雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、ケータリング事業を中心に展開する「CRAZY KITCHEN」CEOの土屋杏理さんをご紹介します。
世の中のあちこちにある廃棄原料をおいしく楽しくアップサイクル
キャビアを採取した後のシロチョウザメの身のフライ。駆除されたイノシシのロースト。市場に出回らず廃棄される未利用魚や害獣などをメニューに取り入れたケータリングサービス『サステナブルコレクション』を展開する土屋さん。フードロスをなんとかしたい、すべての命の循環を大切にしたい、という思いがある。
「こうした問題に対して、みなさん決して“無関心”ではないんです。ただ、“未認識”なだけ。だから私たちが提供する料理が知っていただくきっかけになればと。そして、『サステイナブルだから』ではなく、『おいしそう』『楽しそう』が先に来るように、まずは食の時間を楽しんで、同時にSDGsなアクションも継続できる、そんなサービスを目指しています」
企業のブランド発表会やイベントなどへ料理を提供していくうち、SDGsをテーマにオリジナルメニューの開発を手掛けることも増えてきた。そこで誕生したのが、果汁を搾ったあとに残る果物の皮や、梅干しをつくる際にできる大量の梅酢など、廃棄原料をアップサイクル(※)したシロップだ。
「なぜ廃棄されるかというと、そのままでは使えない、流通させるには手間がかかるからなんです。つまり、捨てたほうが安くつく。でもなんとかしたい…。試行錯誤し、開発には1年近くかかりました」
この商品を第一弾として、土屋さんたちは、企業や個人クリエイターらと「こんなことをしたい」というアイディアをやりとりし、新商品の開発につなげる「ラボ」をウェブ上にオープンさせる。
「私たちだけでできることには限りがある。認識できていない問題もまだまだあります。それを、多くの人の力で解決していきたい」
【SDGsの現場から】
●『レベルアップサイクルシロップ』は2種類を販売
●現場からの声を聞くことでたくさんの発見が
※アップサイクルとは…本来は廃棄されるものに、デザインやアイディアなどの付加価値を与え、新たな製品として再生させる手法。創造的再利用のこと。
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- PHOTO :
- 望月みちか
- EDIT :
- 喜多容子(Precious)
- 取材・文 :
- 剣持亜弥