日々の疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュできる温泉旅。天然資源である温泉はその土地ごとの個性があり、ただ体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれるのを感じられたり美肌に近づけたりなど、普段の入浴では得られないさまざまな恩恵をもたらしてくれます。
そうした温泉のポテンシャルをしっかりと実感できる近畿の名宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんがピックアップ。今回ご紹介するのは、奈良県十津川村にある上湯温泉「神湯荘」です。

公式サイト
奥吉野の秘境で「美人の湯」にひたる至福の温泉旅を実現する
奈良県最南端に位置し、村としては日本一の面積をもつとされる十津川村。672.38平方キロメートルと東京23区(約627平方キロメートル)よりも広大な村には3つの温泉地があり、そのひとつ上湯温泉は近鉄八木駅からバスに揺られること実に4時間というまさに秘湯です。


バス停からさらに車を走らせること約10分。細く曲がりくねった山道を登った先にひっそりと佇むのが、今回ご紹介する「神湯荘」です。奥吉野の最終地ともいえるロケーションにあるこちらの宿では、日常の喧騒から離れた静寂の中で、心と体を癒す特別な時間を過ごせると植竹さんは話します。
「近畿の名湯というテーマで真っ先に思い浮かんだ候補のひとつが十津川村。2004年に全国で初めて“源泉かけ流し宣言”を出し、村内全ての温泉施設が源泉かけ流しという温泉好きにはたまらない理想郷です」(植竹さん)

「その十津川村のなかでも、神湯荘は趣き異なる多種多様な湯船で入浴できるのが魅力的。まず館内に男女別の大浴場、宿から少し離れたところに貸切露天風呂が4か所あり、さらに宿泊者は外部の日帰り施設『上湯温泉 川原の湯』を無料で利用することができます。温泉の総数は8つで、一部、男湯・女湯があるので実際に入れるのは6つ。周囲の自然もあいまって湯巡り気分を存分に味わえます」(植竹さん)

「泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩泉。炭酸水素塩泉は三大美人の湯のひとつで、石鹸のように肌の角質をとるクレンジング作用が期待できます。こちらの湯は源泉は85度の高温泉ですが、浴槽では心地のよい適温。肌に触れると乳化作用によるとろりとした感触があり、湯上りにはつるつるすべすべの美肌に近づけたのを実感できました」(植竹さん)

「日本の原風景のような非日常感ある眺めも楽しみつつ山間を深く分け入り、ひとたびこの秘境にたどり着けば、まさに温泉三昧。春には桜、初夏には新緑、秋には紅葉、冬にはサザンカ…と四季折々の景観の中での湯浴みは格別です。星空を眺めたり、朝の澄んだ空気を感じたり、鳥のさえずりや川音に耳を澄ませたり、自然の息吹に包まれて心ゆくまで温泉に癒される至福のひとときが待っています」(植竹さん)


夕食も朝食も温泉づくし!体の内側にも大地のエネルギーをチャージする
浸かるだけでなく味覚でも温泉を堪能できるのも、こちらの宿の魅力。夕食、朝食の随所に温泉が使用され、地元の食材を引き立てます。例えば、温泉を使ったしゃぶしゃぶでは、奈良のブランド豚・大和ポークを堪能。余分な脂が落ちて旨味と甘みが凝縮し、コラーゲンたっぷりの美食が好評です。

また、温泉で炊いたご飯や温泉湯豆腐、温泉水で淹れたコーヒーゼリーなども、湯量豊富な地ならでは。その他、季節の山菜や、十津川の清流で育った川魚の刺身、鹿肉のユッケなどここでしか味わえない品々がゲストの舌を楽しませます。

以上、奈良県十津川村の上湯温泉「神湯荘」をご紹介しました。自然に囲まれた秘境でひたすら温泉に浸かり心身をリセットしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 神湯荘
- 住所/奈良県吉野郡十津川村出谷220
客室数/全12室(本館7室、別館5室)
料金/朝夕2食付き 2名1室1名¥15,500~(税込) - TEL:0746-64-0256
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)