2022年冬、ディズニープラス スターで独占配信されるなり、大きな話題となったヴィレッジ・サイコスリラー『ガンニバル』。「怖い」けど「物語がおもしろい」「引き込まれる」と、世界中から高い評価を得ました。2025年3月19日からはいよいよシーズン2が独占配信開始に。柳楽優弥さんが演じるのは家族と共に供花(くげ)村に赴任してきた駐在・阿川大悟。笠松 将さんはその村を支配する後藤家の新たな当主・後藤恵介を演じます。物語では終始、対立する存在ですが、さて実際のふたりは…? 悲哀、アクション、家族愛…あらゆるエンタメがぎゅっとつまった秀作の裏側に迫ります。

柳楽優弥さん
俳優
(やぎら・ゆうや)1990年生まれ、東京都出身。2004年公開映画『誰も知らない』で、「第57回カンヌ国際映画祭」男優賞を最年少の14歳で受賞。近年の出演作は、映画『ディストラクション・ベイビーズ』『HOKUSAI』、ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』『母、帰る~AIの遺言~』『ゆとりですがなにか』シリーズ、『ライオンの隠れ家』など。
笠松 将さん
俳優
(かさまつ・しょう)1992年生まれ、愛知県出身。2013年から本格的に俳優として活動する。2020年『花と雨』で長編映画初主演を果たし、近作ではドラマ『君と世界が終わる日に』(Hulu)、配信作品『全裸監督2』(Netflix)、『The Narrow Road to the Deep North』(Prime Video)、日米合作『TOKYO VICE』(HBO max)、配信作品『ガンニバル』(ディズニープラス)などに出演。2022年、CAAとの契約を発表し、国内外で活躍する。2023年、個人事務所設立。

自分の正義があっても、それを強く追い求め続けることは、なかなかできないもの

「アクションに“芝居”を乗せられる数少ない俳優が、柳楽さんです」(笠松さん)

――シーズン1と2、あわせて約9か月もの長い撮影期間を経て、ようやく完結となるシーズン2が配信されます。まずはシリーズ完走しての振り返りを。

柳楽:シーズン1では、僕が演じる警察官・阿川大悟と村人との対立構図が明確にありました。恵介(笠松さん)のこともまったく信用していないし、徹底的にやりあってぶっ壊す…言ってみれば、「破壊」がテーマでした。その関係性が少しずつ変わって、図らずもふたりの距離が近づく瞬間もあるのが、シーズン2。テーマは「再生」とでも言うのかな。そこに向けての第一歩が描かれています。

柳楽優弥さん
シーズン2のテーマは「再生」です(柳楽さん)

 

笠松:僕としては、そんな柳楽さんの演技を間近で見て、ワクワクを感じることができて、人生の財産になりました。

柳楽:シーズン1から引き続きアクションが多くて、特にシーズン2ではガンアクションが増えました。物語はとてもヘビーでも、撮影は本当に楽しくて。どうしてかというと、笠松さんから「ハート」を感じられるからなんですよね。このシーン、どうしたらもっとよくできるか。かっこよく見せられるか。笠松さんはずっと考えていて。

笠松:いやいや。そういう柳楽さんは、“アクションに気持ちと芝居を乗せることができる人“です。お芝居が上手な人、アクションができる人、どちらもたくさんいるけれど、両方同時にできる人は、なかなかいません。今回はそんな柳楽さんの芝居が基準になって、みんながその高いレベルを目標にしながら挑んだ。設定レベルがもう最初から違うんです。こんな経験はめったにありません。
そもそも、どんなに自分の正義や理想があっても、それを強く追い求め続けることは、なかなかできないものです。でも、それに耐えうる肉体と精神が宿っているのが柳楽優弥という俳優だと感じました。

笠松 将さん
柳楽さんは、“アクションに気持ちと芝居を乗せることができる人“(笠松さん)
――そのアクションは、シーズン2の大きな見どころでもあります。『ガンニバル』ならではのアクションというと、どんなところにあるでしょうか。

柳楽:シーズン2の前半は「あの人」(後藤家が神のように崇める正体不明の大男)との格闘が多くて、相手のずば抜けた身体能力に合わせつつ、感情を「表現」することが求められました。とても難しかったですけど、これは練習を重ね、息を合わせるしかありません。

