【目次】
- 「プロフィール」
- 『ドアをノックするのは誰?』(1969年)
- 『ミーン・ストリート』(1973年)
- 『タクシードライバー』(1976年)
- 『レイジング・ブル』(1980年)
- 『アフター・アワーズ』(1985年)
- 『最後の誘惑』(1988年)
- 『グッドフェローズ』(1990年)
- 『ケープ・フィアー』(1991年)
- 『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1993年)
- 『カジノ』(1995年)
- 『クンドゥン』(1997年)
- 『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)
- 『ディパーテッド』(2006年)
- 『シャッターアイランド』(2009年)
- 『ヒューゴの不思議な発明』(2011年)
- 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)
- 『沈黙-サイレンス-』(2016年)
- 『アイリッシュマン』(2019年)
- 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023年)
「プロフィール」
名前:マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)
出生地:アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク
生年月日:1942年11月17日
ニューヨークのブルックリンで、イタリア系の家庭に生まれる。喘息を患っていたことから、幼いころは外で遊べず映画に親しんでいた。ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ザ・アーツで学んだのちに、映画『ドアをノックするのは誰?』で長編映画監督デビュー。
1973年、映画『ミーン・ストリート』にて高い評価を得て、注目を集める。1976年、映画『タクシードライバー』がカンヌ国際映画祭の最高賞にあたるパルム・ドールを受賞。2006年、映画『ディパーテッド』はアカデミー賞で5部門にノミネートされ、作品賞、監督賞を含む4部門を受賞。2024年、ベルリン国際映画祭にて金熊名誉賞を受賞。
自身の出身環境が関係しているマフィアやギャングの世界を描くことが多いが、社交界を舞台にした作品や宗教を扱う作品、ファンタジー作品も手掛け、リアルな描写と圧倒的な演出が高い評価を得ている。また映画保存活動にも積極的で、1990年には劣化したフィルムを修復、保存する活動を行う非営利団体「The Film Foundation」を立ち上げる。
私生活では5度の結婚歴があり、現在の妻はプロデューサーのヘレン・モリス。最初の妻、2番目の妻、現在の妻とのあいだにそれぞれひとりの娘がいる。
『ドアをノックするのは誰?』(1969年)
スコセッシ監督の長編映画デビュー作。のちの作品の舞台設定や地域社会の描写に繋がっており、宗教と罪をテーマに扱う。
あらすじ:ニューヨークのリトル・イタリーで暮らす青年J.R.(ハーヴェイ・カイテル)は、とある女性(ジーナ・ビートゥン)に心を奪われる。恋人となったふたりだったが、彼女には誰にも言えない過去があった。
『ミーン・ストリート』(1973年)
それまで犯罪やアクションに重点が置かれていたギャング映画に、若者たちの葛藤や罪悪感という人間ドラマを織り込み、ギャング映画の枠を超えて革新をもたらす。ロバート・デ・ニーロはスコセッシ監督と度々タッグを組んでいるが、本作が初出演。
あらすじ:定職につかず遊び歩いているチャーリー(ハーヴェイ・カイテル)と彼の悪友ジョニー(ロバート・デ・ニーロ)。罪と信仰のあいだで葛藤していたチャーリーは、生活を改めようとするが、ある日ジョニーが拳銃を乱射しているという知らせを受ける。
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『タクシードライバー』(1976年)
1970年代の社会問題を反映した作品で、主人公の孤独感を、映像、音楽、演技で総合的に表現しており、カンヌ国際映画祭にて最高賞にあたるパルム・ドールを受賞。
あらすじ:ベトナム帰還兵のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)は、ニューヨークで鬱屈した日々を送っていた。不眠症の彼は夜勤のタクシードライバーを始めるも、麻薬や売春が横行する社会に嫌悪感を募らせていた。ある日、美しい女性ベッツィー(シビル・シェパード)に出会うが、初デートに失敗してしまう。やがて闇ルートから銃を手に入れた彼は、自己鍛錬を始めるうちに、ある計画を思い付く。
『レイジング・ブル』(1980年)
実在のプロボクサー、ジェイク・ラモッタの自伝を元にした作品で、ロサンゼルス映画批評家協会賞とボストン映画批評家協会賞の作品賞を受賞。主演のロバート・デ・ニーロは役作りのため体重を27kg増量させた。
あらすじ:“怒れる雄牛”と呼ばれ、デビュー以来無敗を誇るジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)は、優位な立場であったのに、判定負けするという屈辱を味わう。心がすさんだジェイクであったが、少女ビッキー(キャシー・モリアーティ)と出会い癒される。しかし徐々に猜疑心に苛まれていき…。
