岩手県八幡平市のスノーリゾートエリアに建つ「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」は、2024年7月、ミシュランガイドが発表した日本国内初のミシュランキーホテルのセレクションにおいて、東北エリアで唯一の1ミシュランキーホテルに選出されたホテルです。
2024年10月には、旅行業界のアカデミー賞とも称される「2024 WORLD LUXURY HOTEL AWARDS」を3年連続、2023年に続き3部門で受賞しています。
四季折々で違った表情を見せる安比高原の豊かな自然に囲まれたANAインターコンチネンタル安比高原リゾート。ウィンタースポーツのイメージが強い安比高原ですが、グリーンシーズンや紅葉の時季も絶景が楽しめます。初夏には、3種類の蛍が飛び交う幻想的な風景も。
今年は12月7日にスキー場が開き、現在の安比高原は待望のスキーシーズンが到来しています。
そんな安比高原を望む「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」に、Precious.jpライターが滞在。客室や食事、アクティビティなど充実のステイをレポートします。
「ANAインターコンチネンタルホテル安比高原リゾート」宿泊レポート
エントランスから長い廊下を通っていくと、正面に瞳のようなアート作品がお目見え。
こちらは、秋田県と岩手県にまたがる八幡平(はちまんたい)の頂上付近で見られる「八幡平ドラゴンアイ」を表現した前田耕氏の作品「ドラゴンアイ」。
八幡平ドラゴンアイは、八幡平の沼のひとつ「鏡沼」に5月中旬~6月中旬頃の雪解けの時期、さまざまな自然条件が一致したときにのみ現れる、雪と氷が織りなす瞳のような幻の絶景。
深い青と波紋のように広がっていく白い雪の模様が美しい、この土地ならではのアートに出迎えられ、非日常の世界へといざなわれていきます。
ラウンジではウェルカムドリンクやアフタヌーンティーのサービスが
広い窓から自然光がたっぷりと差し込む温かな雰囲気のラウンジでは、ウェルカムドリンクが提供されるほか、宿泊に含まれているアフタヌーンティー(14:00~15:30)やアペロタイム(16:30~18:00)を楽しむことができます。
ラウンジにはテラス席もあるので、気候のよい季節には外で食事やドリンクを楽しむのもおすすめ。
アフタヌーンティーは、セイボリー3品とスイーツ4品、スコーンというラインナップでしっかりボリュームがあります。
山ぶどうのワイナリー・岩手くずまきワインの白ワイン「ほたる」を使用したゼリーや、岩手の鶏肉を豆と共に煮込んだ料理、八幡平のバジルを使ったソースなど、地元産の食材や旬の食材を取り入れたこだわりのアフタヌーンティーは季節によってメニューが変わります。
少し遅めのランチにしてもいいくらい充実した内容で、こちらのサービスが最初から含まれているのがうれしい驚きでした。
客室は7タイプ全38室
「プレミアムツインテラス付」に宿泊
客室は、7タイプの全38室。全体のデザインコンセプトは「安比の自然との一体感」です。窓から見える安比の自然からそのままつながるような色合い、デザインに居心地のよさを感じます。
今回、宿泊したのは安比高原を望むテラスが付いた「プレミアムツイン」。
ベッドのヘッドボードには、雲にも雪にも見える白い伝統的な和紙があしらわれています。水が流れるような楕円形の曲線が描かれたラグは、フロアごとに異なるそう。
黒を基調としたシックなバスルームは「岩と白木」がテーマ。大きな窓が付いているため、室内ながら露天風呂気分が味わえます。
テラスから雄大な自然を眺めていると時間がゆっくりと流れていきます。取材時は紅葉目前の時期で、まだ緑が強いものの、ところどころ色づき始めている樹々を見ることができました。
12月に入り、本格スキーシーズンが始まっている今は一面の雪景色が広がっているそう。四季によって違った景色が楽しめるのも自然豊かな環境ならではです。
安比スイートを拝見
スイートタイプの客室は4種類。2台のクイーンベッドと1台のキングベッドを有する131平米の客室「安比スイート」を見せていただきました。
2方向の全面ガラス張りで、明るく開放感あふれた最大定員4名の客室です。
温かみのあるゆったりとしたダイニング・リビングエリアから左右に分かれてどちらにもベッドルームがあるため、2世帯の旅行にもおすすめ。檜の内風呂、大自然を望むテラスもあり、ラグジュアリーなリゾートステイが満喫できます。
「THE SPA by HARNN」でのトリートメントで極上の癒やし体験
世界各地の高級ホテルのアメニティにも使用されている人気のタイのナチュラルスパブランド「HARNN」。米ぬか油や天然植物の効能を最大限に活かしたHARNNのオリジナルプロダクトを使ったスパが受けられる「THE SPA by HARNN」で、タイアロマオイルマッサージ「THE SOULFUL」を体験しました。
