自動車は持ち主にとって、もうひとつの部屋。必要十分なサイズでミニマムに暮らすか、広い空間を贅沢に使うかで選ぶサイズは変わってくるし、デザインも大事。落ち着きのあることが心地いいかもしれないし、最新の設備が整ったモダンな居場所に惹かれることも。また、思い切って多少手間がかかっても、ビンテージの香りに包まれたいという人だっているでしょう。

今回紹介するマツダ「CX-80」は、ひとことでいうなら“エレガントで贅沢なゆとりの空間”。住まいと違って気の向くままに移動できる部屋は、感動の泉となって暮らしに彩りをもたらすことでしょう。

一世を風靡した名車をつくってきたマツダらしいプレミアムSUV

右/若い世代にも手が届く小型実用車として1980年代に人気を誇ったファミリア。左/1989年に登場し、ふたり乗り小型オープンカーの魅力を蘇えらせた、ユーノス ロードスター。現在も4代目が発売中。
右/若い世代にも手が届く小型実用車として1980年代に人気を誇ったファミリア。左/1989年に登場し、ふたり乗り小型オープンカーの魅力を蘇らせた、ユーノス ロードスター。現在も4代目が発売中。

マツダは日本の自動車メーカーのなかでも個性的な存在で、他社に先駆けた技術を積極的に投入する先見性と、飽きのこないベーシックな自動車作りの両方を兼ね備えているのが特徴。いわば、モードも定番も得意という、ユニークさが魅力です。時代を彩った名車も多く、サーフィンに憧れたお姉さん世代なら、真っ赤なボディが海に映える小型車「ファミリア」を覚えているかもしれません。また1980年代の終わりに登場したふたり乗りの小型スポーツカー「マツダ ロードスター」(初期の車名は「ユーノス ロードスター」)は、モデルチェンジを繰り返しながら今も新しいファンを獲得しています。

CX-80には気持ちが華やぐカラーも。写真の車体色はメルティングカッパーメタリック。
CX-80には気持ちが華やぐカラーも。写真の車体色はメルティングカッパーメタリック。

近年、マツダは広い室内空間と多目的に使えるSUVタイプに力を入れていて、今回紹介する「CX-80」は一番大きなボディサイズとなります。全長は5m近くあって屋根も高いのですが、間近で眺めても威圧感が少ないのは、エンジンが収まる前方のボンネット部分を長くとった優雅なプロポーション(たとえるならロングトゥのシューズ)と、角のとれた柔らかなデザインの賜物。シンプルな面で静謐な美しさを表現する手法は近年のトレンドのひとつですが、「CX-80」は前述の長い鼻先や目力強めの精悍な顔つきが、躍動感につながっています。スポーツカーづくりも得意なマツダらしい個性といえるでしょう。

多様なライフスタイルに応える室内空間

インテリアの選択肢も多彩。写真は前面にクロス素材を用い、ATレバー周辺のパネルを明るい木目調(プラチナサテン)でコーディネートした例。
インテリアの選択肢も多彩。写真は前面にクロス素材を用い、ATレバー周辺のパネルを明るい木目調(プラチナサテン)でコーディネートした例。

インテリアにもマツダらしいこだわりが感じられます。仕立てや色、各部の素材はグレードによって細かく異なり、ベーシックなグレードではブラック内装でクロス表皮のシート。中位グレードでは内装色がブラックに加えてグレージュも選べ、シート表皮は本革に。そして上位グレードではブラック、ホワイト、ブラック/タンの2トーンとバリエーションが増え、シート表皮はやわらかな肌触りのナッパレザーが用いられています。そのうえで、インテリアのデザインは日本的な美意識を取り入れたものとなっていて、走行中に必要な情報を視認しやすく、操作性にも長けた機能を上品にまとめています。

2列目のシートは3種類。写真は中央に収納付きのひじ掛けが付く、2人掛けのキャプテンシート仕様。ひじ掛けなしも選べ、さらに3人掛けのベンチタイプも用意(グレード別設定)。
2列目のシートは3種類。写真は中央に収納付きのひじ掛けが付く、2人掛けのキャプテンシート仕様。ひじ掛けなしも選べ、さらに3人掛けのベンチタイプも用意(グレード別設定)。
後部ドアが80度まで開き、2列目は前後に大きくスライドできて、3列目の乗り降りも楽。
後部ドアが80度まで開き、2列目は前後に大きくスライドできて、3列目の乗り降りも楽。

