバーシティ経営の次なるステージだ。

「グループ全体で会議を行うとよくわかるのですが、課題は国によってさまざまです。日本では女性活躍が叫ばれているけれど、必ずしもそれだけではないはずなんです。今は、海外拠点とも連携して、企業風土にダイバーシティを浸透させていくことも始めています。ひとりひとりが強みをいかせるように、それぞれの場所で仕掛けをつくって実践する。それを、年に一度独自開催している『ダイバーシティウィーク』で発表しあえたらと考えています」

社内初の海外駐在、グループ初の社長就任と、「女性初」を経験してきた梶谷さんだからこそ、理解できることがある。「女性」に心を配りながらも、ひとりの「人」として相手を見る視点が、心強い。

【SDGsの現場から】

●自社製品を健康経営に役立てる

自社が開発した、世界初の脳と乳房が同時にPET検査できる製品。社員の受診費用を補助。

●本社業務棟には社員や顧客向けに礼拝室を設置

社内での礼拝室の設置は全国的にも珍しい取り組み。ダイバーシティの象徴的存在に。

※女性の管理職を増やすとは…厚生労働省の調査によると、’22年10月時点で、従業員10人以上の企業での、課長以上の女性管理職の割合は12.7%。G7では最下位。

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PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
取材 :
木佐貫久代