- 6月6日は「梅の日」|梅の収穫期に重なる初夏の記念日
- 「梅の日」は誰が制定した?紀州梅の会と2006年の記念日登録
- 後奈良天皇と賀茂神社の故事|6月6日に梅が献上された理由
- 「梅の日」と梅雨の関係|“梅の雨”にまつわる季節の言葉
- 梅干し・梅酒・梅シロップ|初夏に楽しむ「梅仕事」
- 「梅の日」に行われる行事|京都・和歌山・東京での取り組み
- 「梅」と「梅干し」の違い|7月30日の「梅干しの日」も確認
- ビジネス雑談に使える「梅の日」の豆知識
【6月6日は「梅の日」|梅の収穫期に重なる初夏の記念日】
毎年6月6日は「梅の日」です。この時期は暦の上でも初夏にあたり、全国有数の梅の産地が一斉に活気づく季節。ブランド梅として名高い「紀州南高梅(きしゅうなんこううめ)」の産地である和歌山県では、6月上旬から中旬にかけて青梅の収穫がピークに達します。「梅の日」はまさに自然の恵みが最も豊かになるタイミングに合わせて定められた記念日です。
【「梅の日」は誰が制定した?紀州梅の会と2006年の記念日登録】
「梅の日」を制定したのは、日本を代表する梅の産地である和歌山県の「紀州梅の会」です。同会は、田辺市など6市町とJAわかやま、梅干組合などの、梅の生産者団体や自治体によって組織された団体です。日本の伝統的な食文化である「梅」の魅力や健康効果をより多くの人に知ってもらい、消費拡大へとつなげることを目的に、2006(平成18)年に一般社団法人日本記念日協会へ申請を行い、毎年6月6日が「梅の日」として正式に認定・登録されました。
2006年の記念日登録以降、毎年6月6日には産地や消費地を結ぶさまざまなPR活動や伝統行事が本格的に行われるようになり、現在では初夏の風物詩として広く認知されています。
【後奈良天皇と賀茂神社の故事|6月6日に梅が献上された理由】
■なぜ「梅の日」は6月6日?
日付は、天文14(1545)年4月17日に、京都・賀茂神社(現在の上賀茂神社・下鴨神社)の例祭(現在の葵祭)で、時の後奈良天皇が祭神を祀り、神事がおこなわれた際に梅が献上されたという故事に由来します。この故事は宮中に仕える女官たちによって綴られた『御湯殿上日記(おゆどののうえにっき)』に記されています。天文14年の4月17日(旧暦)は、現在の暦(新暦)では6月6日にあたるため、この日が「梅の日」に選ばれました。
■6月6日に梅が献上された理由は?
梅が献上された当時は、日本全国で深刻な干ばつが続いており、作物への被害や疫病の流行が懸念されていました。そこで、後奈良天皇が当時大変貴重だった梅を賀茂神社に献上して祈願したところ、たちまちのうちに恵みの雨が降り注ぎ、五穀豊穣をもたらしたと伝えられています。
この故事から、梅は人々の命を救う「恵みの雨を降らせる霊力のある実」として珍重されるようになったといわれています。
【「梅の日」と梅雨の関係|“梅の雨”にまつわる季節の言葉】
「梅の日」である6月6日の頃は、日本各地が「梅雨(つゆ・ばいう)」を迎える季節です。雨の季節をなぜ「梅の雨」と書くのでしょうか。
■諸説ある「梅雨」の語源
1)有力なのは、「梅の実が熟す頃に降る雨だから」というものです。ちょうど青梅が黄色く色づき、収穫の最盛期を迎える時期の長雨であることから、季節の移り変わりを表す言葉として定着したと言われています。
2)この時期は湿度が高くカビが生えやすいことから、もともとは「黴(かび)」という字を用いて「黴雨(ばいう)」と書かれていたものが、字面がよくないために同じ音を持つ「梅」の字に変化したという説も存在します。
■「梅の雨」にまつわる季節の言葉
俳句の世界では、「季節と結びついて、特定の季節を表すと定められている語」を「季語」と言います。「梅雨」自体も夏の季語ですが、ほかにも「梅雨」を含んだ季語は数多いもの。いくつかご紹介しましょう。
・走り梅雨:梅雨に先立って、ぐずつく天候。梅雨の前触れ。
・入梅(にゅうばい):梅雨の時期に入ること。また、その日。気象学的には5月下旬から6月上旬ころ。
・空梅雨(からつゆ)、旱梅雨(ひでりつゆ)、照り梅雨:梅雨期間にほとんど雨の降らないこと。降雨量のごく少ない梅雨。
・梅雨冷え:梅雨期の連日の雨で気温が下がること。
・荒梅雨(あらづゆ)、男梅雨:特に風雨の強まった梅雨。
・梅雨の月:梅雨の期間中の晴れ間に出る月。
・梅雨の星:梅雨の期間中の晴れ間に雲間にもれる星。また、梅雨に濡れた木々の梢の水滴が光るのを星にたとえたもの。
・梅雨明け:梅雨が終わること。また、その日。
「梅雨」は、〇〇梅雨、となったときも、ほとんど「つゆ」と読みます。ここで紹介したもののなかでは、「荒梅雨」だけ、「づゆ」と濁ります。いずれも「夏」の季語です。手紙の冒頭に使えば、季節のご挨拶は完璧!