笠松:アクションひとつとっても、片山慎三監督と柳楽さんの執念が込められていましたね。単なるアクションではなく、何かを壊しに行くような、そんな勢いを感じたんです。だから、監督と柳楽さんがいちばん『ガンニバル』の狂気を放っていた。

柳楽:それは笠松さんも、でしょ。監督も、ただ「かっこいいアクション」ではなく、ストーリーや気持ちに合った動きを求めていたからね。

柳楽優弥さん
感情を「表現」することはとても難しかった(柳楽さん)

笠松:いやいや、あれを見たら、もうやばい。ほかのみんなも、お尻を叩いてもらったような感じです。それに、撮影を通してこれほどの熱量とスピードを体験したら、もうそれ以上のものはないんじゃないか。なら、しばらくお仕事はいいです…という感じになって。今は少しお休みしているんですよ。

柳楽:え、なんでだよ!(笑) 確かに、あんなふうに意見を出し合って、それを監督も柔軟に受け入れてくれて、しっかりとみんながつながっていた現場は、なかなかないと思います。そして、笠松さんも感じていた、作品をおもしろくするためにリアリティが絶対に必要だということは、僕もすごく共感していて。キャラクターのつくられ方がきれいごとじゃなく、背負っているものや悲哀が込められていて、アクションにも表れている。それがこの作品のすごいところなんです。

「ミーティングと称して、夢を語り合ったりもしたね」(柳楽さん)

――そうした撮影は、ほとんどが地方ロケだったとのこと。長い地方滞在中の思い出はありますか?

柳楽:あれは、新潟のトンネルで対峙するシーンを5日くらいかけて撮影したあと、急に決まってみんなで焼肉に行ったんだよね。撮影中のエネルギーがすごいなら、焼肉屋でのエネルギーもすごかった(笑)。あの日、新潟でいちばんアツい場所だったのは間違いない。

笠松:焼肉のあとカラオケに行って、みんなにお膳立てされて柳楽さんと僕ふたりで歌ったりも。それをみんなが囲んで盛り上げて、めっちゃエモかったですよね。次の日も撮影があったけど、帰りは雪道を歩きながら、翌日のシーンのことや、少しでも多くの人に観てもらうにはどうしたらいいか考えたり、話は尽きなくて。

笠松 将さん
新潟のロケは、めっちゃエモかった(笠松さん)

柳楽:いやー、あれは青かった。青春してたね。

笠松:タクシーもつかまらず、ホテルまで40分くらいかかったんですけど、みんな雪の上を滑りながら歩いて。

柳楽:滑った、滑った(笑)。ホテルでも集まって、ミーティングと称して夢を語り合ったりもしたね。

笠松:あんなこと、あまりないですよ。吉岡里帆さん(柳楽さん演じる大悟の妻役)がいちばんアツかったんじゃないですか。「まだ帰りませんよ!」なんて言って。

――刺激を与え・与えられる関係がいつしか出来上がったふたり。世界で活躍するという同じ目標をもつ同世代俳優としての絆、さらには日本ドラマへの期待について、後編でたっぷり語ります。お楽しみに。

『ガンニバル』シーズン2

都会から遠く離れた山間の“供花村”に、家族と共に駐在として赴任した阿川大悟(柳楽優弥)。警察官としての信念で真相を探る大悟だが、やがて村の穏やかな日常が“おそろしい”顔を見せ始める。次々と起こる不可解な出来事に、友好的だがどこか不気味な村人たち…大悟はすべてに疑心暗鬼になり、狂気の淵へ追いつめられてゆく。シーズン2では、村の秘密を守ろうとする後藤家がついに一線を越え、警官隊と衝突。おかしいのは自分か、やつらなのか…“人間の本質”を暴く、驚愕の結末とは。全ての鍵は、呪われた一族・後藤家の過去にあった…。
2025年3月19日(水)よりディズニープラス スターで独占配信中。

■原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
■監督:片山慎三、佐野隆英、大庭功睦
■脚本:大江崇允、廣原暁
■プロデューサー:山本晃久、半田健
■アソシエイトプロデューサー:山本礼二
■出演:柳楽優弥、笠松 将、吉岡里帆

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この記事の執筆者
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PHOTO :
三宮幹史(Trival)
STYLIST :
長瀬哲郎(柳楽さん)、柴原啓介(笠松さん)
HAIR MAKE :
勇見勝彦(THYMON Inc./柳楽さん)、MIZUHO(Vitamins/笠松さん)
EDIT :
南 ゆかり