連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介している連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、ギャラリストとしてご活躍の蜷川敦子さんにフィーチャー!

2024年11月7日(木)から10日(日)まで、都内53の美術館・ギャラリーが参加して開催される、現代アートの創造性と多様性を国内外に発信するイベント「アートウィーク東京」でディレクターを務める蜷川さんの活動について、お話しをうかがいました。

蜷川敦子さん
ギャラリスト、「アートウィーク東京」ディレクター
(Atsuko Ninagawa)’08年に東京・東麻布に現代アート専門のギャラリー「Take Ninagawa」を設立。世界的規模のアートフェア「アートバーゼル」「フリーズ」に出展するなど、日本のアーティストを国際的に紹介。今年の「アートウィーク東京」は11月7〜10日に開催。都内53の美術館・ギャラリーが参加する。

【Tokyo】現代美術に関わり、歴史をつくる。東京のアートシーンを変えるギャラリスト

ギャラストであり、「アートウィーク東京」のディレクターを務める蜷川敦子さん
ギャラリストであり、「アートウィーク東京」ディレクターの蜷川敦子さん

1990年代後半、大学で美術史と芸術学を学んでいた蜷川さんは、バブル後「焼け野原のようになっていた」日本のアートシーンを目の当たりにして、「アーティストが作品を制作できる環境を整えるには、マーケットを動かしていくしかない」と、ギャラリー立ち上げを決意。N.Y.での3年間の学びを経て、’08年に「Take Ninagawa」をオープンした。

「祖父に『やりたいことがあるなら30歳までにやれ』と言われていたことがいいプレッシャーでした(笑)。コンテンポラリーアートは “インターナショナルであること” がベースです。国内のアートシーンをよくすると同時に、日本のアートを国際的なディスコースのなかで見せていくことは、最初からビジョンとしてありました。開廊してすぐに海外のアートフェアに参加し、ステップアップしていったんです」

最高峰である「アート・バーゼルバーゼル」に初出展したのは’13年。以来、毎年出展を続けている。昨年は「アート・バーゼルバーゼル」のセレクションコミッティー(選考委員会)に、東アジアから初めて選出された。

「アートのために」働いた30代を経て、40代になった蜷川さんが「世の中に還元できる仕事を」と’22年に始めたのが「アートウィーク東京」だ。東京の美術館やギャラリーが参加。各施設や、期間中に開催されるさまざまなプログラムの会場を無料のシャトルバスでつなぎ、参加者が気軽に巡れるようにした。

「私がアートを生涯の仕事にしようと思ったのは、作品を通して、アーティストと鑑賞者が1対1で向き合うことに、コミュニケーションの可能性を見たからです。共感や摩擦に気づいて、それぞれの立っている場所から、対話を始めるきっかけになる。そして、時代の価値観やアイディアを代弁するコンテンポラリーアートに関わることは、未来へと続く美術史を、私たち自身でつくっていくことでもある。それがとてもおもしろいんです」

◇蜷川敦子さんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
トイレに行きます。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
言う人によりますが、最近夫から言われてうれしかったのは「You look pretty」。
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
仕事で海外に行くことが多いので、急に休みがとれたら家でダラダラします。以前も夫と子供がいない休日に、朝からシャンパンを飲みつつ一日中掃除をしていたことがあります。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
映画を観る時間がほしい。
Q.10年後の自分は何をやっている?
バトンを次の世代に渡す時期に入っていると思います。だから、渡せるようにそれまで頑張りたい。
Q.自分を動物にたとえると?
考えたことがないです。

PHOTO :
望月みちか
EDIT&WRITING :
剣持亜弥、喜多容子 ・木村 晶(Precious)