L’art de vivre de Junko Shimada ── 仲間と共にある暮らしの美学【島田順子さんの「美しい暮らし」】
パリをベースに活躍するファッションデザイナー、島田順子さんの家には来客が絶えることがありません。16世紀にフランス王・フランソワ1世が建立したフォンテーヌブロー宮殿の近くにあるブーロンマーロット村の別宅が、最近島田さんが多くの時間を過ごす場所になっています。
その家に集まる愉快な仲間たちとの過ごし方を通して見えてくる、島田さん流の「アールドヴィーヴル」をご紹介します。
L’art de vivre de Junko Shimada ──洗練されたインテリア術
幸運を呼ぶ動物・サイの置物が多い島田邸。クリスタルに混ざってさまざまな素材のサイが並ぶ。
人生経験が生きる見極め力
「インテリアは思いつき。あ、これはあそこにいいとか。例えば、ここのキッチンの鏡の向こうは昔、冷蔵庫だったの。今の冷蔵庫は寸法が違うから、別のところにあるんだけど。前の冷蔵庫が置いてあったこの空間に鏡をつけて、中を収納戸棚にしたの。鏡は、あると広く見えるでしょう。素敵に見えるし。ペンキを塗るのは大変だから、何年も経った今も鏡の周りはそのままになっている。私は横着者だから1個1個が完璧ではないの」。
この完璧にしないさじ加減が島田さんの服づくりにおける“スペース”であり、着る人の個性を生み出すデザインにつながるのかもしれません。
箱買いするクリスタルの燭台や花瓶には大好きなバラを一輪差して。
赤いベネチアンガラスと特徴のあるデザインのクリスタルが自然と調和するところに島田さんのセンスが光る。
家のところどころに置かれた透明のクリスタルは島田さんが特に好きで、お酒の瓶も捨てずにとってあるのだそう。アンティークショップでケースごと買うクリスタルガラスは “サンルイ” や “クリストフル” だけのものもあるため、結果的にデザインに特徴のあるものが揃います。
「なぜだかわからないけれど、ガラスというものが好きなんです。いつの間にかどんどん増えちゃった」。
彼女の審美眼でひとつひとつ選び抜かれたアイテムが無造作に並ぶと、ある種のスタイルが生まれます。島田さんはフランス語の “ラフィネ(洗練)” という言葉が特に好きだと言いますが、もちろんそれは簡単に身につくものではありません。
脚が特徴的なコンソール。その下には可愛い犬の置物が。
家のシンボルでもあるカラフルな陶磁器でできた、リビングにある18世紀のマントルピース。
アンティークのマントルピースの上には家族の思い出が詰まった写真が並ぶ。
カラフルなタイルがあしらわれたダイニングのマントルピース。
ものをセレクトするコツを聞いたところ「それはね、私、自分で言うのもおかしいけれど、80歳を過ぎてるでしょ。人生経験がすごく長いから…」と、ものを見たときに、そのアイテムが何の時代のどういうものであったのかがわかったうえで、さらにそこに新鮮さを保つ普遍的な美しさがあるかどうかを直感的に見極めるのだと説明してくれました。
「あまりこだわらないけれど、やっぱり経験だと思う」と言う島田さんにはやはり、年齢を重ねた人にしか持ち合わせることのできない磨き抜かれた感性が溢れています。
シルバー製のザリガニはほかのシルバー製品とまとめるのが島田さん流のディスプレイ術。
銅製のローテーブルに無造作に置かれた、キャベツから鳥の脚が伸びるオブジェは、島田さんの友人でアーティストの故クロード・ラランヌさんの作品。
階段脇にはゴジラを置いて完璧すぎないちょっと “外す” デコレーション術を。
この家の“陰の主”アントワネット。
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