今回施術をしてもらったのはシングルルームでしたが、ふたり同時にマッサージを受けられるカップルルームも。シングルルームは景色もよく、入った瞬間から癒やしの空間が広がります。
フットバスで足を温めて全身の血の巡りをよくしたあとは、4種類のオイルから自分好みのものを選びます。
デトックス効果の高いもの、リフレッシュ効果の高いものなど、オイルによって期待される効能が違います。手の甲に少したらして香りをかぎ、リラクゼーション効果が高くホルモンバランスを整えてくれるとされる「JASMINE SAMBAC」をセレクトしました。
こちらのオイルを使ってマッサージをしていただけます。
普段パソコンに向かうことが多く首・肩周りが凝っているという自覚もあるため、オイルを使って念入りにほぐしていただくと全身終わるころには眠くなるほど深いリラックス状態に。
マッサージが終わったあとは温かいお茶でほっとひと息。全身の巡りがよくなっているのを感じながら、まだ半分夢の中にいるような心地よさに浸ります。
スパトリートメント付きのプランで宿泊したお客様には、トリートメント後にミニサイズのボディローション、ボディウォッシュ、ヘアーシャンプー、ヘアートリートメント、石鹸のセットがプレゼントされます。自宅に帰ってからもスパの余韻に浸れる、うれしいアイテムです。
ダイニング「白露/SHIRATSUYU」での絶品ディナー
ディナーはロビー階にある和食・フレンチ「白露/SHIRATSUYU」でいただきました。
“Farm to Table” をコンセプトに、特選食材や三陸の魚介類などを使い、郷土料理と西洋料理を融合させたクリエイティブなメニューを楽しめる、ローカル クイジーン ダイニングです。
アミューズからスタートするコースは和洋2種が用意されています。今回、筆者はウェスタンスタイルを選びました。
ウェスタンスタイルの一皿目は、「三陸もどりカツオの炙り」。マヨネーズベースのソースやきゅうりのソース、赤紫の山ぶどうを使ったソース、カツオの上にのせられた5種類のハーブやニンニクのチュイルと共にいただきます。
ジャパニーズスタイルでは、根菜と酢の物と岩手県産の秋刀魚をマリネした「秋刀魚の菊花和え」が登場します。
青森県産の赤みが強い銀鴨をローストしたお料理には、フレッシュな山ぶどうの実を種ごと使ったソースや、食感が楽しいナッツ、ローストしたエシャロットを添えて。サッパリとしながら旨みのある鴨肉が楽しめます。後ろに黒い石のような姿のジャガイモも潜んでおり、鴨肉との相性が抜群でした。
和の一品は、香り豊かな松茸の土瓶蒸しです。
続いては、こちらも松茸を使ったコンソメスープ。コンソメに松茸の香りをうつしているため、とても香り豊かです。松茸のほか、アミタケや、コンソメと卵の洋風の茶わん蒸しのようなフランも入っていてさまざまな食感も楽しめます。
和のお料理は、「旬魚のお造り」。マグロと鯛とイカが並びます。
続いてオマール海老を使った豪華なひと品が登場。オマール海老をミディアムに仕上げ、エビを使ったソースをかけています。ぷりぷり食感のオマール海老に濃厚でコクのあるソースがからみ、絶品でした。
ジャパニーズスタイルの一皿は、帆立を野菜と一緒に蒸した「三陸帆立の八幡平茸の蕪蒸し」です。
そしてメインの肉料理が登場。洋の一品は、「岩手牛フィレ肉の炭火焼き」。岩手牛の五つ星ブランドのお肉を炭火で焼き、生で食べられるカボチャ・コリンキーのマリネ、舞茸、甘みを足すためのプルーンを添えて。フォンドボーのソースもしくはレモンの塩を付けていただきます。
ソースを付けると旨みがさらに増し、塩を付けるとお肉の甘みが引き立ちます。付け合わせのお野菜とあわせてさっぱりといただくのも美味。
もう一方の「岩手牛と二子里芋の挟み焼き」は、岩手牛に岩手県産の二子里芋を挟み、味噌だれでいただく和風な一品です。
食事の最後は、マッシュルームの香りが食欲をそそる「八幡平シャンピニオンの焼きリゾット」。
レストランのスペシャリテであるマッシュルームのスープをのばしたソースや、鶏の出汁をぎゅっと濃縮してコクを出した黒いソース、ブランデーやローリエで香り付けした泡のソースなど、すべてのソースにマッシュルームの香りをうつしたのだそう。香りだけでなく食感のアクセントになるマッシュルームのフリットもたっぷりのせられています。
マッシュルームの旨みがたっぷり詰まった逸品は、すでにしっかりとお食事をいただいてお腹も満たされてきた頃合いでもペロリと食べられるほど。
和のラストを飾るお食事も、香り高い「松茸ご飯」でした。
デザートは、和洋いずれもモンブラン。熊本産の和栗を使ったモンブランに、抹茶のエスプレッソソースを合わせています。さらに、甘みのある抹茶カプチーノソースをたらして。
