【目次】

【「暫時」と「漸次」の違いは?「読み方」と「意味」】

■「暫時」の「読み方」と「意味」

「暫時」は「ざんじ」と読みます。少しの間、しばらくの間、わずかな時間という意味をもつ名詞です。「しばらく」は漢字で「暫く」と書くので、漢字からも意味がわかりますね。「暫時の暇(いとま)」や「暫時休憩をする」など、副詞的にも用います。

■「漸次」の「読み方」と「意味」

「漸次」は「ぜんじ」と読みます。

次第に、だんだんといった意味の副詞です。「老齢人口が漸次増加の傾向にある」といったように使います。

■「暫時」と「漸次」は違う

【「暫時」と「漸次」の違い】

読み方 意味
暫時(ざんじ) しばらくの間
漸次(ぜんじ) 少しずつ進む

字面や音がなんとなく似ている「暫時」と「漸次」ですが、意味はまったく違う言葉であることがわかりましたね。混乱しないように、“「暫時」はしばらく「漸次」はだんだん”など、ふたつの言葉をセットにして繰り返し唱えるなど、頭に叩き込んでしまいましょう。


【「暫時」と「漸次」、それぞれの使い方がわかる「例文」10選】

日常会話では使うことがなくても、ビジネスシーンや文書ではよく使われる「暫時」と「漸次」。

まずは「暫時」の使い方がわかる例文を紹介します。

■1:「準備が整いしだいお呼びしますので、こちらで暫時お待ちください」

■2:「ご不便をおかけいたしますが、暫時休業させていただきます」

■3:「白熱した議論が交わされているが、暫時休憩してクールダウンしたほうがよさそうだ」

■4:「鋭意進めておりますが、暫時の猶予をいただけますと幸いに存じます」

■5:「社会情勢の悪化により、現地派遣の暫時撤退を余儀なくされた」

次に「漸次」の例文を見てみましょう。

■6:「営業エリアは核となるポイントから漸次拡大していくのが好ましい」

■7:「時代と共に漸次変化する価値観があれば、一瞬で変わってしまう価値観もある」

■8:「日々のトレーニングの成果が漸次表われてきている」

■9:「若いプロジェクトチームだが、漸次機能するようになってきた」

■10:「漸次改善されているとはいえ、一日も早い解決が望まれる」


【それぞれの「類語・言い換え」表現「対義語」】

■「暫時」の「類語・言い換え」

・しばらく ・少しの間 ・一時(ひととき/いちじ/いっとき)・短時間 ・ちょっと間 ・寸刻 

■「漸次」の「類語・言い換え」表現

・徐々に ・しだいに ・だんだんと ・おいおい

■「暫時」の「対義語」

「暫時」は短い時間であることを示すので、「恒久(こうきゅう)」や「永遠」が対義語に。また、「暫時」は「今すぐではない」という意味でもあるので、その場合の対義語は「即時」や「瞬時」となります。

■「漸次」の「対義語」

「漸次」は時間がかかることも示しています。「急激」「一気」「即時」「瞬時」などが対義語として挙げられます。


【「暫時」と「漸次」は英語でどうなる?】

「暫時」の英語表現には、[while]や[for a little while][for a short time][for a while]などが。

・Please wait a while.(暫時お待ちください)

また、「漸次」は[gradually]や[little by little]を使って表せます。

・The number of staff gradually increased over these years.(スタッフの人数はこの数年で漸次増えた)

・get better little by little(漸次よくなる)


【ビジネスで使う場合の注意点】

「暫時」と「漸次」は読み方や語感が似ているため、ビジネス文書や会議の発言などで混同されることがあります。しかし、両者は意味が異なるため、文脈に合わない使い方をすると意図が正しく伝わらないことがあります。

まず「暫時(ざんじ)」は、「しばらくの間」「当面のあいだ」といった一定の時間の継続を表す言葉です。たとえば「暫時休憩します」「暫時お待ちください」のように、ある状態が短い時間続くことを示す場面で用います。

一方の「漸次(ぜんじ)」は、「だんだんと」「少しずつ」といった段階的な変化や進行を表す言葉です。「業務を漸次拡大する」「制度を漸次見直す」のように、時間の経過とともに徐々に進む変化を表すときに使われます。

誤用が起きやすいのは、「徐々に進める」という意味で「暫時」を使ってしまうケースです。たとえば「業務を暫時拡大する」とすると、「しばらく拡大する」という不自然な意味になってしまいます。この場合は「漸次拡大する」とするのが適切です。

また逆に、「しばらく待つ」という意味で「漸次」を使うのも誤りです。「漸次お待ちください」とすると、「少しずつ待つ」という意味になり、文意が曖昧になります。このような場面では「暫時お待ちください」とするのが自然です。「暫時」は時間の長さを示す語、「漸次」は変化の進み方を示す語と覚えておくと、ビジネスの場でも適切に使い分けることができます。

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「暫時」も「漸次」も具体的な時間ではなく、ニュアンスを表す言葉なので、「暫時って何分のこと?」「漸次はどれくらいのスピードで?」と問うのは野暮。言葉の理解には経験値と柔軟性が必要です。普段の会話や読書などでも磨けるものなので、漸次理解を深めていきましょう! さて、ここまで読み進めたところで、「暫時」と「漸次」、どちらが「ざんじ」で、どちらが「ぜんじ」か覚えていますか?

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) :