夏の季語ではありませんが、他にも美しい言葉があります。
・梅雨(ばいう):梅の実が熟す時期に降る雨そのものを指す言葉。
・入梅(にゅうばい):暦の上で梅雨に入る日のこと。雑節(ざっせつ)の一つで、現在の太陽暦では6月11日頃にあたります。
・催花雨(さいかう):春先、梅や桜などの開花を促すように降る雨のこと。こちらは春の季語。
【梅干し・梅酒・梅シロップ|初夏に楽しむ「梅仕事」】
収穫されたばかりのみずみずしい梅を使って、自家製の梅干しや梅酒、梅シロップなどの保存食をつくる作業は、古くから「梅仕事(うめしごと)」と呼ばれています。少々手間がかかりますが、この時期に梅仕事をしておくと、1年を通して自家製の梅干しや梅酒を楽しむことができますよ。ポイントをいくつか解説しましょう。
■青梅と完熟梅の使い分け
梅仕事の仕上がりを左右するのが、梅の熟度による使い分けです。
【5月中旬~下旬】
・梅の状態:緑の小粒で硬さがある「小梅」
・主な用途:小梅漬け
【5月下旬~6月上旬】
・梅の状態:緑色の大粒で張りと硬さがある「青梅」。すっきりとした酸味が特徴です。
・主な用途:梅酒、梅シロップ(梅ジュース)、しょうゆ漬け、甘露煮、梅味噌など
【6月中旬~7月上旬】
・梅の状態:黄色く熟し柔らかい「完熟梅」 フルーティな香りも魅力。
・主な用途:梅干し、梅酒、梅ジャムなど
梅干しづくりを始めるならこの時期に。
■「梅仕事」にも、現代のライフスタイルに合わせた変化が…
伝統的な梅干しづくりには、塩漬けした後に天日で干す「土用干し(どようぼし)」などの工程があり、一定の手間と時間を要しますが、近年ではライフスタイルに合わせて、保存袋(ジッパー付きバッグ)を使って少量を省スペースで漬ける手軽な方法や、アルコールを使わずにスパイスをブレンドした「クラフト梅シロップ」など、現代的なアレンジを加えてスタイリッシュに梅仕事を楽しむ人たちが増えています。
■簡単! 梅シロップのつくり方
家庭で手軽に楽しめる梅仕事として人気なのが梅シロップづくりです。紀州田辺うめ振興協議会では、冷凍梅を活用した方法を紹介しています。
材料は梅1kgに対して氷砂糖1kg。梅を冷凍したあと、保存袋に梅と氷砂糖を交互に入れて密閉し、解凍しながら砂糖を溶かします。約7日で完成し、梅ジュースや梅ソーダなどとして楽しめます。
(出典:紀州田辺うめ振興協議会「梅シロップのつくり方」)
冷凍梅を使うことでエキスが出やすくなり、保存袋を利用すれば大きな保存容器を用意する必要もありません。初めて梅仕事に挑戦する人にも取り入れやすい方法といえるでしょう。
【「梅の日」に行われる行事|京都・和歌山・東京での取り組み】
毎年6月6日の「梅の日」には、京都、和歌山、東京など、日本各地で格式ある行事やPRイベントが開催されています。
■賀茂神社への「梅奉納」(京都)
後奈良天皇の故事の舞台となった京都の上賀茂神社(京都市北区)と下鴨神社(同市左京区)では、毎年6月6日に「梅奉納祭(うめほうのうさい)」が執り行われます。和歌山県の「紀州梅の会」や梅関係者らが参列し、その年に収穫されたばかりの初物の紀州梅を神前に奉納して、五穀豊穣、疫病退散、そして人々の健康を祈願する神事が行われます。
■感謝祭と宮中への献上(和歌山)
日本一の梅の里である和歌山県みなべ町や田辺市では、地域の神社(熊野本宮大社や須賀神社など)にて記念式典が開催されます。生産者らが集まり、自然の恵みへの感謝と産業の発展を祈ります。
また、この日に合わせて宮中(皇室)や、故事に縁のある太宰府天満宮(福岡)などへ最高級の梅を献上する活動も継続して行われています。
■梅フェアや首相官邸表敬訪問(東京)
東京では、築地市場(現・豊洲市場関係)や主要な駅・商業施設などを舞台に、和歌山県関係者が「紀州梅娘」らとともに、初夏の青梅や梅干しの魅力を伝えるサンプリングイベントや販売促進活動を行います。産地と大消費地をダイレクトに結び、初夏の梅の到来を告げる恒例のプロモーションとなっています。
また、首相官邸に紀州の青梅、梅干しを贈呈するのも恒例の行事です。
【「梅」と「梅干し」の違い|7月30日の「梅干しの日」も確認】
■「梅」と「梅干し」の違いは?