『アフター・アワーズ』(1985年)
過去に手掛けたクライム、バイオレンス映画とは異なるブラックコメディサスペンスで、カンヌ交際映画祭で監督賞を、インディペンデント・スピリット賞で作品賞を受賞。
あらすじ:ワープロ技師として働く真面目な男、ポール(グリフィン・ダン)は、カフェで若い女性マーシー(ロザンナ・アークエッド)に声をかけられ、連絡先を交換する。彼女の家を訪れる約束をしたポールだったが、次々と不条理な目に遭ってしまう。
『最後の誘惑』(1988年)
ニコス・カザンザキス著の『キリスト最後のこころみ』を原作とした作品で、アカデミー賞の監督賞にノミネート。「キリストがもし普通の人間として生きる選択をしたら」という宗教的テーマを扱い、世界各地で論争が起きる事態に。
あらすじ:紀元前1世紀のパレスチナ。神への到達を目指すイエス(ウィレム・デフォー)は、神からの啓示を待ちながら肉体的、精神的な苦痛に耐える日々を送っていた。ユダヤ協会からイエスの暗殺を命じられたユダ(ハーヴェイ・カイテル)は、イエスに畏怖の念を覚え、しばらく彼と行動をともにすることにする。
『グッドフェローズ』(1990年)
ニューヨークのマフィア界にいた、ヘンリー・ヒルという実在の男を題材にした作品で、ヴェネツィア国際映画祭の監督賞にあたる銀獅子賞を受賞。ギャングの世界や人間臭さを美化せずリアルに描き、批評家や映画関係者から高い評価を得て、現在でも「マフィア映画の金字塔」として名高い。
あらすじ:ニューヨークの下町、ブルックリンで生まれ育ったヘンリー(レイ・リオッタ)は、幼いころからギャングの世界に憧れを抱いていた。地元で恐れられるギャング、ポーリー(ロバート・デ・ニーロ)のもとで働き始めたヘンリーは、組織内での地位を高めていく。
『ケープ・フィアー』(1991年)
1962年の映画『恐怖の岬』をリメイクしたサイコサスペンスで、音楽とカメラワークにより緊張感を極限まで引き上げた演出と、ロバート・デ・ニーロの圧倒的な演技が見事に融合した作品。
あらすじ:性的暴行罪によって、14年間の獄中生活を終えたマックス(ロバート・デ・ニーロ)は、かつての自分の弁護士が裏切っていたことを知り復讐を企てる。刑務所のなかで法律を学んだマックスは、法に触れない方法で弁護士とその家族を執拗に追い詰めていく。
『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1993年)
イーディス・ウォートンの同名小説を原作とした作品。これまでの暴力やギャングの世界を描いた作品とは異なり、社交界を舞台にした繊細な演出が評価される。また美術や衣装の完成度が高く、アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞。
あらすじ:舞台は19世紀後半、NYの社交界。ある日、オペラ鑑賞で再会した幼馴染のニューランド弁護士(ダニエル・デイ=ルイス)と伯爵夫人エレン(ミシェル・ファイファー)。ニューランドはエレンに心惹かれていくが、婚約者メイ(ウィノナ・ライダー)の存在と社交界の慣習が気持ちを抑えさせる。
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『カジノ』(1995年)
ニコラス・ピレッジのノンフィクションを原作とした犯罪映画で、豪華なセットと美しい音楽、俳優たちの圧倒的な演技力、監督の演出力が融合した作品。
あらすじ:賭けの管理能力を買われ、ベガスでカジノの経営を任されたサム(ロバート・デ・ニーロ)。美しき女性ジンジャー(シャロン・ストーン)とも結婚して順風満帆と思われたが、盟友ニッキー(ジョー・ペシ)がやってきたことで事態は一変する。
『クンドゥン』(1997年)
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の半生にスポットを当てた作品。暴力的な作品が多かったスコセッシ監督が、暴力を拒む指導者を誠実なアプローチで描く。映画には実際のチベット僧やチベット人が多く出演し、さらに宗教的空間などを神秘的に描き、その映像美が評価される。
あらすじ:逝去した最高指導者ダライ・ラマ13世の転生者を探す高僧たちは、ある村で2歳の少年に出会い、彼こそが慈悲の仏陀、観音菩薩の生まれ変わり“クンドゥン”だと確信する。少年は首都ラサへと旅立ち、宮殿で指導者としての知識などをいちから教え込まれる。
『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)
1800年代のNYを舞台に、アメリカ生まれの住民たちとアイルランド移民たちの対立、人間模様を描いた作品。当時の街並みを緻密に再現し、さらにスコセッシ監督が得意とするギャングの起源を重厚に描いたことで注目される。ゴールデングローブ賞監督賞を受賞。
あらすじ:アイルランド移民集団のリーダーの息子であるアムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は、アメリカ生まれの住民集団のリーダー、ブッチャーに父を殺されてしまう。ある日、美しく謎めいた女性ジェニー(キャメロン・ディアス)に出会い、許されぬ恋に落ちる。
