東京・六本木「森美術館」で展覧会『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』開催中|「ゲラン」とアートの関係性を紐解くイベントに俳優・笠松 将さんが登場
1828年にフランス・パリに誕生して以来、約200年にわたり数多くの芸術家と深い交流を続けてきたラグジュアリーブランド「ゲラン」は今回、東京・六本木の「森美術館」で開催中の展覧会『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』に協賛しており、これを記念して、メゾンとアートの関係性を紐解くイベント『Guerlain in ART with Louise Bourgeois Exhibition』を開催。俳優の笠松 将さんらが登壇されました。
20世紀を代表するアーティストとして知られるルイーズ・ブルジョワ(1911年パリ生まれ、2010年ニューヨークにて没)は、生い立ちから自身を取り巻く複雑な家庭環境をインスピレーション源に、98歳で他界するまでの70年にわたり制作活動を続け、インスタレーションや彫刻、ドローイング、絵画など、さまざまな作品を発表。後世のアーティストにも多大なる影響を与えました。
今回は27年ぶり、国内最大規模で開催される展覧会となり、日本初となる作品を含む100点以上が公開されます。会場の「森美術館」がある「六本木ヒルズ」のパブリックエリアにそびえ立つ、蜘蛛をモチーフにした作品《ママン》は、ブルジョワを語るうえで欠かせない代表作のひとつとなり、展覧会でもひと際注目を集めている作品が、同じモチーフとなる【《蜘蛛》(1997年)】です。
実はこの作品《蜘蛛》には、ブルジョワと「ゲラン」を結びつける、ある物語が隠されていました。「ゲラン」とアートの関係性を紐解くイベントをリポートすると共に、当日、笠松さんも鑑賞された展覧会の見どころを詳しくご案内します。
「ゲラン」とルイーズ・ブルジョワの関係性を紐解く作品【《蜘蛛》(1997年)】について
ルイーズ・ブルジョワの代表作のひとつ《蜘蛛》(1997年)と「ゲラン」の関係性を知るには、ブルジョワの生い立ちが深く関わってきます。
1911年、フランス・パリでタペストリー専門の商業画廊と修復アトリエを経営する両親のもとに次女として誕生したブルジョワは、裕福な環境のなかで、父親からの支配的な態度や不貞といった複雑な家庭環境に苦しみ、唯一の心のよりどころとしていたのは、病に冒されながらも懸命に自分たちを育ててくれた母の存在でした。その母親もブルジョワが20歳の時に他界し、この悲しみがブルジョワをアーティストとしてのキャリアを志すよう奮い立たせるきっかけとなりました。
ブルジョワの作品への着想源は、主に幼少期に経験した父からのトラウマ的な出来事となり、この記憶や感情を呼び起こすことで数々のアートへと昇華させました。
彼女の制作活動のなかで何度もモチーフとして登場してきた “蜘蛛” は、彼女にとって “親友” とまで言わしめた温和で勤勉な実母の象徴でした。糸で傷を繕い、癒やす修復家である蜘蛛は、一方で周りを威嚇する捕食者でもあるとブルジョワは説明しており、母性の複雑さをも表現しています。
1997年に発表された作品《蜘蛛》は、まさしく母への思いが表現された作品であり、蜘蛛が守る檻のなかには、ブルジョワが大切に保管してきた、母の思い出となる「ゲラン」のフレグランス『シャリマー』の香水瓶が象徴的に飾られています。
【嗅覚には魂を揺さぶり、癒やす力がある】との言葉を残したブルジョワが、「ゲラン」の象徴的な香水『シャリマー』を作品に用いたことについて、「森美術館」キュレーターの椿玲子さんは、
「大きな蜘蛛が檻を守っているような作品の中で、ルイーズ・ブルジョワや家族の所持品が飾られています。本作は、彼女にとって母への、そして家族へのオマージュを表現しています。ルイーズ・ブルジョワにとって、『シャリマー』はお気に入りの香りでした。彼女の作品に使用しているのは、記憶や彼女の時間を作品として永久に残したいという気持ちを表しているとも考えられるのでないでしょうか。ルイーズ・ブルジョワにとってはそのくらい、『シャリマー』が大切な存在だったと感じ取ることができます」と解説されました。
また、最近になって日常的にフレグランスを纏うようになったと話す笠松さんは、
「香水をつける前までは、香水は贅沢品だと思っていました。実際に使用してみると、香水を纏うことで気持ちのオンオフの切り替え、まさにスイッチのような役割を担ってくれている感覚を覚えました。なので、何もない日も香水を纏いますし、香水にハマっています。実は、普段僕もゲランの香水を愛用していて、いつも同じ香りを纏っています」とのエピソードを披露しました。
「ゲラン」永遠の名香『シャリマー』から今年だけの特別な香り『ミレジム コレクション シャリマー ミレジム ジャスミン』誕生
サンスクリット語で “愛の宮殿” を意味する名品フレグランス『シャリマー』から、今年だけの特別な香りとして『ミレジム コレクション シャリマー ミレジム ジャスミン』が誕生。甘美で濃密なジャスミンにオマージュを捧げた、数量限定となるスペシャルなフレグランスです。
「ルイーズ・ブルジョワ展」特設ショップでは、ブルジョワも愛した香水『シャリマー』はもちろん、数量限定発売となる『シャリマー ミレジム ジャスミン』も販売され、さらに最後の展示室ではその場で香りを体感することもできます。
さらに、下記「ゲラン」公式オンラインブティックと一部店舗(森美術館展示会会場、伊勢丹新宿店 本館1階フレグランスコーナー、ラ ブティック ゲラン ギンザ シックス、阪急うめだ本店、日本橋髙島屋S.C. 、大阪高島屋、心斎橋大丸、京都伊勢丹、銀座三越)でも現在、販売中です(記事末にサイトへジャンプできるボタンあり)。
展覧会の副題としてインパクトを放つ【地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ】という印象的なフレーズは、ブルジョワのご主人が生前、使用していたハンカチに、晩年、ブルジョワが刺繍で遺した言葉から引用されたもの。ブラックユーモアのセンスも感じさせつつ、自らを逆境を生き抜いた “サバイバー” だと考えていたブルジョワが遺した、生きることへの強い意志を表現する作品たちは、観る者に逆境を克服するレジリエンスへとつながるヒントを与えてくれるかもしれません。
日本初となる作品を含む100点以上が一挙に大公開される展覧会『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』は、2025年1月19日(日)まで東京・六本木の「森美術館」で開催されています。
『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』
会期:~2025年1月19日(日)まで開催中
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00~22:00(火曜日のみ17:00まで、最終入館は閉館時間の30分前まで)
※ただし2024年12月24日(火)・12月31日(火)は22:00まで
休館日:会期中無休
※事前予約制(日時指定券)のため、専用オンラインサイトから「日時指定券」を購入のうえ来館ください。詳しくは下記、公式サイトよりご確認を。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 松野実江子(Precious.jp)