「梅」は生の果実そのものを指していますが、「梅干し」はその梅を塩漬けにして天日干しした加工食品です。生梅を「梅干し」へと加工・完成させる過程で、疲労回復や殺菌作用をもつ「クエン酸」をはじめとする有機酸がぎゅっと凝縮されます。
■「梅干しの日」とは?
「梅干しの日」は、和歌山県日高郡みなべ町の株式会社東農園が2004年に制定した記念日です。日本記念日協会によって認定・登録されています。日本には古来より、「梅干しを食べると難が去る」という言い伝えがあります。この言葉から、「7(なん)が30(さる)」の語呂合わせで、7月30日が「梅干しの日」に選ばれました。
【ビジネス雑談に使える「梅の日」の豆知識】
■梅仕事は古くは戦国時代から
戦国時代の武将は、梅干の果肉と米の粉、氷砂糖の粉末を練った「梅干丸(うめぼしがん)」を持ち歩いて、戦いの疲れを癒やしたという記録が残っています。梅干しには殺菌作用もあるため、戦場食としても優秀だったのですね。
■「塩梅(あんばい)」の語源は料理から
物事の具合や加減、体調などを表す「塩梅(あんばい)」という言葉は、もともと「塩」と「梅酢(うめず)」による味付けの加減を由来としています。調味料が一般化していなかった昔は、料理の基本となる味付けは「塩」の塩味と、「梅酢」の酸味のバランスで決まっていました。塩と梅酢が絶妙なバランスであることを「料理の加減がいい」という意味で「塩梅がいい」としたのが転じて、物事の加減がちょうどよい状態を「塩梅がよい」と表現するようになったといわれています。現代でもビジネスの進捗や体調の管理を表す言葉として深く定着していますね。
■縁起物としての「申年の梅」
古くから「申年(さるどし)に収穫した梅は縁起がよい」といわれています。平安時代、村上天皇が当時流行していた疫病にかかった際に、治療の為に梅干しと昆布を入れたお茶で病を克服したことが文献に残されています。その梅干しが申年に収穫された梅であったことから、申年の梅は「難が申(去る)」、「病が申(去る)」などと言い伝えられているのです。
■「東風吹かば…」梅を詠んだ最も有名な歌
梅といえば、学問の神様として知られる菅原道真(すがわらのみちざね)公を外すことはできません。道真公が平安時代に京都から大宰府へと左遷される際、庭の梅の木との別れを惜しんで詠んだ和歌は有名ですね。
「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春なわすれそ」
主(道真)を慕った梅は、ひと晩のうちに大宰府まで飛んでいったという「飛梅(とびうめ)伝説」は、現代でも大宰府天満宮(福岡県)の御神木にまつわる言い伝えとして語り継がれています。
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古来、雨の季節とともに日本人の暮らしに寄り添ってきた「梅」は、クエン酸を含むことから、疲労感対策への期待が語られることもあります。また、加熱で生まれるムメフラールの血流改善効果などが実証されています
近年では、みずみずしい実を効率よく仕込む「梅仕事」が静かなブームに。「めんどうだな…」と敬遠しがちな人でも、冷凍した梅とジッパー付きの保存袋を使えば、簡単に梅シロップがつくれますよ。仕事から帰って、暑さと冷房で疲れ切った体で飲むと、まさに「こういうのが飲みたかった!」という味に感動してしまうかもしれません!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /紀州梅の会(https://www.tanabe-ume.jp) /一般社団法人日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp) /クラシル「梅仕事とは?詳しい解説とおすすめレシピをご紹介!」(https://www.kurashiru.com/articles/2753bddd-2bfb-410b-9d48-f65fea6ecc33) /中田食品「年に一度の梅仕事!梅仕事のコツを知って日本の風習を楽しもう」(https://www.nakatafoods.co.jp/umedia/detail/31) /『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社) /DENEN「【塩の豆知識】塩梅って?」(https://www.sio-denen.jp/enjoy/462/) /紀州田辺うめ振興協議会(https://www.tanabe-ume.jp) /太宰府市文化ふれあい館「大宰府の民族」(https://dazaifu-bunka.or.jp/info/legend) /讀賣新聞オンライン「「梅しごと」静かなブーム…JA紀南、失敗の少ない「梅シロップ作り方」動画公開」https://www.yomiuri.co.jp/national/20230527-OYT1T50049/ :

















