『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。

今回のテーマは犬走さんの最新投入冬アイテム、フォレストグリーンの「ダブルフェイスコート」。さりげなくトレンドを香らせながら、洗練された雰囲気を醸し出す大人のコートスタイルを完成させるには? 犬走さん流のセレクト&スタイリングのポイントを、私物コーディネートで見せていただきましょう!

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)『Precious』本誌をはじめとする数々の女性誌、テレビ、広告など多彩な分野で活躍。女優のスタイリングも手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目されている。

深いフォレストグリーンにひと目惚れした「ドゥロワー」のコート

今季早々、犬走さんが購入したのは「ドゥロワー」の「ダブルフェイスコート」。洒脱なニュアンスのフォレストグリーンが印象的です。

「いつものことではありますが、“コートはもう買わない”と言っていたのに(笑)。パッと見た瞬間に気に入ってしまい、“そういえばグリーンのコートはもっていないから”と自分に言い訳をしながら買いました」(犬走さん)

やはり気に入った最大のポイントは、この大人っぽいフォレストグリーンという色味でしょうか?

「余談になりますが、上野の東京美術館で2024年12月1日(日)まで開催中の“田村一村展 奄美の光魂の絵画”に行った際に目にした、奄美大島をテーマに描かれた作品の深い緑色にとても惹かれて。また、とある韓国ドラマの主人公がきれいな色のコートを軽やかに羽織っている姿も印象的でした。

どうしてもコートって、ブラックやグレー、キャメルといったベーシックカラーを選びがちですけれど、それ以外の色を着こなせたら素敵だなとかねてから思っていたこともあり、このフォレストグリーンに惹かれたのだと思います」(犬走さん)

■1:「サカイ」の個性的デザインと合わせてもエレガント!

フォレストグリーンというカラーだけではなく、ダブルフェイスというのも、犬走さんがこのコートを気に入った理由。「ダブルフェイス」とは、2枚の生地を貼り合わせ1枚に仕立てた生地で、コートによく使われています。

「明確な理由はないのですが、どうもダブルフェイスが好きなようで(笑)。これはカシミア30%・ウール70%で素材感も上質。デザインもシンプルなので、例えばこの“サカイ”のジャケットとパンツのようなひとクセあるアイテムにもマッチする包容力があるし、一方でそのひとクセある個性に対峙できるカラーインパクトも備えています」(犬走さん)

大人コーデ_1,コート_1,デニム_1,ジャケット_1
中に着ているのは、ブラックデニムとメルトン素材を組み合わせた「サカイ」のジャケットと、同デザインのタイトスカート。首元にはスカーフをあしらいアクセントをつけて。

■2:パンツ&シャツのブルーのグラデーションと鮮やかに対比させて

グリーンというのは、実はさまざまな色にマッチするユーティリティカラーということを以前から提唱してきた犬走さん。

「この連載でも同様のことをお話しした記憶がありますが、グリーンというのは葉っぱの色。どんな色の花にもグリーンの葉っぱは似合うし、そもそもそれが自然の姿ですよね」(犬走さん)

大人コーデ_2,コート_2,デニム_2
インパクト大のラップ仕立てのデニムパンツは「ロエベ」。トップスは光沢のある「ラルフ ローレン」のシルクシャツでエレガンスを加えて、大人のバランスを構築。

「バッグなどの小物もそうですけれど、着回しやすいというのも、このフォレストグリーンを選んだ大きな理由のひとつなんです。例えばデニムパンツとシルクのシャツで描くブルーのグラデーションにも、コートのグリーンがなじみながら際立って、印象深い着こなしに仕上がります」(犬走さん)


今回は、犬走さんが今季いちばんに購入したフォレストグリーンの「ダブルフェイスコート」から、セレクト&スタイリングのポインをお届けしました。冬のおしゃれを盛り上げてくれるコートは、ベーシックカラー以外を選ぶことで一気に着こなしの鮮度がアップ! コートスタイルをアップデートして、華やぐ街へと出かけてみませんか?

※私物に関するブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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この記事の執筆者
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PHOTO :
田中麻衣(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)