「目的がなくても1日中いることのできる空間」を目指してデザインしたというのは、2018年3月29日(木)にオープンした東京ミッドタウン日比谷内に、ちょっと変わったコンセプトのマーケット「HIBIYA CENTRAL MARKET」をオープンさせた、クリエイティブディレクターの南 貴之氏。

ありきたりになりがちな商業施設に「変化」をつけたいという思いから、「そこでしか経験できない空間づくり」にフォーカスした展開が生まれていったといいます。

9つの個性が共鳴する新発想の屋内マーケット

広々とした237坪の空間に軒を連ねるのは、バザールのようにいろんなものが共存する新感覚の本棚や、ギャラリーとしての要素も感じさせるデザインギミックな服屋、歴史ある日本最高峰の理容店など、個性あふれる7つの店舗です。

■著名人がキュレーションする本棚が目印【Library】

「Library」の内観写真
「Library」の内観写真

「HIBIYA CENTRAL MARKET」を入ってすぐに目に飛び込んでくるのが、「Library」。老舗書店である有隣堂とコラボレーションするということで、クリエイティブディレクターの南 貴之氏が考えたのが、海外の図書館や博物館を思わせる、大きな本棚だったといいます。洋服や雑貨をはじめ、ヴィンテージの家具が雑多に並ぶ空間は、海外のバザールのような印象を受けます。定期的に入れ替わる著名人がキュレーションする、それぞれの本棚に並ぶ本のジャンルもさまざま。カテゴライズされすぎていないカオスな空間が逆に居心地の良さを感じさせ、話題を呼びそうです。

■ミュージアムショップのようなセレクトショップ【Graphaper】

「Graphaper」の内観写真
「Graphaper」の内観写真

ギャラリー? それともショップ!? そんな物議を醸し出すのがこの「Graphaper」。2015年に神宮前にオープンした1号店に続き、2店舗目となるこちらの日比谷店は、海外のミュージアムショップに訪れたような気分を味わえる、新感覚のセレクトショップに。アート作品のようにていねいに並べられた服やアクセサリー、インテリアの数々は、どれも購入可能とか。アートを買うように一点一点吟味しながらショッピングをしてみたくなる、そんな空間です。

■日本の古き良き文化と最高峰の衛生技術が融合した理容店【理容ヒビヤ】

「理容ヒビヤ」の内観写真
「理容ヒビヤ」の内観写真

かつて理容店のサインとして実際に店頭を飾ってきた「サインポール」をそのまま移動させ、新店舗をオープンさせたのは、一般社団法人日本衛生管理協会代表理事を務める藤井 実さん。廃業した昭和の理容室から受け継いだ什器が、懐かしさを感じさせてくれる一方で、薬剤メーカーと開発した次世代の複合洗浄消毒システムを投入することで、衛生管理を徹底するなど、近代的なアプローチも注目されています。

肌の状態を健康に保つため、余計な産毛や角質を落とし、肌に必要な「皮膚常在菌」のバランスを整えることを意識した女性向けのフローシェービング(お顔そり)も月に1度行われるとのことなので、女性の方もぜひ立ち寄ってみてください!

■海外のマーケットを思わせる賑やかな居酒屋【一角】

「一角」の内観写真
「一角」の内観写真

たまには高級なレストランにも行ってみたいけど、日常的には肩の力が抜ける、「唐揚げとハイボール」が似合うアットホームなお店に立ち寄りたいという人も多いはず。そんな人に向けて考案されたのが、海外の屋台を思わせるオープンスタイルの「一角」。シェフの丸山智博氏ならではのフレンチエッセンスが効いたメニューがどれも、リーズナブルに楽しめます。ベンダーフードのコーナーではテイクアウト可能です。

■1940-50年代のフランスヴィンテージにこだわった眼鏡店【CONVEX】

「CONVEX」の内観写真
「CONVEX」の内観写真

なかなかお目にかかることのできない、デッドストックのヴィンテージフレームがずらりと並ぶ「CONVEX」の店内は、まるで海外のミュージアムのよう。店主が厳選した眼鏡には、それぞれの時代や土地ならではの手法が凝らされており、歴史を紐解くストーリーがあります。もちろん眼鏡の販売やメンテナンス、目の検査まで行ってくれるストアではありますが、まずは眼鏡のバックボーンを聞きながら、スタッフさんとのコミュニケーションを楽しみたいお店といえます。

■「あったらいいな」が凝縮されたキオスク【AND COFFEE ROASTERS・有隣堂・FreshService】

「AND COFFEE ROASTERS・有隣堂・FreshService」の内観写真
「AND COFFEE ROASTERS・有隣堂・FreshService」の内観写真

用がなくても立ち寄りたくなるのが、懐かしの文房具や最新の雑誌が並ぶこちらのキオスク。なかでも注目したいのが、今回都内初進出を果たした九州・熊本発のコーヒー屋「AND COFFEE ROASTERS」です。「本当においしいコーヒー」を提供するため、水選びから豆選び、豆のもつ繊細なフレーバーが壊れないよう配慮し豆に合わせて変える焙煎方法など、徹底的にこだわったコーヒーはすべてハンドドリップで淹れてくれるという贅沢さ。疲れた心を癒やしてくれるいっぱいのコーヒーは、毎日立ち寄りたくなりますね。

■展示によって縦横無尽に変化するギャラリースペース【Tent gallery】

「Tent gallery」の内観写真
「Tent gallery」の内観写真

不定期でイベントが行われるギャラリースペースも設置。展示内容やジャンルに合わせて空間の拡張・縮小ができるよう、軍用のテントを用いるという面白いアプローチは南氏ならでは。記念すべき初回は、20世紀を代表する建築家、デザイナーである名匠ジャン・プルーヴェの展示企画「JEAN PROUVÉ」が開催されます。アイコニックなデスクや椅子、子供用の机やベッドという希少な展示は一見の価値アリです!

書店の再定義というテーマから派生した新発想の屋内マーケット「HIBIYA CENTRAL MARKET」は、訪れる人それぞれのニーズに答えてくれる、驚きあふれる空間でした。時代の変化に寄り添いながら新しい文化を発信する場所として活躍してくれそうです。

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TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.5.3 更新
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石原あや乃