日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。

今回ご紹介いただくのは、白ワインのような新感覚の日本酒「SUMIGA sake」です。「SUMIGA sake」は、富山の名醸「満寿泉」の桝田酒造店の協力のもと、利き酒師・並里直哉さんの監修により誕生した1000本限定のプレミアム品。ボトルラベルやパッケージ等のデザインは、SUMIGA(墨画)アーティストとして国内外で活躍する緒方環さんがプロデュースし、アートピースのような佇まいの一本に仕上がっています。

“老舗酒蔵×利き酒師×アーティスト”という三者のコラボレーションが生まれた経緯、そして三者のコラボが織りなす唯一無二の味わいについて、河井さんに詳しく教えていただきました。

河井真奈さん
スタイリスト
(かわい まな)女性誌、CM、ドラマのスタイリング、トークショー、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。2016年、ギフトに特化したWEBサイト「futo」をローンチし、2019年6月に南青山にショップをオープン。2023年5月代官山に移転。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)、『服を整理すれば、部屋の8割は片付く』(立東舎)。https://futo.jp/

“銘酒蔵元×利き酒師×墨画作家”のコラボが成立した経緯とは?

“桝田酒造店×並里直哉×緒方環”三者のコラボ商品として、2024年1月末に1000本限定でリリースされた「SUMIGA sake」。そのはじまりは2022年秋、並里さんが緒方さんの個展をたまたま訪れ、作品に一目惚れしたのがきっかけだと河井さんは話します。

緒方環さんと並里直哉さん
SUMIGAアーティストの緒方環さん(左)、利き酒師の並里直哉さん(右)。

「緒方さんは、墨の濃淡で人物や植物、ファッションなどを描く『SUMIGA(墨画)』を創出した日本を代表するイラストレーターのひとり。繊細かつ力強い筆致で描かれた緒方さんの作品に並里さんは一瞬にして心を奪われたそうです。

米という素材からさまざまな香味を生み出す日本酒。一本の筆と墨のみで人物の魅惑的な姿を自在に表現する『SUMIGA』。両者の世界観に共通点を見出した並里さんは、緒方さんに早速コラボを持ちかけたといいます」(河井さん)

緒方環さんのSUMIGA
墨の濃淡で表現された「SUMIGA」の作品。

「その際、並里さんがとっておきの手土産としてセレクトしたのが、桝田酒造店の『満寿泉』。桝田酒造店は1893年創業の老舗ですが、先取の気性に溢れ、世界を視野に入れた日本酒の表現を模索し続けている酒蔵です。5代目社長の桝田隆一郎さんは日本酒の製法にワイン酵母やオーク樽といった洋酒の要素も取り入れるなど、革新的な挑戦に余念がありません」(河井さん)

桝田酒造店
伝統を守りながら、脈々と受け継がれている革新力を発揮している桝田酒造店。

「国内屈指の技術力を誇りつつチャレンジングな桝田酒造店の銘酒こそ、緒方さんの作風にぴったりではないかとの並里さんの直感は見事に的中し、緒方さんは『満寿泉』を大変気に入ったのだそう。そして、『SUMIGA』をイメージしたお酒を作るのであれば、桝田酒造店に協力を仰ぐしかないと両者の意見は一致しました。

早速、並里さんが富山まで出向きコラボへの熱意を伝えたところ、アートにも理解のある桝田社長はすぐに快諾してくれたとのこと。こうして、味わいやブレンドは、緒方さんにも試飲してもらいつつ並里さんが監修。ラベル画やボトルのセレクト等、デザイン方面は緒方さんが担当するというプロジェクトが本格始動するに至りました」(河井さん)

一切の妥協なし!芸術作品のような「SUMIGA sake」の制作秘話

続いて、コラボが決定してから商品が完成するまでのストーリーも、河井さんに語っていただきました。

「まず、並里さんパートのお酒のブレンドに関しては、比較的スムーズに進んだとのこと。というのも、桝田社長のはからいで並里さんは蔵内にあるお酒を、商品化されていない古酒を含め全て自由に調合できる機会に恵まれたのだそう。おかげでSUMIGAのイメージどおりの味をとことん追求することができたといいます。

