日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。今回ご紹介いただくのは、西陣織や京友禅など反物を扱う京都の呉服問屋・江村商店が手がけたガラス皿です。

江村商店の外観
100年以上にわたって伝統文化を受け継いできた江村商店。

1917年京都室町にて反物の仕入れ問屋として創業し、100年以上の歴史を誇る江村商店。現在は、京呉服をはじめ、越後織物、結城紬、大島紬など全国の反物を幅広く取り扱っています。専務である江村和博さんの「職人技が込められた反物を着物以外にも生かしたい」という思いを形にしたのが、反物をガラスに挟み込んだ革新的な器です。

涼しげな見た目が夏のギフトにもぴったりだというガラス皿の魅力について、河井さんに語っていただきました。

江村商店の「友禅のうつわ 色かさね」
薄い反物生地をガラスに挟み込んだ「友禅のうつわ 色かさね」。
河井真奈さん
スタイリスト
(かわい まな)女性誌、CM、ドラマのスタイリング、トークショー、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。2016年、ギフトに特化したWEBサイト「futo」をローンチし、2019年6月に南青山にショップをオープン。2023年5月代官山に移転。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)、『服を整理すれば、部屋の8割は片付く』(立東舎)。https://futo.jp/

優美な佇まいに一目惚れ!着物から生まれた斬新なガラス皿とは?

「江村専務は、大学卒業後、家業に入るまではパティシエの道を歩んできたという経歴の持ち主。その感性を生かしながら、伝統工芸職人との絆も大切にして生み出したのが、今回ご紹介するガラス皿です。建築資材に使われる合わせガラスの技法を応用して生地を挟み込み、反物をガラスに溶け込ませたようた器は、京都の豊かな文化とクラフトマンシップが凝縮された逸品でありつつ現在のライフスタイルにも溶け込みます」(河井さん)

江村商店の「友禅のうつわ 色かさね」
透明感ある淡い色合いが夏の食卓を涼やかに彩る。

「私がこの器の存在を知ったのは、2020年のとある展示会でした。着物の伝統技術をテーブルウエアに昇華させるという斬新なアイディアとその優美な佇まいに魅せられて、すぐにでも入荷したかったのですが、希少な受注生産物ということもあってなかなかタイミングが合わず…。数年越しの思いが実って、このたびようやく『futo』で扱うことができました」(河井さん)

「友禅のうつわ 色かさね」のアップ
生地をそのまま挟み込み、織物の「ふし」を残している。職人の手仕事ならではの風合いが感じられる。

「さまざまなバリエーションがあり、なかには外国首脳への国賓贈答品に採用されるようなゴージャスなデザインもありますが、私が特に気に入っているのは、2024年にリリースされた『友禅のうつわ 色かさね』というシリーズです。

重色ぼかしという複数の色を重ねてぼかす手間のかかる技法が用いられていて、さらにフォルムにゆがみを加えることで、生地のもつ淡い色合いが見事に表現されています。光を通したときのグラデーションも幻想的で、透明感あるルックスが夏の贈り物にぴったりだと思います」(河井さん)

「友禅のうつわ 色かさね」のアップ
あえて湾曲させることで、柔らかさや温もりも感じられる仕上がりに。

「また、『西陣のうつわ』というシリーズも素敵です。こちらは、西陣織の上質な白生地に、金糸・銀糸をふんだんに使った文様がランダムに織り込まれています。『格式にとらわれず新たな表現方法に挑戦したい』と、伝統的な文様ではなく抽象的なデザインが採用され、料理のジャンルを問わず調和するのが魅力です」(河井さん)

江村商店の「西陣のうつわ」
西陣織に用いる金糸・銀糸が織り込まれた「西陣のうつわ」。

「また、すべてのお皿に共通しているのが、薄くて軽い繊細さに反してしっかりとした丈夫さを備えているということ。電子レンジや食洗機の使用は不可ですが、裏側に施された樹脂加工により、滑りにくくて割れにくいという実用性に優れています。日常使いできる気軽さは、贈りものをいただいた側にとってもうれしいポイントですよね」(河井さん)

伝統の着物文化のエッセンスを日常の空間に取り入れて

一点ずつ生地を挟みこんで作っているため、色や柄の表情がそれぞれ少しずつ異なる江村商店のガラス皿。パステルカラーのグラデーションが美しい「友禅のうつわ 色かさね」と、金糸・銀糸の輝きが凛とした華やかさを醸し出す「西陣のうつわ」共に、涼やかな透明感で食卓を引き立てるだけでなく、ジュエリーなどの小物置きとしても活躍してくれます。

■1:「友禅のうつわ 色かさね」(桃色/若葉)

日本の自然美を彷彿とさせるピンク系とグリーン系の2色展開。ピンク系は、淡く柔らかな桃色と優しい黄色が重なり、桜の余韻に菜の花の光を添えたような温かみを醸し出します。グリーン系は、初夏の光と風のイメージ。若葉が陽を受けて輝くような、みずみずしく希望に満ちた色合いです。

食器_1
「友禅のうつわ 色かさね」(桃色)大:¥14,300【22×22×1.8cm】・中:¥7,920【15×15×1.5cm】・小:¥4,400【10×10×1cm】
食器_2
「友禅のうつわ 色かさね」(若葉)大:¥14,300【22×22×1.8cm】・中:¥7,920【15×15×1.5cm】・小:¥4,400【10×10×1cm】

■2:「西陣のうつわ」(金/銀)

「どんな料理やお菓子、ものをのせても映える」と、河井さんが使い勝手のよさで太鼓判を押すのがこちら。金・銀共に抑えた輝きの上品さと、糸ならではの柔らかさを感じさせる表情、端正なスクエアフォルムとのハーモニーが見事です。

「西陣のうつわ」
「西陣のうつわ」(金/銀)大:各¥22,440【28×28×2.2cm】・中:各¥12,045【22×22×2cm】・小:各¥5,445【13×13×1.2cm】・豆:各¥3,850【10×10×1cm】

新しい「京の美」を体現したかのような江村商店のガラス皿は、日々の暮らしに彩りと豊かさをもたらすだけでなく、使い手の心に深い満足感と喜びを与えてくれます。猛暑厳しいこの夏、少しでも食卓に涼やかさをおすそ分けしたいとの気持ちを込めて、大切な人へ贈るギフトに選んでみてはいかがでしょうか? 

※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。

問い合わせ先

Gift Concierge futo

TEL:03-3462-2036

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)