長かった夏も終わり、日に日に秋が深まって、いよいよ行楽シーズンの到来です。10月14日は「鉄道の日」。あまりなじみがないかもしれませんが、実は記念日が制定されてから、2024年で31年目となる、歴史ある記念日なのです。今回は「鉄道の日」の目的や由来、2024年のイベント情報などについてご紹介します。

【目次】

1922年制定の「鉄道記念日」がルーツです。
鉄道の日は、1922年制定の「鉄道記念日」がルーツです。

【「鉄道の日」とは?「日付」と「由来」】

■「鉄道の日」は「いつ」、「誰が」決めたの?

「鉄道の日」の原点は、1922(大正11)年に鉄道省が日本国有鉄道(現・JR)の記念日として制定した「鉄道記念日」です。1987国鉄の(昭和62)年の国鉄の分割民営化後、1994(平成6)年に、運輸省(現・国土交通省)の提案により「鉄道の日」と改称されました。現在ではJRだけでなく、全鉄道事業者が祝う記念日となっています。

■「目的」は?

鉄道が国民に広く愛され、その役割についての理解と関心がいっそう深まることを目的としています。

■なぜ10月14日?「由来」は?

10月14日という日付は、1872(明治5)年の10月14日に、日本最初の鉄道が新橋~横浜間で開通したことに由来します。また、鉄道開業50周年を迎えた1921(大正10)年の10月14日に、東京駅丸の内北口に初代の「鉄道博物館」が開館したことも、記念日をこの日に定めた理由のひとつだったようです。


【ビジネス雑談に役立つ「鉄道の日」と「鉄道」の雑学】

■日本最初の鉄道の走行距離は何km?

日本最初の鉄道が開通したのは、後に汐留貨物駅(現在廃止)となる「新橋駅」と、現在の根岸線桜木町駅である「横浜駅」の間です。この区間の走行距離はわずか約29kmですが、1872年の開通から152年経った2024年現在、鉄道路線の総延長はJR・私鉄を合わせ計約2万7700km! すごい進歩ですね。1日あたりの利用者は約6800万人で、日本は世界有数の「鉄道大国」とされています。もともと2027年完成予定だったリニア中央新幹線は、残念ながら工期が大幅に遅れ、2034年以降となる見通しとなっていますが、開通すれば、最高時速500kmで、品川~名古屋間が現在の東海道新幹線「のぞみ」より約50分短い40分に、品川~大阪間は約70分短い67分で結ばれる予定です。

■「鉄道の日」のイベントは?

「鉄道の日」の制定以来、鉄道事業者・関係団体・国などが、毎年多彩なイベントを全国各地で実施しています。その中心行事のひとつが、10月13日(日)・14日(月・祝)の2日間、東京・お台場イーストプロムナード「石と光の広場」、「花の広場」にて開催される、第31回「鉄道フェスティバル」(「鉄道の日」実行委員会主催)です。鉄道事業各社によるブースの出店やコンサート、ファミリーゲームなどの催しが予定されています。

※詳しくは国土交通省のホームページでご確認ください。

■「鉄道の日」に合わせた乗車券「秋の乗り放題パス」が発売!

「鉄道の日」に合わせて、お得な乗車券も発行されますよ。例えばJRグループでは、「秋の乗り放題パス」と、「本州ー北海道」の旅行が楽しめる「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」を合わせて発売します。

「秋の乗り放題パス」
日本全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席及びBRT(バス高速輸送システム)並びにJR西日本宮島フェリーが、連続する3日間自由に乗り降りできる乗車券。料金は大人¥7,850(税込)・子ども¥3,920(税込)

発売期間:2024年910月18日(金)まで
利用期間:2024年10月5日(土)~20日(日)

「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」
秋の乗り放題パスでは北海道新幹線と道南いさりび鉄道線は利用できませんが、本券と秋の乗り放題パスを併用することで、北海道新幹線(奥津軽いまべつ~木古内)間の普通車空席と道南いさりび鉄道線(木古内~五稜郭)間の普通列車を連続して利用する場合に限り、片道1回乗車日当日限り利用可能。料金は大人¥2,490(税込)・子ども¥1,240(税込)。

発売期間:2024年10月20日(日)まで
利用期間:2024年10月5日(土)~20日(日)

■「鉄道の日」のシンボルキャラクターを知ってる?

「鉄道の日」のシンボルキャラクターは「テッピー」とそのガールフレンドの「テッピーナ」です。テッピーは1994年、「鉄道の日」の制定に合わせて制作されました。当初は名前がありませんでしたが、1998年に「テッピー」と命名されました。さらに2013(平成25)年には「鉄道の日」制定20周年の記念行事の一環として、ガールフレンドである「テッピーナ」が誕生しました。名前は公募により決定されたそうです。

■新幹線の「15秒ルール」を知ってる?

新幹線の運行は「分単位」ではなく、「15秒単位」なのを知っていますか? ご承知の通り、時刻表の発車時刻は秒が省略されていますが、実際には0秒発、15秒発、30秒発、45秒発のいずれかで設定されています。また、新幹線の発車時刻は列車が動き出すときが基準。そのため、12時30分00秒発の場合、ドアは12時29分台に閉まります! 乗り遅れないよう注意してくださいね! 15秒単位で新幹線を走らせているなんて、世界中の旅行者が「日本の電車は正確!」と驚くのももっともです。

■富士山がいちばんきれいに見える新幹線の駅は?

東海道新幹線の「新富士駅」の辺りでは、よく晴れた日には「今日は美しい富士山がご覧になれます」といった車内アナウンスが流れます。きれいな富士山を写真に収めたことがある人も多いのでは? 実はこの新富士駅は、新大阪までの駅のなかで唯一、乗り換えられるほかの路線がない駅。新富士駅からいちばん近い鉄道駅は東海道本線の富士駅で、北西に向かって2kmほど、車で7分ほど離れていますが、鉄道でつながっていません。

また、大人気の観光スポットである富士山の登山口のひとつ、富士宮口五合目までも、本来ならJR身延線「富士駅~富士宮駅」を経て登山バスが便利そうですが、「新富士駅~富士駅」がつながっていないため、東海道新幹線三島駅もしくは新富士駅から登山バス(路線バス)を利用する人が多いようです。実は、新富士駅が開業したのは1988年3月。東海道新幹線の1964年10月開業よりも20年近くあとで、当初の計画にはなかった駅だったため、なんとも接続の悪い駅になってしまったのでした。

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1872年の10月14日に開業した、日本初の鉄道の走行距離はわずか約29kmでした。152年経った現在では、約2万7700kmもの距離が鉄道路線で結ばれています。さらに近い将来、リニア中央新幹線が開通すると、「東京~大阪」間が1時間ちょっとで行き来できるようになる予定です。距離感が狂ってしまいそうですね! とはいえ、のんびりした列車の旅には、なんとも言えない風情があるもの。今年の秋は、車窓を流れる景色を眺めて季節の移ろいを楽しむ旅に出かけてみませんか。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館) /『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/ 国土交通省「鉄道の日」について(https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk1_000004.html) :