雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「タカギ」代表取締役社長の高木麻衣さんをご紹介します。

高木麻衣さん
高木麻衣さん
「タカギ」代表取締役社長
大学卒業後、リーガロイヤルホテル京都、伊藤忠ファッションシステムを経て、’14年に家業である「タカギ」に入社。’18年、子供対象の月経教育「HAPPPYプロジェクト」開始。’21年に“ayame(アヤメ)”を立ち上げる。

現代版サニタリーショーツの開発で女性の体と心に寄り添う

1960年代に日本で初めてサニタリーショーツの製造を開始し、以来、女性用下着メーカーとして素材開発からデザイン、自社工場での生産までを手掛けてきた「タカギ」。現在社長を務めるのは、サニタリーショーツを開発した高木アヤメさんの孫、麻衣さん。ホテルやファッション関係の仕事を経て、’14年に入社した。

「入社してから、娘3人を出産して、女性の働き方ということについてすごく考えたんです。若い女性が活躍しやすい環境を整えていかなくては、と。そこで’16年からフレックス制とテレワークを試験的に実施し、’18年から実施。実は当時、社内からもかなり反対があったのですが、その後そのままコロナ禍に突入して。タイミングがよかった。女性のために、私でなければできないことを続けていこう、と、改めて決意しました」

新ブランドも立ち上げた。祖母の名をつけた“ayame”だ。

「ファーストアイテムとして、吸水パッドを取り替えることができる吸水ショーツを開発しました。今は紙ナプキンが進化して、サニタリーショーツを知らない人も多いんです。そこで温故知新、現代版のサニタリーショーツをつくろう、と。肌当たりや衛生面への提案ももちろんですが、生理そのものにもっと関心をもってもらいたいという思いもあるんです」

小学生の男女を対象に、生理にまつわる教育活動(※)も行っている。

「娘の学校でセミナーを提案したのがきっかけです。生理は、赤ちゃんを産むためというより、自分の体が元気かどうかを教えてくれる、すごく大事なものなんだということを伝えています。ひとつひとつが、女性が活躍しやすい未来への布石になればうれしい」

【SDGsの現場から】

●素材と縫製にもこだわった“ayame”ブランド

「ayame」のインナー
ショーツのほか、ブラジャーや温熱腹巻きも。すべて自社工場で、糸の編み立てから行う。

●女性経営者との交流を企画し地域創生を目指す

トークイベントの様子
奈良の女性経営者を集め、室生寺で「なでしこのマドイ」と題したトークイベントを開催。

※生理にまつわる教育とは…日本では小学校で女子生徒のみを対象に生理の授業を行うのが一般的。女性自身の知識不足や、男性側の理解不足が課題とされている。

※高木麻衣さん、高木アヤメさんの【高】は「はしごだか」が正式表記です。

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PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
剣持亜弥
取材 :
木佐貫久代