栗の甘みと抹茶の苦みがマッチし、奥行きのある味わいに。締めにふさわしい、余韻のあるデザートでした。
バー「畚/MOCCO」でのひととき
夕食のあとは隠れ家的なオーセンティックバー「畚/MOCCO」へ。こちらは宿泊者以外も利用可能なバー。
ウイスキーやバーボン、ワイン、バーテンダー特製のカクテルが楽しめます。
岩手県二戸市の日本酒酒造「南部美人」のクラフトジンを使ったジントニックは飲みやすく人気の高いカクテル。そのときにある果物でお好みのものを選び、カクテルを作ってもらうことも可能です。人気のジャパニーズウイスキーである響や山崎の希少なボトルも並び、ウイスキー好きにはたまらないはず。
オーセンティックなバーでゆったりとお酒を味わう至福のときを、ぜひご体験ください。
朝食はメインを選べるハーフビュッフェで楽しむ
朝食もダイニング「白露/SHIRATSUYU」にて。メイン料理として卵料理や和朝食などを選びつつ、焼きたてのパンや新鮮なサラダ、フルーツなどをビュッフェスタイルで提供しています。
メインは卵料理、お粥膳、和食膳のほか、スイーツメニューとしてスフレパンケーキ、豆乳ワッフル、厚切りフレンチトーストからお好きなものを選べます。
筆者はオムレツをセレクト。チーズ、ハム、オニオン、トマト、八幡平マッシュルーム、ほうれん草の中から具材を複数種類選べるので、チーズとオニオン、ほうれん草、八幡平マッシュルームを入れていただきました。ちなみに、ホワイトオムレツにしてもらうことも可能です。
具材をたっぷり入れてもらったら、かなりボリュームもあり、これだけでも満足感高め。せっかくのビュッフェなので、サラダやパンなどもあわせていただいたら、朝からお腹いっぱいになりました。
「安比高原ブナ林」の散策でブナについて知る
安比高原には、ブナの森を伐採したあと自然の力で再生したブナの二次林が広がっています。ガイドの方が先導しながら、ブナ林の今と昔、林に住む動物や虫などの生き物についてのお話をしてもらえるアクティビティもあります。
安比高原のブナの二次林は、日本の森林浴百選のひとつ。ブナ林には、いわゆる“森林の香り”の正体であるフィトンチッドが多く存在しています。フィトンチッドとは、植物が生命を維持したり成長を促したりするために放出する揮発性物質。フィトンチッドたっぷりのブナ林を歩いて森林浴を楽しむうちに、心も身体も癒されていきます。
また、保水能力に優れたブナ林は「天然のダム」とも言われ、水源地としての役割も果たしているそう。ブナ林のすごさについてガイドさんからお話を聞きながら歩いていると、1時間があっという間に過ぎていきました。
ベーカリーレストラン「HOUSE APPI/ハウスアッピ」でランチ
昨年12月に開業したばかりのベーカリーレストランとグローサリーのお店「HOUSE APPI/ハウスアッピ」も、ぜひ立ち寄りたいスポット。
本場フランスのバターを使用したクロワッサンや、岩手県産小麦を使用したカンパーニュなど、店主こだわりのパンが常時45種類ほど並びます。スイーツ系からお食事系まで種類豊富で、目移りしてしまいます。
安比高原牧場の牛乳を使用したジェラートも注目。八幡平ドラゴンアイをイメージした「ドラゴンアイ(塩のジェラート)」はほんのりと効いた塩が甘さを引き立て、さわやかな味わい。
自慢のクロワッサンにジェラートをはさんだ「クロワッサンジェラート」(¥600)もおすすめです。
店内に並ぶパン以外にも豊富なイートインメニューでランチ、ティータイム、ディナーとさまざまな時間帯に楽しめます。パスタやピザ、スープ、おつまみメニューなどに加え、ドリンクもビールやワインなどのアルコール類も用意されています。
グローサリーコーナーでは、東北ならではの商品をラインナップ。調味料やお菓子などの食品だけでなく、工芸品やコスメなどもたくさん。旅行のお土産選びに訪れるのもおすすめです。
問い合わせ先
- HOUSE APPI
- 営業時間/火曜日~土曜日 10:00~21:00、日曜日 10:00~18:00
定休日/月曜日(月曜祝日の場合は翌日休み) - TEL:0195-73-5136
- 住所/岩手県八幡平市安比高原605-209(安比ペンションビレッジ内)
せわしない日常から離れて心穏やかな時間を過ごせるANAインターコンチネンタル安比高原リゾート。安比高原の大自然の中、ミシュランキーホテルのサービスを受けられるワンランク上の滞在を体験してみては。
問い合わせ先
- ANAインターコンチネンタルホテル安比高原リゾート
- TEL:0195-73-5010(受付時間 9:00〜18:00)
- 住所/岩手県八幡平市安比高原117−46
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小林麻美