アートとコラボレーションして既存の日本酒にはない味を表現するという試みが実現できたのは、桝田酒造店の懐の深さ、作家へのリスペクトあってこそかもしれません」(河井さん)

「SUMIGA sake」のラベル
ラベルデザインのテーマは、“relax&laxury”。「上質な時間をこのお酒と共に楽しんでほしい」との思いが込められている。

「一方、一筋縄ではいかなかったのは、緒方さんが担当したデザイン方面。特に難航したのはボトルのセレクトで、従来の日本酒用のものでは、なかなかSUMIGAの世界観に合うものが見つかりませんでした。

理想のフォルムを追い求めた結果、ようやく緒方さんの感性に刺さったのは、スリムで首の長いボトル。本来はイタリアの蒸留酒グラッパ用だったのを、メーカーに再三にわたって頼み込み、特別に譲ってもらったのだそうです。そしてボトルが決定した後も、これに合うキャップを探すのにまた一苦労…と細部に至るまで緒方さんのこだわりが行き届いています」(河井さん)

「SUMIGA sake」の全体像
従来の日本酒にはないスタイリッシュなフォルムも「SUMIGA sake」の魅力。

「さらに、パッケージは箱ではなく、緩衝材としての役割も果たすボトルバックを採用。グログランの取っ手がセンスよく、繰り返し使用したいと思わせるスタイリッシュなデザインが目を引きます。こうした一切の妥協を許さない情熱の末に、SUMIGAの世界観を余すことなく表現した、アートピースのような『SUMIGA sake』が完成したのです」(河井さん)

「SUMIGA sake」のボトルバック
「SUMIGA sake」のボトルバック。
「SUMIGA sake」のタグ
日本語と英語でお酒のストーリーが綴られているタグ。

和食にも洋食にも!白ワインのような日本酒は唯一無二の味わい

「SUMIGA sake」は、桝田酒造店が造った6種類の個性豊かな日本酒がブレンドされています。中心となるのは2種類のワイン樽貯蔵酒による香ばしく甘やかなスパイスの香り。そこにウイスキー樽貯蔵を用いた純米大吟醸酒の香りもアクセントとなっています。

さらに、10年20年と熟成させた貴重な純米大吟醸の古酒から選び抜いた2つのヴィンテージをブレンドすることでより複雑で重層的な印象に。ヴィンテージが変わればもう2度と同じ味わいを作ることのできない、まさしく一期一会の限定品で、唯一無二の個性を兼ね備えた味わいに仕上がりました。

桝田酒造店の内部
ブルゴーニュの白ワイン樽で熟成させた原酒などをブレンドして「SUMIGA」のスタイリッシュな世界観を表現。

「日本酒ですがフルーティーな酸味や樽香が白ワインのようでもあり、和食にも洋食にもマッチします。個人的にはどの料理に合わせるかというより、お酒をメインにしてじっくりと味わうのがおすすめです。冷やして飲むと切れのいい甘みが際立ち、温度が上がると日本酒ならではの旨みの膨らみが感じられます。そうした表情の変化も含めてぜひゆっくりと楽しんでいただければと思います」(河井さん)

限定1000本!2度と再現できない至高のマリアージュを贈り物に

「SUMIGA sake」のボトルとパッケージ
「SUMIGA sake」¥16,500

今回は、“桝田酒造店×並里直哉×緒方環”というスペシャルなコラボレーションにより生まれた「SUMIGA sake」をご紹介しました。

従来の日本酒とは一線を画す1000本限定のプレミアムアイテムは、日本酒通にはもちろんこと、普段は洋酒派という人にもきっと喜ばれるはず。「特別な日の晩酌に至高のマリアージュをお楽しみください」といった思いを込めて、お酒好きな人への贈り物の選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。

問い合わせ先

Gift Concierge futo

TEL:03-3462-2036

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)