雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「Cafe Klokke」の共同オーナーを務めるカロリネ・コウルビアさんとスウェトラーナ・ヘルマンさんをご紹介します。

カロリネ・コウルビアさん(左)・スウェトラーナ・ヘルマンさん(右)
「Cafe Klokke」共同オーナー
カロリネさん(左)とスウェトラーナさん(右)は、共にマンハイム出身。それぞれ別の都市の大学で学び、卒業後の再会を機に、「すべての人が過ごせる快適な場所を」とカフェをオープン。ふたりともハイキングや旅行が趣味。

第2のリビングとして愛され続ける「アンチ・カフェ」の先駆け的存在

カロリネさんとスウェトラーナさんが、大学と音楽大学がある学生の街マンハイムでカフェ「クロッケ」を始めたのは’16年のこと。「居心地がよくて、誰にも邪魔されずに仕事や趣味に没頭できて、ネットが安定していてコンセントも使える、リビングルームのような場所」を、すべての人のためにつくりたい、と思ったからだ。それは、「コーヒーやケーキの対価ではなく、滞在した“時間”にお金を払う」という「アンチ・カフェ」として大きな話題となった。

「飲食店でもコワーキングスペースでもない、あらゆる要素を兼ね備えたオープンスペースです。勉強や仕事、友人とのおしゃべり、趣味の時間、ワークショップの開催もできる。店内のピアノも自由に弾けます。ホームメイドのクッキーや飲み物の販売もありますが、セルフサービス。滞在時間が長いほど、一時間あたりの金額は安くなる、というコンセプトです」

残念ながらコロナ禍後の再オープン以降、カフェ利用の際の時間制支払いは休止中だが、人気の洋服交換会(※)や、趣味やママ友の集まりなどでは時間単位の利用も可能。

「以前は、クロッケ・サークルといって、いろんなサークル活動が行われていて、気の合う仲間が見つかると大盛況でした。今、コロナ禍を経てようやく元に戻り始めてきたので、アンチ・カフェのコンセプトも必ず復活させたい」

床も家具もすべてリサイクル材を使用し、形もバラバラ。テーブルや椅子もひとつとして同じものはないのに、大きな窓に囲まれた店内は不思議な統一感に満ちていて、とても居心地がいい。

「世代や仕事、この街に来た理由も異なる人々が、気軽に出会える場所であり続けたいと思います」

【SDGsの現場から】

●マンハイム市のグリーンガイドにも掲載

カロリネさんとスウェトラーナさん
店は持続可能なスタートアップとして市が推奨し、グリーンガイドにも掲載されている。

●ヴィーガンのスイーツはおいしいと評判!

ヴィーガンスイーツ
オープンキッチンにはつねに自家製のケーキやクッキー、スナックが。すべてヴィーガン。

※洋服交換会とは…ドイツでは特にコロナ禍以降、以前にも増して身近な場所でのリサイクルに人気が集まっている。衣料品を持ち寄り交換する会も盛ん。

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PHOTO :
Horst Stange
WRITING :
剣持亜弥
EDIT :
喜多容子(Precious)
取材 :
Noriko Spitznagel