新しい働き方を象徴するトップキャリアのしなやかな「リーダー論」

金融からゲノム研究まで、さまざまな業界で活躍する “ニューリーダー” にアプローチ。組織のトップとして何を意識し、どう実行しているのか、その思考と行動に迫ります。

【New Leaders】『ゴールの景色を共有したら、あとはこちらが頼ることも。やりがいの循環がチームを育むから』「Paceギャラリー」副社長 服部今日子さん

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「Paceギャラリー」副社長 服部今日子さん
服部今日子さん
「Paceギャラリー」副社長
コンサルティングなどを経て、’16年「フィリップス・オークショニアズ」にて日本代表を務めたのち、’24年3月より現職。10月16日まで、メイシャ・モハメディの新作絵画展を開催中。

世界的なメガギャラリーの日本初進出として注目を浴びている、麻布台ヒルズにある「Paceギャラリー」。5月のプレオープン、9月のグランドオープンを経て、今や国内外のアートラバーが集う場に。服部さんはそのトップを担っている。

「私がチームをまとめるために意識しているのは “情報の共有”。例えば全員で山を登るとして、まずはゴールとなる山頂の景色をシェアします。そして何泊するのか、荷物は何が必要か、任せたい役割は何かを明確に伝える。あとはもう、仕事の喜びを知り尽くしたプロフェッショナルばかりなので、こちらが頼っている感覚。私も『日本のPACEを成功に導き、国内のアートシーンを盛り上げる』という役割を担ったチームメンバーのひとりなんです」 

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とはいえリーダーとして、グローバルのトップ、アーティストやコレクターとの細かな調整があり、常に走り続ける日々。

「トラブルは…日常茶飯事です(笑)。ただなるようになるし、ならないこともある。全社が懸命にある案件を取りに行けば、ときに叶わないこともありますよね。投資ファンドなどの経験でそのことを理解し、気を揉むことが減ったのかもしれません」 

もちろんその考えにいたったのは、すべてのキャリアで「全力を尽くすこと」を重ねてきたから。そのためにはやはりチームワーク、そしてこれからの時代、リーダーにはある視点が必要だと感じているそう。

「自分の周りだけでなく、もっと広い視野がもてるといいなと。ガザのこと、ウクライナのこと、日本各地の災害のこと。思いを馳せるだけでもビジネスパーソンとしてどう動くべきか、どんな提案ができるのかが見えてきます。アートというボーダーレスな環境だからこそ、個人としてリーダーとして、世界をつぶさに見つめる人でありたい。今、そんなことを考えています」

◇スタッフからひと言!

「自分より問題解決に長けている適任がいれば、ためらいなくその人を頼る姿を見て、目から鱗。『完璧が当たり前のリーダー』ではなく、『ベストな状態でゴールを達成するため、チームを頼れるリーダー』なんです。『譲る』という、自由で潔く、なによりハッピーな信頼感を生むそのマネジメントを、心から尊敬しています!」(マネジャー・西山ルナさん)

◇ニューリーダーへの共通質問

Q1 小さい頃の夢は? 
小学生でCIAに憧れたものの「日本人はムリ!?」と気付いて以来、夢はなし。今日も楽しかったという日が毎日続けばいい。「宵越しの金はもたない」タイプです(笑)。
Q2 いつも自分に言い聞かせている言葉は?
短い言葉をつなげた自分応援フレーズがあるものの、内容は恥ずかしすぎて内緒。
Q3 疲れたときの「甘やかしグッズ」は? 
ヨークシャーテリア。敬愛するアーティストから「マルセル タイガー ヒロシ タイゾウ」と命名。
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愛犬のマルセル タイガー ヒロシ タイゾウくん
Q4 最近「始めたこと」は? 
早起き。
Q5 自分にニックネームをつけるとしたら? 
特になし。

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PHOTO :
望月みちか(人物)
EDIT&WRITING :
本庄真穂、剣持亜弥、喜多容子(Precious)