【目次】
【「社交性」を身に付けるには?】
どれほど専門性の高いスキルをもっていたとしても、他者との関わりを一切排除し、ビジネスを成立させることはまず不可能です。また、「社交性がある」ことのメリットはたくさんありますが、「社交性がない」ことで得られるメリットというのは、なかなかパッと思い浮かびませんよね。社会人として、社交性は身に付けておきたいものです。そのために、まずは「社交性」の意味を正しく確認しましょう。
■社交性とは?
「社交性」とは「人と付き合うことが好きであったり、あるいは人付き合いが上手い性質」のこと。要するにコミュニケーションスキルが高いことをいう言葉です。
「社交」は「人と人との付き合いや社会での交際、世間の付き合い」を意味します。「社会での交際」ですから、誰か特定の人とだけ交流を深めることを「社交性がある」とはいいません。「広く社会と関わり、不特定多数の人と協調できる人」が「社交性のある人」というわけです。
「社交性がある」ことを「社交性に富む」、「社交性がない」ことを「社交性に欠ける」とも言います。
■「社交性」を身に付けるビジネスでのメリット
「社交性」の意味がわかったところで、ビジネスシーンにおける「社交性」のメリット、重要性も確認しておきましょう。
・コミュニケーションが活発になる:社交性のある人・高い人が多い環境は、コミュニケーションが活発になるので意見交換がスムースに行われます。多くの目が入ることで、ミスや不適切な状況に気づきやすいというメリットもあります。
・信頼関係が築きやすくなる:職場はもちろん、クライアントなど外部の人との信頼関係にも「社交性」は不可欠。相手を正しく理解するためには受け入れ態勢も必須ですが、そこで「社交性」が活躍します。
・作業効率が上がる:与えられたことだけをこなすのでは社会人として未熟といわざるを得ません。業務は他者と連携したり、分担することによってスムースに行われます。そこで活躍するのが「社交性」。効率的に仕事を進めるためにも不可欠なスキルといえるでしょう。
・トラブルを回避、対処しやすくなる:社交性のある人は周囲に目が行き届くもの。トラブルを未然に防ぐことができたり、発生した際にも早期に気づいて対応できるというメリットがあります。
・新しい関係や事案に巡り合う確率が高くなる:社交性のある人は積極的でさまざまなことに関心があるので、新規の事案に巡り合う確率が高くなるというもの。新しいクライアントとの関係も築きやすくなります。
【社交性の高さを伝える自己PR「例文」】
■私は好奇心が旺盛なので、初対面の人との会話が苦になりません。
■大人数のグループをまとめたり、皆のスケジュールを調整するのが得意です。
■学生時代に接客業を長く経験しているので、お客様への対応や、トラブル処理のスキルが高いと思います。
■私は誰とでもすぐに打ち解けられる社交性を活かし、アルバイト先ではスタッフ間の橋渡し役を担ってきました。
■私はグループ内の会話を引き出すのが得意で、ゼミでは意見が出づらい場面でも積極的に声をかけ、活発な議論を促す役割を担っていました。
■私は初対面の人とも自然と会話ができる社交性を強みとしています。また、相手の表情や話し方から気持ちをくみ取ることで、信頼関係を築くのが得意です。
■私は社交性と傾聴力を活かして、多くの人から信頼を得ることができるタイプです。相手の心に寄り添う対応を、ビジネスの現場でも実践していきたいです。
【「社交性がある」「社交性がない」と言われる人の特徴は?】
■ビジネスシーンで「社交性がある」と思われる人の特徴
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・礼儀正しく、丁寧なコミュニケーションができる
・相手の立場や役職を意識した言動ができる
・初対面でも適切な自己紹介や会話の切り出しができる
・名刺交換や挨拶などの基本マナーを守れる
・円滑にチーム内外と連携・調整ができる
・会話の目的やゴールを意識して話すことができる
・相手のニーズや立場を汲み取るヒアリング力がある
・建設的なフィードバックや意見交換ができる
・会議や打ち合わせで発言しやすい雰囲気をつくれる
・社内・社外を問わずネットワーキングを積極的に行う
・相手の時間や都合を尊重して接することができる
・柔らかい物腰や声のトーンで安心感を与える
・業務上の依頼や断りを円滑に伝えられる
・飲み会やランチなど、非公式な場も大切にする
・感謝や労いの言葉を自然に伝えられる
・共通の話題や趣味を見つけて関係構築に活かす
・目上の人とも自然体で会話できる
・「報・連・相(報告・連絡・相談)」をしっかり行う
・異なる意見を受け入れる柔軟性がある
・状況に応じて距離感を適切に保てる
■ビジネスシーンで「社交性がない」とみなされがちな人の特徴
・挨拶やお礼などの基本的なコミュニケーションが少ない
・話しかけづらい雰囲気を出している
・雑談や世間話を避けがち
・会話が一方通行だったり、必要最低限しか話さない
・表情が硬く、笑顔が少ない
・人前で発言するのを極端に避ける
・相手の目を見て話さない(視線が合わない)
・声が小さく、自信なさげに聞こえる
・返事がそっけなく、リアクションが薄い
・飲み会やランチなどの社交的な場を避けることが多い
・他部署や社外の人と関わろうとしない
・報・連・相(報告・連絡・相談)を怠ることがある
・人に頼るのが苦手で、抱え込む傾向がある
・他人の話に関心を持たず、質問もしない
・否定的、批判的な物言いをしてしまう
・チームワークより個人プレーを優先しがち
・自分の意見をうまく伝えられない
・空気が読めない言動をしてしまう
・人の名前や顔を覚えない、呼び間違える
・距離感が極端(近すぎる or 遠すぎる)で不自然
【「類語」「言い換え」表現】
■「社交性がある人」の「類語」「言い換え」
・社交的
・人当たりがいい
・人懐っこい
・社会性がある
・コミュニケーション巧者
・顔が広い
・外向的
・陽キャ
■「社交性がない人」の「類語」「言い換え」表現
・非社交的
・社交嫌い、人嫌い
・人付き合いが苦手
・人見知り
・内向的
・コミュ障
・陰キャ
【「コミュ力」との「違い」】
「社交性」は「人付き合いがうまい」「人と話すことが好き」などの性質を指すのに対し、「コミュニケーション能力」は「情報を適切に伝える」「正しく受け取る」などの能力を指します。
具体的に言うと、「社交性の高い人」は他人との円滑な人間関係を構築できる人。新しい出会いを楽しみ、広い交友関係を好み、自分の世界を広げていきます。
一方の「コミュ力の高い人」は他者への共感度が高い人。相手に合わせたり、感情をうまく伝えることに長け、思いやりのある行動ができます。
【「英語」で言うと?】
「社交的な」は英語で[sociable]です。「社交嫌い」は[antisocial]で表現できます。
・He is not the sociable type.(彼は社交的なタイプではない)
・He's not antisocial, just shy.(彼は交際嫌いなのではなくて,ただ内気なだけだ)
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多くの職種では、顧客や取引先、クライアントとの定期的な連絡が必要不可欠です。業務を効率的に進めるためにも、優れたコミュニケーション能力は重要でしょう。また、専門性が高く、顧客と直接には接する機会のない職種であっても、社内のメンバーとのコミュニケーションは必要です。このように、ビジネスにおいて「社交性」は、ないよりもあったほうが有利であるといえますね。
とはいえ、過剰な社交性は、「軽佻浮薄(けいちょうふはく/行動が軽々しいこと)で信頼できない」印象を周囲に与えることも…。なにごとも程度問題、頃合いが大切と言えそうです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :