連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、スペインでモータースポーツ、自転車、トライアスロン、マラソン、ライフスタイル、オートバイなど20種類以上の雑誌を出版する「スポーツ・ライフ イベリカ」社代表取締役のマリア・ワンドセル・アルシナさんにインタビュー!

マリアさんは、スペインで毎年、開催されている女性のためのマラソン大会「カレラ・デ・ムヘール」の運営にも携わり、今では約15万人が参加するほどの欧州最大規模の大会へと成長を遂げました。「カレラ・デ・ムヘールの参加者は、その多くが、それぞれ克服のストーリーをもっています。心身の不調や家庭の問題などを、スポーツを支えに乗り越えてきた女性たちが、互いに勇気を与え合う場にもなっているんです」と話すマリアさんに、詳しくお話しをうかがいました。

マリア・ワンドセル・アルシナさん
「スポーツ・ライフ イベリカ」社 代表取締役
(Maria Wandosell Alcina)船舶関連雑誌の編集などに関わりながら、現在はモータースポーツ、自転車、トライアスロン、マラソン、ライフスタイル、オートバイなど20種類以上の雑誌を出版する「スポーツ・ライフ イベリカ」社の代表取締役。同社が主宰する「カレラ・デ・ムヘール」は22年の歴史をもち、現在では9都市で開催される欧州最大規模の女性マラソン大会に。

【Madrid】女性だけのマラソンイベントでもっと人生にスポーツを!

「スポーツ・ライフ イベリカ」社代表取締役のマリア・ワンドセル・アルシナさん
「スポーツ・ライフ イベリカ」社代表取締役のマリア・ワンドセル・アルシナさん

スペインには「カレラ・デ・ムヘール」という女性のためのマラソン大会がある。毎年、国内9都市で開催され、約15万人が参加。女性だけのマラソンイベントとしてはヨーロッパ最大規模だ。参加者がピンクのユニフォームを着ることから、別名は「ピンクの波」。22年前、この波を生んだひとりが、スポーツ関連の雑誌社を経営するマリアさんである。

「女性ってスポーツ誌を読まないよね、という会話をきっかけに、ランニングイベントでもやってみようと。SNSもない時代ですから、公園で声をかけたりしてたら、結局1000人も集まって、やりすぎた! と思いました(笑)」

スペイン南部の街・カディスに生まれ、風の強い海でヨット競技に打ち込んだ。海洋エンジニアの学士を修めたあと、縁あって出版業界へ。当時、プレオリンピックの選考に入るほどの実力もあったが、選手としてではなく、仕事と両立できる範囲で船に乗り続けることを選んだ。その後、ドイツの出版社に声をかけられて、船舶関連の雑誌を統括する立場に。手腕が評価され関連会社の経営も任されるが、’18年、キャリアの海は荒れ始める。

「親会社によるリストラに直面し、『このままじゃ船が沈むぞ、なんとかしろ』と。難しい時代でした。最終的には、国内の事業を統括しながら南米にも進出し、主権を取り戻しました。短時間に次々と重大な決断を行わなければならない。判断しだいでは命を危険に晒すことになる――。船の上と同じです」

海からすべてを学んだと語るマリアさんは、女性ももっとスポーツをするべきだと説く。

「カレラ・デ・ムヘールの参加者は、その多くが、それぞれ克服のストーリーをもっています。心身の不調や家庭の問題などを、スポーツを支えに乗り越えてきた女性たちが、互いに勇気を与え合う場にもなっているんです」

がん患者の団体や海洋環境に関わる財団とも活動を共にする。「動くこと。それで結果は変わっていく」。マリアさんの言葉が響く。

◇マリアさんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
ベッドの上で10分ほど運動。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「エネルギーが伝わってくる」「いつも笑っているね」。私は怒ることはしませんが、必要な場面ではすごく厳しい人間なのですけれどね(笑)。
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
ヨットで海に出ます。海は、どの季節でも風が異なり、違う体験ができる。一年中よい季節なのです。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
建築とインテリアデザインを学びたい。引っ越すたびにインテリアを考えることが、私にとってはリラックスに。
Q.10年後の自分は何をやっている?
カディスにいて、できれば両親も元気で、もっと家族と友人との時間をとれるようになっていたい。
Q.自分を動物に例えると?
イルカ!

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PHOTO :
Javier Peñas
取材 :
Yuki Kobayashi