おにぎりやお茶漬けの具材としてだけでなく、梅干しは日本人にとって、定番中の定番とも言えるご飯のお供ですよね。今回のテーマは「梅干しの日」。最近でははちみつなどで甘味を加えた商品など、さまざまなものがありますが、昔ながらの梅干しが「医者いらず」と言われる理由をはじめ、梅干しにまつわる雑学をご紹介します。ぜひ、ビジネス雑談に役立ててくださいね。

【目次】

梅干しは、その酸っぱさに「医者いらず」の秘密があります。
梅干しは、そのすっぱさに「医者いらず」の秘密があります。

【「梅干しの日」とは?誰がいつ決めた?なぜ7月30日?】

■「梅干しの日」は「誰が」「いつ」決めたの?

「梅干しの日」は、和歌山県日高郡みなべ町の株式会社東農園が2004年に制定し、日本記念日協会に認定・登録された記念日です。東農園の創業は1834(天保5)年。栽培から加工までを自社で行うことで、伝統的な梅干しづくりを継承し、次世代に伝える活動を行っています。

■なぜ7月30日?「由来」は?

梅干しが体によいことから、日本には古来より、「食べると難が去る」という言い伝えがあります。この言葉から、「7(なん)が30(さる)」の語呂合わせで、7月30日が「梅干しの日」に定められました。


【ビジネス雑談に役立つ「梅干しの日」「梅干し」にまつわる雑学7選】

■「梅干し」はいつからつくられていたの?

6世紀ごろに書かれた世界最古の農業技術書『斉民要術』には、すでに梅干しや梅酢のつくり方などが記されていたそうです。日本では、平安中期、遣唐使によって伝わり、日本最古の医学書「医心房」にも紹介されています。当時は烏梅(うばい)と呼ばれ、果実よりも梅酢が、熱さましや咳止め、吐き止めなどの食薬として珍重されていたそうです。和歌山県で梅の生産が盛んになったのは江戸時代。紀州藩家老職の安藤直次により梅の栽培が奨励され、 田辺・南部地方は名高い梅の産地となりました。明治維新以降は、相次ぐ戦争により、梅は食薬を兼ねた食料物資として需要が伸び、 急速に栽培が増加したそうです。

■7月30日「梅干しの日」には何をする?

7月30日の卯の刻(朝5時〜7時)に、その年の恵方(吉方位)に向かって梅干しを食べると、気が高まり精気がみなぎるとされています。2024年の恵方は「東北東やや東」です。時刻が早朝に設定されているのは、「朝出かける前に梅干しを食べると、その日は災難を免れる」という言い伝えがあるから。「梅干しを一日一粒食べれば医者いらず」とも言われるように、昔の人は梅干しを薬として持ち歩き、旅先で熱病や風土病などの病気にかからないよう心掛けてていたそうです。今でも、旅館などでは朝食に梅干しが出されるのは、この言い伝えが生きている証し。梅干しの効能は、歴史を重ねるなかで多くの人が体験し、科学的にも実証されています。

■「梅干し」はなぜすっぱい?

梅干しがしっぱい理由は、クエン酸とリンゴ酸などの有機酸が含まれているから。レモンやグレープフルーツなど、柑橘類にも含まれているクエン酸は、酸味の元となる成分です。

■「梅干し」は熱中症予防にも効果あり?

梅干しがすっぱい理由でもある有機酸には、熱中症を予防する効果が期待できます。クエン酸は、胃腸の働きを促進し、食欲を高め、たんぱく質の消化を促します。リンゴ酸は疲労物質である乳酸の分解を促進するため、疲労回復に効果的。そのため、水と塩分だけをとるよりも梅干しを食べるほうが、熱中症予防と疲労回復への効果がダブルで期待できるのです。また、カルシウムにはイライラなどを鎮静化させる作用がありますが、梅干しに含まれるクエン酸やリンゴ酸などの有機酸には、カルシウムの吸収を促進する作用があるのです。そのため、豆腐などカルシウムを多く含む食品と一緒にちると、ストレスなどによるイライラの解消にも役立ちますよ。

■お弁当のご飯には、なぜ「梅干し」が入っているの?

お弁当のご飯の真ん中に梅干しが入っているのは、梅干しに殺菌作用があるため。梅干しに含まれているクエン酸は殺菌力に優れており、食中毒の原因となる細菌の繁殖を抑制します。さらに、梅干しを食べることで唾液や胃酸の分泌が促され、体内での殺菌効果も期待できるんですよ。唾液の分泌が活発になると、米の中のでんぷん(炭水化物)が唾液に含まれているアミラーゼによって糖類に分解されます。これにより、ご飯が甘く感じられるのだとか。

■「梅干しとうなぎ」の取り合わせはNGってホント?

昔からよく言われている梅干しとうなぎの食べ合わせですが、実は科学的な根拠がなく、まったくの迷信だそうです。むしろ、ビタミンB1が豊富なうなぎと、クエン酸&リンゴ酸の働きで疲労回復に優れた梅干しの組み合わせは、最強の夏バテ対策メニューです。

■「梅干し」は冷凍保存できるの?

塩分濃度や漬け方、漬け込む調味料の有無など、条件によって異なりますが、市販されている梅干しの賞味期限は、長くても6か月程度。昔ながらの梅干しには1年以上もつものもありますが、高い塩分が気になりますね。とはいえ、減塩タイプの梅干しだと、日持ちがしないのが難点。消費期限内に食べ切れそうにない場合には、冷凍保存がおすすめです。冷凍することで美味しさが保ちやすくなることに加え、程よくシャーベット状になった調味液により、常温とは違った食感を楽しむことができます。梅干し自体は凍っても固まりすぎることはないので、そのままでもお料理にも使えますよ。

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「梅干し」という言葉を聞いただけで、「口の中に唾液が溜まる…」という人は多いのでは。この反応の仕組みは、脳が「酸味」を「毒」と判断し、その毒性を薄めるために、唾液反射と呼ばれる唾液分泌が起こるのだそう。最近では「梅干しの酸っぱさが苦手」な人も増えたようですが、実は唾液の分泌には、成分に含まれる消化促進効果や抗酸化作用など、さまざまな相乗効果が期待できるのです。脳が「毒」と判断するものに「医者いらず」の効果があるなんて、おもしろいですね!

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館) 東農園「五代庵」https://www.godaiume.co.jp :