さらに、「CX-80」には大柄な車体ならではの特徴がもうひとつあります。それは、3列目のシートを備えていること。通常の後席にあたる2列目は3人がけのベンチシートと独立2座のキャプテンシートが選べ(上位グレードはキャプテンシートのみ)、その後ろに2座のシートが備わっているのです。3列シートの設定が一般的な箱型のミニバンと比べると居住性こそ譲りますが、緊急用に留まらないシートの大きさと空間を確保し、たためば荷室の床と一体化するので、荷物の量や乗車人数に応じて最適なアレンジができます。マツダでは「CX-80」をクロスオーバー車と称していますが、多様化するライフスタイルにクロスオーバーする機能性という点で、それは確かに実感できます。

近場のおでかけなら電気自動車として使える!

どんなときも心に余裕をもって運転できるよう、シンプルで見やすい設計。インテリアの組み合わせは、こちらもクロス&プラチナサテン。
どんなときも心に余裕をもって運転できるよう、シンプルで見やすい設計。インテリアの組み合わせは、こちらもクロス&プラチナサテン。

エレガントなスタイリングと多様なニーズに応える機能を備えた「CX-80」は、運転中もストレスフリー。それを叶えているのが、人間工学に基づいた着座位置の設計であり、出足から穏やかで力強い加速、そして路面の衝撃を丸め込みながらも揺れの少ないスマートな乗り心地です。乗り手の気持ちや操作中の動きとのずれが少ないフィット感抜群の運転感覚は、当然ながら気持ちよく、長距離の旅では疲労の軽減にもつながります。

旅先に、美しい景観と最高のおもてなしが魅力のラグジュアリーホテルを選んでも、移動の時間に我慢を強いられては楽しみも半減。滞在同様、パーソナルな空間でリラックスできる「CX-80」は、自動車旅のパートナーにはうってつけの存在です。

3列目は簡単操作で降りたためて広い荷室の床の一部に。まとめ買いで荷物が多いときはもちろん、ゴルフや旅でも積載で悩むことはないはず。
3列目は簡単操作で降りたためて広い荷室の床の一部に。まとめ買いで荷物が多いときはもちろん、ゴルフや旅でも積載で悩むことはないはず。

最後に、「CX-80」の上位グレードはPHEV(プラグインハイブリッド)という、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた駆動源を搭載しています。モーターの静かで力強い走りはプレミアムカーにふさわしいフィーリングで、ドライブの時間を格上げすること確実。しかも、一般的なハイブリッド車は走りながら充電するため、状況によってはモーターがお休みしてしまいますが、「CX-80」のPHEVは電気自動車のように外部の充電器と接続して電気を貯めることが可能。自宅のガレージでは常時充電し、おでかけ中は高速道路のサービスエリアにある急速充電器とつなげば充電量が回復し、滞在先に充電設備があれば駐車中につなげて充電できるので、とても便利です。

燃料がなくなると走れない点では従来のエンジン搭載車と同じですが、かぎりなく電気自動車に近い快適な走りと、燃料さえ残っていれば走れる安心感という点で、いま最も便利なシステムです。満充電での走行可能は67km。つまり、近場での移動が多い場合はモーターだけで走りきることもできるのです。移動はもっぱら自宅とオフィスの往復という方にもおすすめです。

横から見ると、エレガントなSUVの資質が伝わってくる。遠くへ出かけたいと願う女性にぴったり。
塗装にもこだわり、光の加減で美しさが際立つ。遠くへ出かけたいと願う女性にぴったり。

【MAZDA CX-80 Premium Modern  e-SKYACTIV PHEV(4WD)】

車体寸法:全長4,990×全幅1,890㎜×全高1,710㎜
乗車定員:6名
車両本体価格:¥7,122,500

問い合わせ先

マツダ

TEL:0120-386-919

 

この記事の執筆者
総合誌編集部を経て独立。ライフスタイル全般の企画・編集・執筆を手がける。ファッションのひとつとして自動車に関心を持ち、移動の手段にとどまらない趣味、自己表現のひとつとして提案している。
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マツダ