「初志貫徹」は「何かをやり始めたときの志を最後まで貫く」という意味の四字熟語。子どもたちが新年の抱負を表す書き初めに選んだり、大人が座右の銘に掲げたりすることも多い言葉ですよね。ビジネスシーンでもお馴染みです。今回はその意味や使い方のわかる例文、言い換え表現などを解説します。きちんと使いこなせるようおさらいしましょう。

【目次】

誰もが最初の志は立派なものですが…。
誰もが最初の志は立派なものですが…。

【「初志貫徹」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「初志貫徹」は「しょしかんてつ」と読みます。

■意味

「初志貫徹」は「やり始めたときの志を最後まで貫き通すこと」です。何かを始めた当初から順調だった事例よりも、逆境や苦難などがあって、決意を保ち続けるのが難しい場合や、今後、逆境や苦難が予想されるという文脈で使用されます。

■由来を簡単に説明すると?

「初志貫徹」の明確な由来や出典はありません。中国の故事や仏典に基づく慣用句だけを「四字熟語」と定義・解釈するならば、「初志貫徹」はその範疇から外れます。しかし、「教訓など特別な意味をもつ、漢字4文字の熟語」という意味では「四字熟語」と言って間違いではありません。「初志貫徹」の「初志」は「何かをやり始めたときの志・決意」のこと。そして「貫徹」は「最後まで貫き通すこと」。これを合わせて「やり始めたときの志を最後まで貫き通すこと」という意味になりました。


【「使い方」がわかる「例文」5選】

■1:「3年前、会社の復興を目標に掲げた私たちは、幾多の困難を経て、ついに初志貫徹を果たした」

■2:「かつて春闘では、全員の賃上げを勝ち取るという初志貫徹に向けて、粘り強く、激しい交渉が続けられたそうだ」

■3:「夢を諦めて現実を取るか、あくまで初志貫徹を目指すか…難しい判断を迫られている」

■4:「私にきみのような初志貫徹の強い精神があれば、もっと力強くチームを引っ張れたかもしれない。志半ばの解散となり、申し訳ない」

■5:「今後、いかなる困難に対しても、初志貫徹の精神でぶつかっていく所存です」


【同じ意味をもつ「類語」や「言い換え」表現】

「初志貫徹」と似た意味の言葉はいくつかあります。四字熟語と言い換え表現をご紹介しましょう。

■同じような意味の「四字熟語」

・首尾一貫
「首尾一貫」は「方針や考え方などが始めから終わりまで変わらないで、筋が通っていること」。

・終始一貫
「態度・状態などが、始めから終わりまでずっと変わらないこと」を「終始一貫」といいます。

・徹頭徹尾
「最初から最後まで。あくまでも。終始」という意味をもつ言葉です。

・頑固一徹
「自分の考えや態度を絶対に変えようとしないで最後まで押し通すこと」を「頑固一徹」といいます。自分が間違っていても頑なにかえようとしないといった、少々ネガティブな意味でも使われます。

■似た意味を伝える「言い換え表現」

・思いを貫く
・態度を変えない
・一貫した姿勢を崩さない
・意地を通す


【「対義語」は?】

■反対の意味をもつ「四字熟語」

・朝令暮改
・朝改暮変

「朝に出した命令を夕方にはもう改めること。方針などが絶えず変わって定まらないこと」を表す四字熟語です。

・臨機応変
「機に臨み変に応じて適宜の処置をすること」。つまり「その時その場に応じて、適切な手段をとること」。

■反対の意味を伝える「言い換え表現」

・三日坊主
・意志薄弱

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座右の銘に「初志貫徹」を挙げる人は多いものです。言うまでもなく、人の生き方の基本として大切なことですが、同時に多くの人にとって「初志を貫く」ことはそれだけ難しいという表れでもあります。また、「初志を貫く」のは立派な態度ですが、人の意見にまったく耳を傾けない「頑固一徹」にはならないよう、注意したいですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『四字熟語ときあかし辞典』(研究社) :