『ディパーテッド』(2006年)
香港映画『インファナル・アフェア』のリメイク作品で、緊張感溢れる演出と予測不能なストーリー展開が評価され、アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む4部門を受賞。
あらすじ:犯罪者の一族に生まれ、その生い立ちに訣別するために警察官となったビリー(レオナルド・ディカプリオ)。優秀な彼はギャングの潜入捜査を命じられるが、おなじときにギャングのコリン(マット・デイモン)も警察内部に潜入していた。
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『シャッターアイランド』(2009年)
デニス・ルヘインの同名小説を原作とした作品。緊張感ある演出と心理描写が評価される。
あらすじ:孤島シャッターアイランドにある、精神を患った犯罪者を収容するアッシュクリフ病院。ある日、ひとりの女性患者が失踪し、アメリカ連邦保安官のテディ(レオナルド・ディカプリオ)は捜査のために島を訪れるが、次々と不可解な出来事が起きる。
『ヒューゴの不思議な発明』(2011年)
今までの作品とは異なるファンタジー冒険映画で、小説『ユゴーの不思議な発明』を原作としている。スコセッシ監督初となる3D映画で、芸術映画として高く評価され、アカデミー賞にて11部門にノミネート、結果撮影賞や視覚効果賞など5部門を受賞、ゴールデングローブ賞で監督賞を受賞。
あらすじ:1930年代のパリ。父親の形見である壊れた機械人形とともに、駅の時計塔に暮らす少年ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)。ある日、人形の修理に必要な鍵を持つ少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と出会い、人形に秘められた秘密をめぐって冒険に繰り出す。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)
ジョーダン・ベルフォートの回想録を原作としており、ブラックコメディとして高く評価され、自身の監督作のなかで全世界興行収入が最も高い作品となる。
あらすじ:1980年代後半、金融街ウォールストリートで働く証券マンのジョーダン(レオナルド・ディカプリオ)。会社を設立し、社員700人もの企業へと成長させる。しかし、億万長者となり豪遊するジョーダンに、捜査の手が迫り…。
『沈黙-サイレンス-』(2016年)
スコセッシ監督が長年あたためてきた企画で、遠藤周作の小説『沈黙』を原作とした作品。宗教、信仰というテーマを扱いながら、緻密な演出と歴史的なリアリズムによって世界観に没入できると評価されている。
あらすじ:江戸初期、幕府による激しいキリシタン弾圧下の長崎。そこで高名な宣教師フェレイラ(リーアム・ニーソン)が捕まり棄教したと知らせを受け、弟子のロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)は日本に潜入する。そこで隠れキリシタンという人々に出会い…。
『アイリッシュマン』(2019年)
24年ぶりのタッグとなったロバート・デ・ニーロと、スコセッシ監督作初出演のアル・パチーノ、9年ぶりに映画界に復帰したジョー・ペシが出演。実在したヒットマン、フランク・シーランの回顧録を原作としており、スコセッシ監督が得意とするマフィア、ギャング界の描写を深化させており、若返りCGのデ・エイジング技術も話題となる。
あらすじ:元軍人の殺し屋フランク(ロバート・デ・ニーロ)は、犯罪と暴力のまみれた自身の半生を振り返っていた。そんななか、未解決の労働組合指導者ジミー(アル・パチーノ)の失踪事件にまつわる秘密が明かされる。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023年)
ノンフィクション『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』を原作としており、本作にてロバート・デ・ニーロとは10回目、レオナルド・ディカプリオとは6回目とタッグとなる。スコセッシ監督らしい緊張感のある演出、それらを支える音楽や編集が評価され、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の作品賞と監督賞を受賞。
あらすじ:1920年代、オクラハマのオーセージでは、石油が発掘されたことで先住民たちは莫大な富を得る。戦争帰りのアーネスト(レオナルド・ディカプリオ)と、そのおじであり地元の有力者のウィリアム(ロバート・デ・ニーロ)は、先住民たちの富を狙った犯罪に関与するようになる。
***
マーティン・スコセッシ監督の作品は、一貫して人間の欲望や葛藤、信念が描かれています。作品を重ねるごとに深化していくテーマ性は、何度観返しても新たな発見をもたらしてくれるはず。ぜひ、彼の作品を通して人間という存在の奥行きに触れてみてはいかがでしょうか。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- Getty Images
- EDIT&WRITING :
- 阿部芙美香

















